三節 山間2


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 草原と岩肌の境界線にさしかかり、セシルたちは眼前の山を見上げた。真っ青な空を突き抜ける
ようにその体躯を伸ばして、山が悠然と彼らを見下ろしている。
「たっ……けぇー………」
 パロムの口から自然にこぼれた言葉に、二人も言い知れず同調した。その高さたるや、雲一つ
ない晴天にもかかわらず、はるか頭上に位置する頂が、不思議に靄がかかったように薄らいですら
見えてしまうほどだ。以前に登ったホブス山よりも一回りも二回りも大きい。三人はしばしの間、
自然の生み出した脅威に思い思いの敬服を抱いていた。見上げる首が痛くなってくるまで。
 セシルは身を預けていたチョコボを降りて、離してやる。森に入ってすぐにチョコボの群生地を
見つけられたのは幸いだった。
 木立の中に消えていくチョコボを見送りながら、セシルはそこまでの道程を振り返った。

「山までは、獣の足で一日。大人の足でまた二日。子供の足ではたどり着けぬ」
 そう話に聞くように、遠いだけでなく頻繁に魔物のうろつく道中を、しかも子供連れときては、
長い道程になりそうだなと懸念していたセシルであったが、他ならぬ双子がその思惑をひっくり
返してくれた。
 はじめこそ、経験したことのない実戦に戸惑っていた二人であったが、セシルの陰に隠れながら
戦いに身を置く内に、すぐにその頭角を現してきた。一つ戦闘を終えるごとに、一つ新しい魔法を
習得している。その成長ぶりときたら、傍で見ているセシルも呆れ果てるほどであった。
 パロムなどはすっかり戦いの味をしめたらしく、二日目には先陣を切って暴れ回っていた。
そんな弟を諌めるポロムも、自分の成長に興奮気味の様子だった。彼らは自身が秘めていた
可能性に、沸き立っていたのだ。こういう時、その成長は留まるところを知らない。
 ごく稀にこういう子供がいるものだ。成長がまた成長を促し、それこそ天才としか言いようの
ない、怪物のような素養を持った子供が。
 以前に剣を教えた子供の中にも、こんな子がいたっけな。
 そう思うセシル自身も、幼少の折りに周囲から驚嘆の目で見られていたのだが、そこは謙虚な
彼の知るところではなかった。
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