二節 試練19


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「ご好意はありがたいのですが、この試練は私に課せられたものです。己の可能性を試してみたい
のです。それに・・なによりこの二人を守る自信が、今の私にはありません」
 その言葉はあながち嘘ではなかったが、セシルの本音ではない。率直に言って、お断りだった。
彼らへの負い目はあるものの、子守りなどしている余裕など自分には無い。
 彼のそんな意図を知ってか知らずか、長老も引こうとはしなかった。
「そなたが気にかける事はない。幼いうちに外で修練を積むのは我ら魔導士のしきたりなのだ。
 遅いか早いかの違いだけ、二人にとっても良い機会なのじゃ」
「しかし、やはり子供を・・」
 なおも了解しかねるセシルに、ふっと心地よいぬくもりがおとずれた。
 同時に身体に残っていた痛みが和らいで、顔の腫れがひいてゆくのを感じられる。
 振り向くと、ポロムが手を合わせて魔法の詠唱を唱えていた。
「・・いかがでしょう? なにぶん修行中の身ですのでまだまだ未熟ではありますが、お身体の
お傷を癒してさしあげることぐらいはできると思いますわ」
 そういって少女は品のいい笑みを浮かべた。見下ろす暗黒騎士は無言ではあったが、その視線が
先ほどまで自分をただの子供と見なしていたものとは違うことを、彼女は見逃さなかった。

 ・・と、
「オイラも見せてやるぜ!」
 ポロムにいいところを持っていかれたと思ったのか、パロムが俄然騒ぎだす。
「だめよ、パロッ・・!」
「ファイアーッ!!」
 慌ててポロムが止めに入ったのは、パロムの手から既に火球が放たれたあとだった。
 ふざけた言動とは裏腹に、こちらも完璧な魔法だった。
 ただし、完璧に場違いだ。でたらめに飛び出した炎は、足下の繊細な模様の絨毯に狙いを定め、
たちまち床に火が燃え広がった。すぐさま長老が魔力の水を呼び起こして鎮火する。

「パロムッッッ!!!」 
 逃げ足が早くなくては悪戯は成り立たない。
 長老の激が飛んだときには、もちろんパロムはその場から影も無く消え失せていた。
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