三節 山間63


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「それで何か御用でしょうか?」
「お荷物が届いています」
一通りの挨拶を終え、用件を尋ねると女官は部屋の前に置かれた一つの包みを指さす。
「これは?」
「武具屋の店主さんから餞別だそうです。重いのでご注意ください」
ここまで持ってくるのも相当な苦労でしたと苦笑する。
セシルもその荷物を持ち上げようとする。それは確かに見た目以上の重さを有していた。
何とか部屋まで運び込み、女官に礼を言って扉を閉める。
持ち込むのも困難であったが、梱包されたその荷物を紐解くのも結構な労力を使用した。
「これは……」
開いた荷物から覗いたものは鎧であった。
それだけでなく、篭手を始めとした防具一式が詰め込まれていた。
そのどれもが渾身を込めた出来であり、丁寧に鍛えられたものであった。
「パラディンの……」
試練の山へ向かう前準備として、武具屋に行った時があった。
その時、店の一番目立つ所に安置されていた、鎧を思い出す。
――これはパラディン用の装備さ! あんたみたいな暗黒騎士には使えるわけがねえ――
店主の皮肉めいた苦笑が思い出される。
「あの時の鎧か? でも何故……」
信じられない気持ちでその鎧を眺めていると、荷物が入っていた箱の奥底に何かが残っている事に
気づく。
拾い上げてみるとそれは小さな紙切れであった。
じっくりと眼を凝らしてみると、文字が刻まれていた。
――頑張れよ――
大雑把な文字でそう書かれていた。
「…………」
ぎゅっと紙切れを握りしめ、懐にしまう。
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