とっさに身を引くセシル。
しかしそんな彼をよそに、どういうわけか横の二人は、うんざりとした様子で顔をしかめる
ばかりだ。不安げに煙と二人を見比べていると、やがて、
「とうっ!」
間抜けなかけ声。
颯爽と煙から飛び出して来たのは・・・・・男の子だ。
おかっぱ頭のその少年は、礼儀正しい少女とは対照的に、進んで無遠慮を誇示せんとする
ばかりにポケットに手を突っ込んだまま、じろじろとセシルを眺めまわした。
「・・おめーがあの時のバロンのやつか」
「君は・・?」
「オイラはミシディアが誇る天才魔導士、パロム様だ! よく覚えとけよっ!」
そういうとまたかけ声とともに飛び上がり、なにやら妙なポーズを取り出す。
呆気にとられ、セシルは恐る恐る長老に尋ねた。
「あの・・まさかこの子たちが?」
「さよう、双子の魔導士パロムとポロムじゃ。まだ幼いがその素養はわしが保証しよう」
「・・・」
(冗談じゃない・・)
声を失う彼の背中をパロムが小突く。
「おい、じーさんの言いつけだから仕方なく手を貸してやるんだからな。ありがたく思えよ!!」
「パロム、無駄口を叩くでない! おぬしらの修行もかねておるのだ!」
唖然としたまま、セシルはもう一度双子を見つめ直してみた。
ポロムと呼ばれた少女の方は、その言動もさながら確かに年不相応にませた顔つきをしては
いるのだが、・・やはり女の子だ。それもリディアよりさらにひと回り小さい。魔物にあったら
たちまち泣き出してしまいそうだ。
パロムの方はというと、ませたというよりもヒネた顔で、どうやらこの年頃の男の子を象徴する
ような悪戯ものらしい。勇ましいのか、無鉄砲なのか、どちらにしてもとても援護になどなりそう
にない。
最終更新:2007年12月13日 04:43