四節 これから1


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一瞬の空白を挟んで、歪んでいた視界に秩序が戻る。石造りの古びた壁と、閉ざされた質素な扉。厚く積もった埃、黴臭い澱んだ空気も含め、周りの様子に大きな違いはない。
だが扉を押し開けると同時に、懐かしい風がセシルの頬を打った。
ミシディアの潮風とは明らかに違う、ほどよい水気をはらんだ空気。
カインとローザと3人で町を歩いた時も、飛空挺の甲板で間近に雲を見上げた時も。常に彼の隣で舞っていたバロンの風が、パラディンとして戻ったセシルを迎え入れた。
「……大丈夫。誰もいない」
ミシディアのそれと同様、バロン側のデビルロードも人々から忘れられて久しい。質素な小屋から現れた4人の姿を見咎める者はいなかった。
いま騒ぎをおこして得る物はない。ゴルベーザを討つまで、なるべく目立たないよう行動すると昨夜のうちに決めてあった。
が、それはセシルとテラ、二人の間のことである。
「すげ~、ほんとに来ちまった!!」
悪魔の道といえど、生命力と探究心でいっぱいの少年を阻むことは出来ないらしい。扉を抑えたセシルの腕の下から、勢い良くパロムが飛び出す。
「あっ、こら!」
さらにポロムがそれを追い、ものの数歩も駆けぬうちに、二人そろって足を止めた。仲良く隣り合って空を眺める二人の顔を、のぼりゆく朝日が染まる。
「ものすごく長い距離を移動すると、たまにこういうことがあるんだ。
 時差、っていうらしいよ」
あんぐりと口を開けたまま振り向く双子に、笑いを噛み殺しながらセシルは説明を続けた。
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