「ラスラ様は戦死された」
「ああ……」
「最後まで勇敢だった」
「……わかっている。――自分をあまり責めるなよ、バッシュ」
ウォースラは立ち上がると、片手を上げた。バッシュがそちらを見ると――比較的元気なチョコボに一人の兵士が飛び乗り、ダルマスカ方面へと駆け出していった。王に状況を――ナルビナの陥落、そしてラスラの戦死を伝えにいくのだろう。
この場所へ、時間をそう置かずに飛空挺が到着するだろう。ラスラは、その飛空挺でダルマスカへと帰還する。
と――
轟音に顔を上げると、頭上をいくつかの飛空挺が飛んでいくところだった。ナルビナ城塞方面から、ダルマスカへと向かっている。
おそらく――アルケィディア帝国軍の指揮者が乗艦している艦だろう。その空母を護衛するようにいくつかの飛空挺も飛んでいたが、その数は少ない。当然だろう――ダルマスカはもう、ほとんどの兵力を失っている。幸福韓国に向かう艦に、大規模な護衛など必要ない。
バッシュは――知らず、拳を握り締めていた。守れなかった無力感。爪が皮膚を破って血が流れても、拳を解くことができなかった。
最終更新:2007年12月13日 00:56