「俺には…誰も助けられないと思うんだ」
暗く、重く、絶望的な声。
「家族だろうが…仲間だろうが…誰も…」
―――ああ、それで…
そこまで言ってまた黙るクラウドの背から視線を放し、ティファはまたうつむいた。
―――まだ、あなたはあの事を…
「…ズルズル ズルズル」
何度目かの沈黙の後、やはりティファが口を開いた。
失望したような、諦めきったような、うんざりしたような、そんな声。
クラウドがやっと振りかえると、ティファはクラウドに背を向けていた。
「ズルズル ズルズル!」
また言う。先程よりも少し大きい声だった。
その後の言葉を、意外な人物が引き継いだ。
「いつまで引きずってんだよ、と」
その声のした方に、クラウドとティファは同時に振り向く。
いつのまにか、タークスの2人が寝室の中に戻ってきていた。
「見つからないの!?」
すがるようにティファが訊く。
「銀髪の奴らが連れてった。目撃者がいたぞ、と」
レノが落ちつかなげに部屋を歩き回りながら、答える。
「行き先は?」今度がクラウドが、この時ばかりは急き込んで訊く。
「忘らるる都」ルードが答える。
「…アジトだ」
彼は腕を組んで壁に寄りかかって立ったまま、付け加えた。
その後、ティファ、レノ、ルードの3人が、意味ありげな視線をクラウドに送る。
その視線の意味する所を、クラウドは解かっていた。
暫く沈黙した後、彼は口を開いた。
最終更新:2007年12月13日 07:11