ティーダはゆっくりと剣の柄に手を伸ばした。柄を掴むと同時にアーロンがティーダを引っ張りあげた。
重い。軽そうに見えたのに。両手で持ち上げる事すら難しかった。
アーロンはその様子を見ながらティーダに言い放った。
「ジェクトのみやげだ。」
「オヤジの!?」
ジェクトと言う言葉に敏感に反応したティーダはアーロンの方を驚きの標情で振り返った。
いや、今そんな事はどうでも良かった。自分達は危険に取り囲まれている。
思い出した様にじりじりと近付いてくる魔物達にティーダは、ぎこちない手付きで目の前な魔物達に剣を振り回した。
当たる訳がなかった。魔物は軽々と身をかわしながら逆にティーダを襲おうとする。
また尻餅を付いてしまった。膝が笑っていた。大きなブリッツの大会の決勝ですらこんな事は無かったのに。
ティーダは険しい顔のまま力を入れて立ち上がる。
魔物との距離を充分に取ったティーダは一度息を吐き心を落ち着かようとする。
怖がるな。大丈夫だ、冷静になれ。一人じゃない、アーロンもいる。
そう思うと先程より大分気持ちが軽くなった。
ティーダはゆっくりと剣を構える。アーロンが声を掛けた。
「使い方は、実戦でな。」
ゆっくりとティーダは頷いた。
これがデビュー戦…彼の紡ぐ物語の最初の試練…
最終更新:2007年12月12日 06:05