三節 Two of us5

扉を開けたローザの目に飛び込んできた光景は、彼女の意識を破壊するにあまりある
ものだった。部屋の中心に立ち、同じように放心したように自分を見つめるのは、
まぎれもなく親友のカインの姿。
 そして、 その、 手の、  槍が 、セシルの、・・

「やめてえぇーーーーーっっ!!」

 もっとも大切なひとが奪われようとしていた。
 もっとも信頼していた友人の手によって。
 その光景の意味を理解してしまう前に、彼女の理性はそれを否定した。
「ローザ!?
 なぜ、君がっ・・!?」
 泣き叫ぶローザの姿にカインは気を取られ、無意識に槍を握る手を緩めていた。
その機を逃すヤンではなかった。
 痛烈な爪の一撃がカインのみぞおちをえぐり、続けざまの攻撃で間髪入れずに壁際に
蹴飛ばされる。
「ぐっ!」
「ローザ殿!」
 すかさずヤンがセシルを守るように立ちはだかり、傷ついたセシルを目で示した。
ローザは恋人のもとに駆け寄り、深々と鉄の刃が刺さった胸に気遣わしげに手を添える。
胸を抑えながら踞り、カインは自分を見下すモンク僧を凄まじい視線で睨みつけた。
「き、さま・・!」
「カイン! お願い!」
 再びローザが悲痛な声で懇願する。その声に、カインもまた悲痛な表情で押し
とどまった。激しく歯を食いしばりながら、カインは怒りに身震いしていた。

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最終更新:2007年12月12日 04:13
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