四節 これから29


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「入れ……」
控えめなノックの音が部屋に響き渡る。
昼下がり、扉とは反対側にある窓から差し込む光にやや陰鬱な気分を抱いていたベイガンは外を眺めつつ
指示を下す。
窓からは町は見渡せない。広がるのはミストとバロンを仕切るように連なる山脈である。
「失礼します!」
声とともに扉はゆっくりと、それでいて慎重に開かれる。
勢い勇んで入室してきたのはバロンでも最強との噂の近衛兵団の団員であった。だが、今は
普段の勇猛果敢な姿はすっかりなりを潜めている。
それどころか、がちがちに固まり直立するその姿勢は怯えの姿勢である。
「何用かな?」
ベイガンは部下の労いの言葉も無しにいきなり切り出す。
「はっ! はい……」
その無情ともとれる態度に兵士はさらにだじろぎ、語気は萎んでいく。
もはや平静を保つのがやっとであった。
「ヤン様が……私たちに反旗を翻しました……」
何とか伝えるべき用件を声に出す。
それは、最近のバロンの情勢を見るに厳重な処罰が下されてもおかしくはない程の
失態であった。
失態の帳消しの為、事情を明かせる者達だけを連れて再戦を挑みに行った。
しかし、勢力を増したにも関わらず、失態を消せるほどの成果はあげれはしなかった。
それどころか、幾多の同僚を討ち死にさせる結果となってしまった。
追いつめられた兵団達のとった行動は団長へ一連の事態を報告する事であった。
そして、その大役と勤める事となったのが、返り討ちにされた者の中で比較的傷の浅かった彼であった。
「やはりな……まだ完全ではなかったからな」
だが、ベイガン自体はその報告に特になんら感想を抱かなかった。
まるで、あらかじめこの自体を想定していたかのように平静を保っていた。
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