四節 Eternal Melody19


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

ギルバートの歌は、目覚しい効果をあげた。
「ナンダ! コノ、フカイナオトハ!」
ダークエルフは身悶えし、せめてもの抵抗とばかりに、枯れ枝のような指で尖った耳を押さえている。
その尋常でない苦しみようは、全滅をも覚悟の上で再戦に臨んだセシルたちが、拍子抜けするほどだった。
「そうかそうか気に入ったか!
 ホレホレ! たーっぷりと聞かんかい!」
小刻みに震える妖精に向けて、シドがヒソヒ草を突き出す。ダークエルフは悲鳴を上げて、台座から転げ落ちた。
「木槌の仇じゃー!
 ホレホレ、ホレホレ!」
「グ……ゲゲゲ! ガゴゴ……」
あれほどセシルたちを悩ませたダークエルフが、起き上がることも出来ず、芋虫のように床の上を這いずり回る。
調子付いたシドは、軍旗のごとくヒソヒ草を振りかざし、その後を追い回した。
「技師殿も、案外根に持ちますな」
「道具は職人の命、ってよく言ってたからね……」
「ふん、見苦しい!」
テラの表情は苦々しい。セシルも、さすがに悪乗りが過ぎると感じた。
敵の力は、まだ消えていない。竪琴の力を借りて、一時的に抑えているに過ぎないのだ。
演奏が続いているうちに、次の手を打たなければ。
「今のうちに止めを刺すか?」
「……いや、クリスタルさえ手に入ればいい」
土のクリスタルのせいで、ダークエルフの魔力が増大している。ならばそれを取り戻せば、恐れる必要はない。
甘い、と言いたげな視線をテラが送るが、セシルはどうも、ダークエルフの命まで奪う気になれなかった。
半分は、眠りに落ちる直前に聞いてしまった話のせいだ。残る半分はシドのせいだが。
「それでいいだろう。
 クリスタルさえなければ、さして害のある存在ではないようだ」
賛同してくれたヤンにうなずきを返し、セシルはクリスタルを目指して足を進めた。
そこへ、シドに追い立てられたダークエルフが体当たりしてくる。ただの偶然か、少しでも邪魔をしようとしたのかは分からない。
セシルは足元を一瞥し、邪魔な妖精を無雑作にまたぎ越した。
次の瞬間。
ヒソヒ草から、ぶつ、と異様な音が響いた。
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。