FF5 10 あてのない旅4


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バッツはさっきとはうって変わって無邪気な少年の顔に戻っている。少し高台へ登り、辺りの様子を見回している。
「あー、なるほどなぁ・・・んー・・・あちゃー・・・」
なにやらブツブツ言いながら周辺の様子を見ている。その顔はいまいち浮かない。

「クエッ!」
看病役のボコが声をあげる。それはどちらかが無事だったと言う証拠だ。
「ぅ・・・うん」
先に気がついたのはレナだった。不幸にも彼女は2回も同じ目に遭ってしまった。
先へ急がなければならないのに、今日に限って異常な事が彼女の周りで起こる。
「ここは・・・」
辺りを見回すレナ。隣にはまだ気を失っているガラフ。目の前にはチョコボ。
状況がいまいち飲みこめない。このチョコボが助けてくれたのか、とも想った。


「お、良かった。気が付いたか」
「そいつはボコって言うんだ。俺の良き相棒さ」
レナの元へ歩み寄りながらボコを紹介するバッツ。
疲労の色が見えるものの、その顔は笑っている。
「バッツ!」
驚いたように声をあげるレナ。助けられるのは、今日2回目。
「どうやら隕石が落ちたときのショックで、あちこちで崖崩れや地割れが起きてるみたいだ」
さっき高台で辺りの様子を見回してバッツは周辺の地形が変わった事を知った。
「この先のトゥールに通じていた道も塞がっちまった・・・」
少し残念そうに話すバッツ。
トゥールの村はこの周辺で唯一、武器防具道具宿屋魔法と充実した施設を備えた村だからだ。
その村への移動が出来なくなった事はバッツにとって、そしてレナとガラフにとっても痛手なのは間違いない。

「早く風の神殿へ行かないと・・・」
呟くレナ。
「ああ、親父さんを見つけなきゃな!」
「え?」
バッツはまるで自分達について行くような口調だ。


61 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/09/14(水) 19:15:54 ID:p0cZps0N
「うっ・・・う・・・」
ガラフが気が付きそうだ。2人はガラフを見つめる。
しかし気が付いて起きるだろうと予想した2人の考えを覆す一言をガラフは言う。
「風の神殿に・・・急がなくては・・・」
意識が完全に戻る前にこの言葉。拍子抜けすると共に、このガラフの強い想いを静かに受け止めた。
「このじいさんも、風の神殿か・・・」
バッツはガラフの言葉を聞いてからあまり間を空けず、こう言う。
「俺も行くぜ」
「えっ?ほんと!!」
バッツは冷静にレナに話す。
強い決意が込められたその言葉はレナにとってありがたくもあり、心強かった。

そして、単純に嬉しかった。

「親父の遺言なんだ。『世界を旅してまわれ・・・』ってね」
「遺言・・・」
レナはそのフレーズに引っ掛かる。バッツの父はこの世に居ない事を意味するものだからだ。
そして自分の父も・・・一瞬最悪のケースを考えてしまい、慌てて振り払う。
その想いとは裏腹に不安がどんどん大きくなっていくのが自分でわかる。
心臓の音が早くなる。
聞かれるわけないのにバッツにもガラフにも聞こえてしまうんじゃないか、
そう思うくらい自分にとってその音は大きく感じられた。

「それに・・・ 風が呼んでる」
バッツは柄にも無いキザな台詞で決めてみる。
内心、ちょっと恥ずかしい気もしたが、男なら女の前でカッコ悪いところは見せられない、と彼なりのポリシーがあった。

レナはそんな台詞も真顔で受け止める。というより、正直そんな余裕が無かった。
自分の不安を拭う為。心を落ち着かせるため必死だった。
のちにレナがこの場面を思い出したとしてもこのバッツのキザな台詞までは覚えていないだろう。
もちろん、バッツはそんな事知るわけが無い。

「とかなんとか言って本当は、この娘にホの字じゃないのかい?」
まだ完全に意識が戻ってないはずのガラフが悪戯っぽくそんな事を言う。
驚いてガラフの方を向く2人。

「じいさん、気が付いてたのか!」
「あったりまえよ!」
あぐらをかきながらガラフはバッツをニヤリと見つめ、その後すぐに大笑いした。
図星を突かれたような、突かれてないような。
それにただでさえキザな台詞を吐いてしまった。それがこのじいさんに聞かれてたなんて・・・
バッツは今になって急に顔が熱く、こっ恥ずかしくなってきてちょっと後悔した。

おまけに、このキザな台詞はレナに向けて言ったにも拘らず、当の本人は聞いてても頭には入っていない。
聞かれたのは初老間近の、というより初老にも見えるじいさん1人とチョコボ1羽。
くどいようだが、この事も当然バッツ本人は知らないし、しばらくは知ることも無いだろう。

ほこりを払いながらゆっくり立ち上がり、ひょうきんなじいさんがまたしてもあの顔になる。
「(・・・また瞳が変わった・・・)」
「(精悍なお爺さんなんだなぁ)」
2人がまたしてもガラフの『変化』に気付く。当のガラフ本人は気付いてない。
「だが、道は塞がれてしまったぞ・・・」


しばしの沈黙。やはり風の音が弱い。


レナが沈黙に耐え切れないように切り出す。
「でも、行かなくちゃ!」
「そうじゃな」
「よしっ!行こうぜっ!!」
バッツとガラフもその言葉に続く。

こうしてバッツ、レナ、ガラフの3人は風の神殿へ向かう事にした。
レナの父親の無事を心の片隅に常に置いておきながら。
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