その沈黙と同時に、周囲のアンデッドたちの動きまで止まってしまった。いや、正確には
止まっているわけではない。彼らは立ち尽くしたまま、まるで痙攣でもするかのように、
カタカタと身体を震わせていた。それも皆が皆、振り子のように同じ波長で揺れていた。
その中心に、分厚いローブに包まれて、身じろぎすらしない影がいた。
「!!!」
セシルたちは目を疑った。
いきなりスカルミリョーネが大きく身を逸らしたと思った途端、その小さな身体がメキメキと
異形に膨れ上がり、ローブの下で暴れだしたのだ。やがて彼の身体の隆起は地面にも伝わりだす。
固い岩盤の地が波のようにうねり、その流れがローブの内側に流れ込んで、スカルミリョーネは
ますます膨れ上がってゆく。勢いは増しこそすれ、いっこうに衰える様子を見せない。
アンデッドたちは、今や恐怖にのたうち回るがごとく強烈に震えていた。スカルミリョーネは
まだ大きくなる。ついにセシルの身の丈の二、三倍ほどにまで膨れ上がったとき、アンデッドの
一匹が弾け飛んだ。
パチパチ、と枯れた葉を擦り合わせるような音で彼らはふっと我に返った。
いつのまにかスカリミリョーネが拍手を贈っていたのだ。やはり小柄な姿で。
周囲のアンデッドは、気味の悪いうなり声をあげて、フラフラと立っていた。その数はさっき
までと変わらない。首を切られた一匹が、なんとかまた身体にくっつけようと悪戦苦闘していた。
「素晴らしい」
敬服と嘲りを均等に含むような、そろぞらしい声。
拍手をやめると、スカルミリョーネはまたあの笑みを始めた。
「流石はゴルベーザ様のお目に止まった男、なかなか楽しませてくれる。
だが……、その時間稼ぎがどこまで続くものかな…………クカカカ」
最終更新:2007年12月14日 04:04