FF7AC Suffering and Insanity3


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それから彼は、兄弟とともに岩と霧の世界を練り歩いた。
 なんのあても根拠もなかったが、歩いていった先に母がいる気がした。
 母さんに会えば、どうやって星に復讐すればいいか教えてくれる。母さんさえいれば、僕たちはなんでもできる。
 彼らはそう信じて疑わなかった。

 どれほど歩き続けただろうか。
 そろそろ足が疲れてきたというときに、靄のむこうから、風とは明らかに違う音が聞こえてきた。
 「ツォンさん!見てください!」
 それは音ではなく声だった。しかし、彼はその声が妙に耳障りだった。
 兄弟たちも同じだったのだろう。苦々しげに顔をしかめている。
 「…あたりだな」別の声がさっきの声に応える。この声も耳に障った。
 「…気持ちワルイっすね」最初の声が、蔑んだような響きを伴った。
 彼は妙に胸騒ぎがした。その声の聞こえる方へ走った。兄弟たちも急いで追ってくる。
 『いーから急げよ、と』また別の声が聞こえてきた。これまでで一番耳障りな声だった。
 そのすぐ後、靄の向こうに声の発信源が見えた。

 そこにいたのは彼らと似通った、しかし根本的な何かが違った姿の生き物だった。
 こちらに背を向け、地面にかがみこむようにしてなにやら腕を動かしていたが、
 やがて四角い箱のようなものを小脇に抱え、立ち上がった。
 その抱えられたものを見た瞬間、彼の神経のすべてが逆立った。
 あのちっぽけな箱に閉じ込められ、運び去られようとしているのは―――
 間違いない。彼らの母だ。
 ―――やめろ―――
 彼は全身を怒りの炎が駆け巡るのを感じた。思考の一部がスパークする。
 ―――それは、僕たちの母さんだ―――
 兄弟たちも彼と同じ状態だった。拳を握り締める音と、異様なほど大きい歯軋りの音が聞こえる。
 ―――母さんを、放せ!!―――
 そこで彼の思考は途絶えた。考えるよりも先に、体が動き出す。

 甲高い咆哮を上げ、カダージュはふたりの人間に背後から襲いかかった。
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