三節 Two of us22

「き・・さま、ローザに何をっ・・!!」
「案ずるな、眠らせただけだ。少しばかりお前に興味がわいたのでな、
 是非また会いたい。この女はその約束の証と思え。
 ・・行くぞ、カイン」
 分厚い甲冑の内側で冷酷な笑みを浮かべると、ゴルベーザはローザを抱きかかえ、
悠然と去ってゆく。
「・・待・・て」
 セシルはその後を追おうと、フラつきながらも杖にしていた槍を構えたが、
「おい」
 背後に、いつの間にかクリスタルを手に取ったカインがいた。彼は槍を掴むや否や、
セシルの胸に思うさま拳を叩き付けた。
「ぐあっ!」
「返してもらうぜ」
 セシルがリディアの側に倒れ込む。震えながら成りゆきを見ていたリディアは我に返り
セシルの頭を支えると、キッとカインを睨みつけた。カインは無表情のままリディアに
一瞥をくれると、再びセシルのもとから去っていった。

「・・命拾いしたな、セシル」

 やがて足音が遠ざかると、再びあたりを沈黙が支配する。
 セシルの苦しそうな呼吸の音だけが、それを乱していた。

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最終更新:2007年12月12日 04:18
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