三節 山間49


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「おい! 向こうから何かが近づいてくるぞ」
「本当か?」
ミシディアの早朝。店先で欠伸を一つして物思いにふける店主の耳に聞こえてきたのは城壁近くにいた
黒魔導師達の話声であった。
「速いぞ、どんどんこちらに近づいてくる」
「あれはチョコボか?」
チョコボ? この大陸にあるチョコボの主な生息地は試練の山の周囲を取り囲む森だけだ。一応、他にも
散在してはいるものの、その規模は大して大きくない。まして人間を背に乗せ走るチョコボは唯でさえ数
が少ないと言うのに。それでは――
起きたばかりでまだはっきりとしない頭で、そこまで考えていると大きな音がしてきた。
これはチョコボの足音だ、大きくなっているということは、ミシディアを目指していると見て間違いない。
やがて足音が止まり、一つの声がする。

「よっと」
一声と共に、チョコボから降り、門をくぐるその姿には紛れもなく――
「帰ったのかパロム、ポロム!」
「おう」
森へと帰っていくチョコボに向かって手を振りつつパロムが威勢のいい返事を返す。
「それで……」
暗黒騎士はどうなったのか。それが気になり、訪ねようとした時、二人の近くに見慣れた人物を見た彼は
思わず質問を変更せざるをえなかった。
「あんたは賢者テラ……なのか?」
「ああ」
自分の事に気づいたのかテラはややそっけないといった感じの返答をする。
「何だ、おじちゃんも知ってたのか。何でも凄い高名な人物らしいぜ」
「そうなのか」
続けて最初の疑問を尋ねようとする。しかし、わざわざ質問する必要すらなかった。
「あんたは……」
試練の山から帰還した一行の中、彼が知らない人物が一人混じっていた。それに暗黒騎士の姿が見えない。
と言うことは。
「よう。どうした?」
後ろから声をかけてくる者が一人。ざわめきを聞き取ったのか、偶然に近くを通った。
「ああ。その……」
「どうした? え……」
先程、店主を悩ました光景はこの若い男にも目に入ったらしい。そうして彼もついさっきの店主と同じ
驚き方をした。
「あ……えと……とにかく長老のところへ知らせの行ってくる!」
若い男は言い終わらぬ内に走り出してしまった。
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