翌朝。船旅日和の快晴に恵まれた。朝日がさんさんと降り注ぐ。
「レナ様!!どうか、くれぐれもお気をつけて!!運河の魔物はおそらく、雷に弱いと思われますぞ」
「ええ。わかったわ!本当にありがとう!」
そう言って一行は貴重な情報と運河の鍵を貰い、ゾックと別れ、旅支度をする。
クリスタルのかけらの力によって魔法が使えるようになった為、魔法も購入した。
こうして、一行がトゥールの村を出ようとした時だった。
「お頭ー!待ってくれー!!」
「あっしらも行きますよー」
ファリスの子分達が続々と酒場から出てきた。みんな顔が紅い。
こうして子分が勢ぞろいした所でファリスは切り出した。
「お前達は置いていく!」
冷たい口調で言い放つ。
「ええっ!?」
「どうしてだい!?」
「あっしらはお頭に付いて行きますぜ!」
子分達は一気に酔いが醒め、ファリスに詰め寄る。
「いや、お前達はアジトで待ってろ」
「「「「「「「お頭!!!」」」」」」」
子分の声が一斉に揃う。
「いや、この旅はとても長い旅になりそうなんだ…お前達は俺がいない間、アジトを守ってくれ!頼む…」
ファリスがさっきとは違う、力強く、熱のこもった口調になる。
しばしの沈黙の後、子分達がファリスに伝える。
「分かりやした!必ずアジトを守って行きます!お頭もお気をつけて!」
親分の想いを受け止めたのである。
「…ありがとう。じゃあ行ってくる。アジトには必ず戻ってくるからな」
「はい!お気をつけて!」
ファリスは子分達へ、感謝の気持ちでいっぱいだ。
「ファリス…本当に良いのか?」
「ああ、あんなにたくさんは連れて行けないだろう?」
「ま、まあな…」
バッツはファリスの顔が今までと違うような気がした。
最終更新:2007年12月13日 03:36