二節 試練14


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「お連れしました、長老」
「ご苦労であった」
 神殿──今は祈りの館と呼ばれるその建物に通されると、広間で先ほどの長老が彼らを迎えた。
「では私はこれで・・」
「ジェシーよ、お前もここにいなさい」
「・・・」
 彼女はまた、不満そうにうなだれた。なぜこれほど彼女を引き止めようとするのだろう。
セシルは口には出さず、疑問を唱えた。
「・・さて」
 長老が向き直り、セシルの目を見据える。
 先ほどジェシーが感じた圧力の一端が分かるような気がした。老人の瞳は、見つめられる者の
心の弱さを容赦なくあぶり出す。言いたい事があるなら言うがいい。彼の目はそう語っていた。
「・・セシル=ハーヴィと申します。私は、バロンの赤い翼を率いていま・・した。
 あの時は・・・・・王の命令に背く勇気が」
「何を言っても死んだ者は帰ってはこん」
 長老の冷たい言葉がセシルの胸をえぐる。いい気味だ、とでも言いたげにジェシーが隣で
睨んでいた。
 しかし、その冷酷にも聞こえる言葉が、かえって彼の心を強く打った。この人は自分を責めて
いるわけではない。ただそれがまぎれもない真実なのだ。個人の感情など、問題ではない。
この場に必要なことは、何者にも染まらない真実だけだ。
「・・それで?」
 長老の目が再びセシルを捉える。彼は顔を上げ、それまでの旅を淡々と語った。
 ミストを焼き払った事、ゴルベーザの事、ダムシアンが襲われた事、ファブールでクリスタル
だけでなく、ローザをも奪われてしまった事。
「・・そして、船は沈められてしまい、仲間とも離ればなれになってしまいました。
 私は、運良く生き延び、偶然この地にたどり着いたのです」
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