FF7AC The black brothers6

「もしかして…僕を騙した?」
相変わらず悠然と戦いの様子を並べながら、カダージュは会話を続ける。
「やっぱり母さんはそっちなんだろう?」
バイクから降り、落ちつかなげに辺りをうろうろ歩き回りながら言う。
「怒鳴るなよぉ」
立てかけたバイクに寄りかかりながら、茶化すように言う。
「あんたとは話したくない。…社長に代わって」
暫しの沈黙。
「…社長?これ、どういうことなのか説明してもらいたいなぁ」
危険なほど甘い笑みを浮かべながら、脅しをきかせる響きを伴って言い放つと、また荒野の方に目をやる。
まだ戦いが続いていた。

もう何度目かわからないクローの一撃を、クラウドは相変わらず剣で受け止める。
しかし、その拍子に、ハンドルを握る左腕に激痛が走った。
その痛みは頭にも及び、偏頭痛のような感覚に一瞬目が廻る。
一年と半年以上、彼をずっと苛み、苦しめつづけてきた苦痛だった。
焼石が冷めるのを待たず、ロッズはスタンクローを器用に剣に引っ掻け、
クラウドの握力が落ちていた一瞬の内に、彼のファースト剣を投げ飛ばしてしまった。
すかさずヤズーが逆側から接近し、車体を叩きつけてバイク同士を密着させる。ロッズも同じようにしていた。
これでクラウドから全ての反撃の手段が奪われた。
剣は失われ、バイクは挟まれて身動きが取れない。さらに40匹以上のモンスターが周囲を並走している。
そしてヤズーが勝ち誇った表情で鼻を鳴らし、短銃をクラウドの側頭部につきつけた時、
―――彼等を取り囲んでいたモンスターの群れが、一瞬にして消え去った。
それを見たロッズはまたも笑いながらクラウドから離れ、ヤズーもロッズに一拍遅れて去っていった。
カダージュがモンスターを消し去り、2人に引き上げの合図を出したのだった。

クラウドはバイクを停め、彼らが去っていったほうを呆然と眺めていた。
あれほど執念深く追って来たと思ったら、いきなり退いていった。
…レノからの電話と関係があるのだろうか?
ぼんやりと思考をめぐらす。そうだ。あいつから何か聞き出せるかもしれない。
そう考えたクラウドは、地面に投げ捨てられた剣を探し出し、回収してから、彼が待つというヒーリンへ急いだ。

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最終更新:2007年12月13日 06:54
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