FF7AC The strange children2

「なに、怖がることはないよ。これは僕が授かった、ありがたい力なんだ」
カダージュと名乗る男が光る腕を振り上げながら、声高らかに言った。
全身黒尽くめの衣装に、子供の頃からまったく成長していないような顔立ち。得体の知れない、不気味で小柄な男だ。
「人間を苦しめる、この星と戦う力をね」
言葉を続け、小さい湖の対岸から、デンゼル達ひとりひとりに、睨むような視線を送る。
その刺すような眼光に身動き一つ取れないでいると、彼は少しだけ表情を和らげた。
「実は、この力はみんなも持っているんだ
 …わかるかい?そう、僕達は兄弟なんだよ」
え?
「もう一度言うよ。僕達は実はみんな兄弟なんだ。
 ライフストリームに溶けていた、母さんの遺伝思念を受け継いだ、選らばれし兄弟なのさ!」
困惑が辺りを包むなか、カダージュが畳みかける。
デンゼルも混乱していた。
兄弟?いったいなんのことだ?母さんの遺伝思念?母さんなんて、見たこともない。
周囲を見渡すと、みんな一様に、どういうことだ、わけがわからないという顔をしている。
「…でも」
次々と涌き出る疑問に囚われているのもつかの間、カダージュがなおも話し始めた。
「星がみんなの邪魔をしている…」
この時、奇妙なことが起こった。
デンゼルの左隣にいた男の子が突然悲鳴をあげ、脇腹の辺りを押さえて倒れたのだ。
どうしたのかと訝る暇もなく、デンゼルの額に鋭い痛みが走った。
「…ほらね、また始まった」
カダージュの怒気を含んだ、冷ややかな声が響く。
「星がみんなを呪ってる。僕達の成長を止めてしまおうとしているんだ」
額の痛みがこれまでにないくらいに強まっていく。目に涙が滲む。
「だから!君たちの体は痛み!心が挫けそうになるんだ!」
デンゼルは壮絶な苦痛に耐えかね、地面に倒れこんだ。頭が爆発する。手足が千切れそうだ。
痛い。苦しい。やめて。誰か助けて。お願いだから…

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最終更新:2007年12月13日 07:14
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