三節 不和の旋律10


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たっぷりと水気を含んだ空気が遠景を朧に滲ませ、立ち上る陽炎が地平線を歪めている。
黒ずんだ森の表面には、蛇行する褐色の筋が走っている。トロイア二大河川の片割れ、ハルワタートの支流のひとつだ。
雨季のあいだ降り注いだ雨水に、削り取った表土を溶かし込んだ濁流は、季節ごとに川筋を変え、無数の三日月湖と共に地を歩むものの行く手を阻む。
しかし今やそれも、単調な景色に添えられたアクセントでしかなかった。

『クエッ!!』

ざんざんざん、と葉を揺らし、強靭な脚が枝を蹴る。翼を広げ気流に乗って、一気に河を飛び越える。
吹き抜ける風がセシルの髪をかき乱し、後方へと引っ張った。ちぎれて雲になりそうだ!
セシルたちを乗せ、黒チョコボはトロイアの空を駆け抜けた。
黒チョコボとは、ごく最近になって見つかったトロイアの固有種である。通常のチョコボより一回り大きな体と、はるかに巨大な翼を持ち、主に樹上で生活する。
最大の特徴は、なんと言っても空を飛べることだ。
とは言うものの、その飛行法は鳥よりも飛竜のそれと近い。木の枝を蹴って飛び上がり、翼で滑空するのである。
羽の色も黒というには薄く、紫に近い。
だがトロイアの人々は、滅多に地上に降りないこの亜種を、あえて慣れ親しんだお伽噺と結びつけたのだった。
『クェ~~~!』
潮の香が混じり始めた風を受け、高々と黒紫の巨体が舞い上がる。
海峡を飛び越え、四羽の黒チョコボは森の縁に降り立った。
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