四節 これから37


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「誰!?」
急な出来事であったので、彼女は思わず厳しい声で問いかけた。
「あなたは……」
扉から出てきた人物を彼女は知っていた。
「ベイガン様……」
ベイガン程の役所であれば、城に勤務するなら、知らぬ者はいないであろう。
「すいません。驚かせてしまったようですね」
見るとベイガンは珍しく本気で驚いた様子であった。
職業柄、人と接する機会の多い彼女はこのような場を取り繕うのは得意な方であった。
「こんなところまで何用かな……」
「あっ! 少し気になった事があったのですが、もういいんです」
無意識の内に口がそう告げる。少しでも速くこの場所から去りたかった。
「では……」
そう言って身を返し、立ち去ろうとする時――
ベイガンの長身の後ろから僅かに見える室内の光景を見てしまった。
石造りのタイルに赤い水溜まり。そして嫌な臭い。
これは血の臭いだ――
それだけで、この部屋でどのような事が行われたかを想像するのは難しい事ではなかった。
「どうかしたか」
ベイガンが訪ねる。
「いえ……いいんです。それでは」
本当はもの凄い、吐き気が襲いかかり、今でもその場に倒れてしまいそうなくらいであった。
平静を装おうと努力はしているが、きっと顔は蒼白であろう。
悟られない事を祈りつつ彼女は廊下の奥へと消えた。
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