ff6 - 32 figaro


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 砂漠を渡ってきた風は熱せられて乾燥し、おまけに頼んでもいないのに砂まで
一緒に運んでくる。少しばかり鬱陶しく思う時はあるが、この風が嫌いなのでは
ない。地上に住まう人々に等しく照りつける太陽も、大地を覆い尽くす砂の海も、
頭上に広がる眩しいほどの青空も、そのどれもがエドガーにとって幼い頃から慣れ
親しんだものだったからだ。
 先程のロックと同じように手をかざし、降り注ぐ日差しを遮った。城門をくぐった
ケフカと2人の帝国兵の姿が視界に入ると、エドガーはあからさまに眉をひそめた。
仮にその事で指摘を受けたとしても、日差しのせいだと返せばいい。
 国交上なんら差し支えはない。そう判断したエドガーは不自然な表情を作りながら
ケフカ一行を出迎えた。
 やがて回廊の中央で向かい合った両者だったが、笑顔で挨拶が交わされるといった
ことはなかった。
 礼を欠く者にこちらが礼を尽くす必要はない。必要最低限のことをすればいい。
帝国側の3人の姿を観察しながら、装備している武器の類を確認する――たいして
攻撃力のある物は所持していない――この場でもしも交戦があったとしても、なんとか
やり過ごせるだろう。
 それに、すぐ後ろにはロックが控えている。
 エドガーは全ての状況を考慮した上で、切り出した。
「同盟を結んでいるわが国へも攻め込まんという勢いだな」
「同盟? 寝ぼけるな。こんな小っぽけな国が!」
 帝国兵がエドガーの問いに答えるが、エドガーが更に反応する事はなかった。
「南方大陸3国を滅ぼしたようだな。一体どういうつもりだ?」
「お前らの知るところではない」
 別の帝国兵がさらにエドガーの問いに答える。優位に立つ者が陥る不遜な態度を
エドガーは無視し、今度は正面に立つ道化師に向けて言葉を発した。

「ガストラ皇帝直属の魔導士ケフカが、わざわざ出向くとは?」
 こんな小っぽけな国の、さらに砂漠の中央にあるフィガロの城へようこそ。と微笑み
ながら付け加える。エドガーは語る言葉と相手、そしてその順番まで慎重に選びながら、
最終的にはケフカに対する痛烈な皮肉を向けたのである。
 ケフカの目つきに鋭さが加わった事を、エドガーは見逃さない。
「帝国から一人の娘が逃げ込んだって話を聞いてな」
 挑発には乗らず、用件だけを突きつけてくる。風貌は変わっているが、どうやら
本質的に頭の悪い人間ではなさそうだ。
(なるほど)
 内心で頷いてからエドガーはようやく、かざしていた手を下ろした。この男を煽っても
効果がないと判断してのことだった。
「魔導の力を持っているという娘の事か……?」
「お前達には関係のないことだ。それより、ここにいるのか?」
 エドガーからの質問を退け、あくまでも用件だけを聞き出そうと言う姿勢は崩さない。
両脇に控えている帝国兵は、無言でこのやり取りを見つめていた。
 沈黙が数秒、その後にエドガーはわざとらしく両手を広げて見せた。
「さあ……」
 その姿に、ケフカが僅かに顔を歪めた。視界の端でその姿を捕らえながら、尚も
エドガーは言葉を続ける。
「娘は星の数ほどいるけどなあ……」
 彼女たちの過去について、詮索する趣味はないのでね。と続けながら、エドガーは
ケフカに笑みを向けた。
 同盟国という体裁を繕いながら、互いの腹を探り合うこの勝負。どうやら引き分けで
幕を閉じたようである。

「隠しても、何も良いことはないのにねえ……」
 そう言いながら、ケフカは回廊からフィガロ城を見渡した。自分の立つ
位置から前後左右4方向に延びる回廊の先には扉と、衛兵が立っている。
どうやら出口を含め城内を移動するためには、必ずここを通らなければ
ならない構造になっているようだ。
 ケフカは奇妙に表情を歪め、気味の悪い笑い声を立て始めた。
「ヒッヒッヒ……。ま、せいぜいフィガロがつぶされないように祈ってるんだな!」
 そう言ってエドガーに背を向けると、ケフカ一行は城の出口へ向けて歩き
出した。彼らの姿が見えなくなっても、あの気味の悪い笑い声が耳に残って
いる気がして、フィガロ国王の気分を害したのである。
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