二節 再開の調べ14


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

「どうする、まだ探すか?」
「ああ。
 いや……」
ヤンの問いに対し、セシルは言葉を濁した。
音楽の心得を持たないことにかけては、セシルもヤンと大差ない。先ほどの演奏が、間違いなくギルバートのものか、急にあやふやに思えてきた。
竪琴ぐらいどこにでもある。詩人などどこにでもいる。
一度我にかえると、なぜあんなに強く確信することが出来たのか、自分でもわからなかった。
本当にこの城のどこかにギルバートがいるのなら、是非とも会いたいと思う。だからといって、本来の目的を放り出してまですることではない。
理屈ではわかっていながら、どうしても、ここにギルバートがいるはずだという直感をセシルは捨てきれなかった。頭の隅に何かが引っかかっている。
心を決められずにいるうちに、やや息の上がった年長組が追いついてきた。
「どうしたんじゃセシルよ。いきなり走り出しおって」
「この城の女どもは、まだ我々を警戒しているようじゃ。突飛な行動は慎まんか。
 ……誰を探しとるか知らんがな」
「すまない。もういいんだ。市街に出よう」
セシルが探索を諦め、踵を返したその途端。高く鋭い音が、4人の耳を打った。
戯れに爪弾いているだけなのか、旋律らしきものはなく、ただ澄んだ響きが雨だれのように鼓膜をくすぐる。
「……こっちか!」
いち早く身を翻したヤンに続いて、回廊を走り抜ける。ふと、鎧のたてる金音がやけにうるさいことに気がついた。竪琴の音をかきけしてはいないかと、足を緩める。
多少静かにはなったが、金属を打ち鳴らす音は止まない。
それはセシルたちの前方、中庭に停めた飛空挺の側で鳴っていた。
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。