二節 試練34

その姿は何処か間の抜けた感じで、とてもゴルベーザが従えてるようには見えなかった。
「ロー……捕らえた女は?」
バロンへと帰路につく際、カインは彼女と一度も合っていない。
ゴルベーザは彼女を別の飛空挺に乗せたのだ。もっともファブール攻撃に出撃した赤い翼は
バロンに帰らずここに来た。とすればローザもここの何処かにいるだろうと思ったのだが。
「あの女か……そこにおるぞ」
部屋の奥、指さす方向にローザはいた。だがその身は鉄の台座に横たわらせ、両腕と四肢を
鎖で縛られていた。
「ゴルベーザ! この仕打ちは!」
その痛ましい姿を見て思わずカインは声を荒げる。
「安心しろ、殺しはせん」
「だが……」
縛られた不自由な体のローザは虚ろな瞳でカインを見つめていた。
「無理に外そうとするなよ。上を見ろ」
ルゲイエの声につられ天井を見上げる。巨大な刃物が獲物を求めるかのように光り輝いている。
「もし外そうとすると、その嬢ちゃんがどうなるかは分かるだろ?
フフッ、そうじゃよ……フフフフッ」
ボサボサな髪を掻きながら、不気味な笑い声を上げる。
先程までの間の抜けた表情は消え、その顔からは狂気すら見て取れた。
「くっ……」
「ところで、土のスカルミリョーネは何処に?」
ゴルベーザがルゲイエに訪ねようとした時……
「こちらに!」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2007年12月13日 04:57
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。