四節 Eternal Melody1


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地底から巨大な城が生えている。磁力の洞窟に踏み込んだセシルは、そんな印象を受けた。
入り口こそ狭いものの、その先に続く空間は恐ろしく広く、そして深い。
生ぬるく湿った空気をたたえた底知れぬ深遠から、無数の岩の柱が突き出して、平らな柱頭を足場として提供している。
そしてそれらは、何本もの橋によって結ばれていた。
「変わった組み方じゃの。
 しかし頑丈なのは間違いないな」
目の前の橋を拳骨で叩き、シドは感心したように顎を撫でる。
彼の言うとおり、しっかりと組まれた木材は表面こそ朽ちているが、技師の荒っぽい試験にも立派に耐えていた。
せいぜいが数人規模の探索者が、ありあわせの材料で作ったものには見えない。
きちんと測量し、正確な図面を引き、しかるべき処置を施した建材で造られたものだ。
そのつもりで周囲を観察すると、青みがかった灰色の岩肌に細い窪みが並んでいる。動物の角を象ったレリーフに囲まれ、底には蝋の塊が残っていた。
「これは良い道標になりますな」
早速ヤンが予備の松明を挿した。いざというとき、手を使わず明かりを維持できるだけでもありがたい。
「時期を選べば、簡単に来れるって話だったけど。
 思った以上に人の手が入っているみたいだね」
「あるいは、人間以外の種族が住んででもいたか」
「ドワーフか。
 会えるものなら会ってみたいもんだがの」
テラのほうは軽い気持ちで推測を述べたのだろうが、シドの声は半ば本気だ。
洞穴に暮らすドワーフ族は、古代の英知を蓄え、匠の技を誇るとされる。頑健矮躯、鉱物と酒をとりわけ愛する、とも言われる。シドとはさぞ気が合うだろう。
だが残念なことに、ここに棲みついているのは陽気な小人ではなく、敵意をむき出しにする魔物たちなのだった。
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