第1章 SeeD-31

「さて、新たな敵さんの登場まで待機だ」
サイファーはそう言うと、噴水前のベンチにどっかと腰を下ろした。

10分が経過した。何も起こらない。
「待機か、退屈な言葉だ」
サイファーがため息混じりにつぶやく。
ゼルは先程からシャドーボクシングを黙々とこなし、退屈を紛らわせている。

さらに10分が経過した。相変わらず、何も起こらない。
「何てこった、こいつぁさすがに退屈だぜ」
シャドーボクシングにも飽きたのか、ゼルが吐き出すように言った。
ゼルの言を待っていたかの様に、今度はサイファーが口を開く。
「またお預けか・・・もう限界だ!耐えられねぇ!これは犬の訓練か!」
その時、俺は遠くからやってくる足音を聞きつけた。
「静かに。誰か来るぞ」
俺たち三人は手近な遮蔽物に身を隠した。
広場の一角に、工兵と思しきガ軍の一団が現れた。それぞれ重そうな機材を抱えている。
彼らは俺たちの存在に気づくことなく、そのまま郊外へと続く道に消えていった。
「連中、どこに向かう気なんだ・・・アレは?」
彼らの向かった先、市街地の外れには小高い丘があり、山頂には何かの施設が建っていた。
「ああ、ありゃ電波塔だ」
俺の問いにゼルが応じた。
「17年前に始まった電波生涯以降、使われてない筈だぜ」
ゼルの奴、変なことに詳しいな。
「面白ぇ」
サイファーは立ち上がり、電波塔を指差して決然と言い放った。
「あそこへ行くぞ!」

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最終更新:2007年12月13日 01:05
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