三節 Two of us7


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 セシル達がミスト討伐に旅立った直後のことだった。その日のうちから、バロンでは
突然、妙な噂が広まりだしていた。

 「赤い翼のセシル=ハーヴィは謀反を企てている」

 根も葉もないものだった。
 不祥事により赤い翼の指揮権を剥奪され、そもそも王に対して反心を抱いていた
セシルは密かに同志を募り、いまや王権の乗っ取りを目論んでいる、などと噂は尾ひれを
つけて広がる一方で、しかも翌日には、噂を裏付ける証人まで現れた。あわれな姿で
バロンにやってきたその男は、自分はミストの村の生き残りだと名乗り、バロンの
親善大使としてミストへやってきたセシルが、彼らにバロンへの反乱同盟の結託を
持ちかけ、拒否した彼らを無慈悲にも村ごと焼き滅ぼしたと、涙ながらに訴えたという。
 しかもあろうことか、王はあっさりとそれを信じたのだ。
 多くの者が、声を上げてセシルの潔白を唱えた。と同時に、王の部下への不信を
咎めた。セシルをよく知る友人達をはじめ、セシルの除隊とともに赤い翼を抜けたもの、
飛空艇の技師達、他の騎士団の兵士、そして城下の人々。身分を問わず良識のある人々が
彼のために立ち上がっていった。だが、王はそれを聞き入れるどころか、彼らを反乱分子
と見なして、片っ端から捕らえ、尋問、投獄し、時には処刑すらした。
 そのようにして国民は次第に王の狂気の影を感じ取り、やがて異を唱える声は消えて
いった。
 疑惑の目はすぐにローザにも向けられた。セシルと深い仲にあったと噂され、事実
そうでもあった彼女は執拗にひどく詰問された。しかし、いくら問いつめられても、
当のローザはまるっきり上の空であった。ミストの異変後まもなく届いたもう一つの
知らせが、彼女を悲しみの底に突き落としていたからだ。

 セシルはミストの大地震で死んでいた、と。

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