四節 これから3


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「なにをつまらん話をしておる!
 特にセシル、おぬしは今の状況がわかっておらんのか!!」
がつがつ、がづっ。
憤怒に顔を染めたテラが、杖で三人を打ち据える。
「なるべく目立たぬようにすると、申し合わせておったではないか!
 こんなところで下らぬことをダラダラと……少しは頭をつかわんか!」
「テラ様、どうか落ち着いて!」
「じいちゃんの怒鳴り声のほうがまずいって!」
言っていることはもっともなのだが、自分はともかく、双子まで本気で殴るのはやりすぎだ。なるべく子供たちに打撃が行かないよう体で庇いながら、嵐の通過を待つ。
長く耐える必要はなかった。いくら頑健であろうとも、老人であることに変わりはない。デビルロードの影響もあってか、すぐにテラは息を切らし、その場にすわり込んだ。
いくら理由を尋ねても口を利かず、息を整え立ち上がってもまだ無言を通すテラに、セシルたちも根負けして場所を移すことにした。
みっつほど角を越えた先には共用の井戸があり、周辺が小さな広場となっている。朝一番の水を汲みに来た人々が、そこで列を作っていた。
異様なほど、静かだった。
音はある。風が生む葉擦れの音、桶に空けられる水の音、木と石が触れ合う音。水槽の縁に陣取った小鳥たちのまばらな囀り。だが人の声がない。
二十人近い女性が集まっているというのに、雑談はおろか、軽い挨拶さえ交わされていないのだ。
「……なんか、気味悪いな」
率直な感想を告げるパロムの声も、別人のように大人しい。セシルの目から見ても、やはり、荒んだ印象は否めなかった。
みな一様に顔を伏せ、黙々と自分の作業だけをこなして足早に去っていく。脇道との境に立つセシルたちに注目する者もない。たまにこちらを見たとしても、関わり合いを避けるように顔を背ける。
その女性も最初は同じように、無言のまま通り抜けようとした。セシル達が潜む路地を数歩ゆき過ぎて、あわてたように踵を返す。見開かれた眼は、まっすぐセシルへと向けられていた。
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