忍び寄る影(4)


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しばし外を眺めていたタイクーン王はやがて、
そのままの姿勢で、静かに、確固たる意思を込めて言った。
「………装置を、停止する。」
大臣達の動揺が、背中越しにタイクーン王にも伝わってくる。
「し、しかし、それでは………」
「わかっておる。今の繁栄も増幅されたクリスタルのおかげだ。
 だが…」
タイクーン王は振り返り、大臣達を見据えた。彼等は全員立ち上がっていた。
「クリスタルが砕けてしまっては元も子もあるまい。」
水を打ったような静寂が会議室を包む。
大臣達の沈痛な表情には、それぞれの苦悩が色濃く出ていた。
ややあって、外務長官が口を開いた。
「………他国は、納得するでしょうか?」
増幅されたクリスタルの力はタイクーン国内だけでなく、他の国家にも及んでいる。
裏を返せば、この国も他国のクリスタルの恩恵の下にあるという事になる。
「納得させる他、あるまい。」
五十年前まではクリスタルを巡って大きな戦乱がたびたび起こっていた。
その戦乱に終止符を打ったのがシド博士の発明品である。
それまでは、周辺のごく限られた地域にしか及ばなかったクリスタルの恩恵が、
この装置によって世界中に行き渡るようになったからだ。
しかしそれを停止したからといって、再び戦乱の世に逆戻りさせる事だけは防がねばならない。
タイクーン王は、それまでと違って力強い声で言った。
「ただ、カルナックの動きが気になる。
 これまで以上に情報収集に力を入れて貰いたい。」
「かしこまりました。」
「大臣は、各国の執り得る―――」
「陛下ーーーー!!」
伝令の必死な叫び声に、指示が途切れる。

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