四節 これから2


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太陽は、東から西へと動きながら、世界を順繰りに照らしていく。その光の当たり始めると朝が訪れ、光が去って再び当たるまでの間が夜と呼ばれる。デビルロードで海を渡るついでに、セシルたちはその境目──すなわち夜明けを追い越してしまったのだ。
とはいえ実のところ、はっきりと時間を遡るのはセシルにとっても初めての経験だ。言葉だけではどうにも伝えづらかったのだが、地面に図を描くと、双子はたちまち理解した。
「おもしれ~!
 兄ちゃん、色んな事知ってるんだな!」
「本当です。おどろきました!」
「まあ、受け売りだけどね。
 ある人から教えてもらったんだ」
赤い翼が設立される前のことだ。飛空挺で遠出をすると、出発前に考えていたよりも日暮れまでの間隔が長い、あるいは短いような気がすると多くの者が気付き出した。古い文献をひっくり返し、このなんとも不思議な、時差という現象の存在を突き止めた。
大昔、デビルロードを用いた交易が活発だった時代には、広く知られていたらしい。
「飛空挺って……思っていたのより、ずっとすごいです。
 お日さまを追いかけてゆけるなんて」
「ほんとだよ。やるじゃんか、バロンの連中もさ!
 なあ、もしかして、ずっと飛びつづけてたら、ずぅ~~~っと夜にならなかったりするのか!?」
これは思いがけない質問だったので、しばらくセシルは考え込んだ。確かに理屈の上では、それも可能な気はするが。
「さすがにそれは、試してみないとわからないな……。
 でもそんなに速く、長い時間を続けて飛べる飛空挺はないんだよ。
 君たちが大きくなる頃には、出来てるかもしれないね」
最後の言葉に確証はない。ふたりが目に見えて落胆したので思わず口にしてしまったが、なんといっても飛空挺はまだ新しい技術だ。改良を重ねた末にいったい何が可能となるのか、誰一人わかっていない。
”わしは飛空挺を、人殺しの道具になんぞしたくないんじゃ!”
──思い浮かんだ懐かしい声は、己が目指していく先に不安を抱き始めていた。その予感が現実になっってしまったとき、彼はどれほど嘆いたのだろう。
この子たちの願いを叶える為になら、喜んで知恵を絞ったろうに。
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