威勢良く元気に出発したものの、やはりトゥールへの道は閉ざされていた。
そしてその代わりになにやら洞窟の入り口らしき穴が開いている。
「こんな所に洞窟?」
レナは不思議そうに言う。遠目から中を見ようと目を凝らすが暗くてよく見えない。
「多分隕石が落ちたショックでこんなふうに穴が開いたんだろう」
バッツは高台でこの周辺の様子もばっちりチェック済だ。3年間の旅で培ったものはこんな所に活かされている。
「入ってみるしかなさそうじゃのう…」
ガラフは落ち着いた口調だ。記憶喪失の彼にとって人生は始まったばかりと言える。
先へ進むしかないという事を覚悟、というより本能的に感じてるようでもあった。
それが『自分』を取り戻す為に繋がると。
「よし、ボコ、お前はここで待ってろ」
「クエッ」
チョコボは広い場所を走る乗り物鳥。狭い洞窟には絶対に向いてない。
そう確信したバッツはとりあえずボコを入り口で待たせる事にした。
「すーぐ帰ってくるから、心配すんな」
「クエッ」
こうしてバッツはボコを「留守番役」にした。
そして3人はいざ洞窟の中へ。
3人を見送るボコの瞳は少しだけ寂しそうだった。
最終更新:2007年12月13日 03:21