「枕元でばあちゃんが話してくれたのは…本当の話だったのか?」
「魔大戦の存在自体はな。フィガロにもいくつか古い文献は残っているが、
その詳細に関するものはほぼ失われている。
文字通り魔大戦が全てを焼き尽くしたというわけだ」
エドガーの答えに、ロックはお手上げとばかりに両手を広げ、肩をすくめた。
「しかしバナン様、またその時の悲劇が繰り返されるというのですか?」
バナンはふむ、と呟き、腕を組んだ。
「わからん。そもそもがもう千年も前の話じゃ。
それに歴史学者によっても諸説あるからのう。
一説よると幻獣から力を取り出して、人間に注入させたとのことだが…」
「それが魔導の…力?」
ティナの声音は不安に満ちている。
眉間に深い皺を刻んだまま、エドガーはしばらく沈黙していたが、
やがて顔をあげてバナンを見据えた。
「…だとすれば、帝国に立ち向かうには、
こちらも魔導の力を手に入れるしかないのでは?」
「ならん!それではまた魔大戦と同じ間違いを犯す事になってしまう」
バナンは初めて声を張り上げた。
「では、どうしろと?」
エドガーの問いにバナンは腕組みをし、答える代わりに、
まじまじとティナを見つめた。
「幻獣と話ができないかと考えているのだが、どうだ?」
「話をする?幻獣と!?」
ティナが答えるより早く、エドガーが口を開く。
バナンの予想外の提案に再び場が騒然となる。
最終更新:2008年03月22日 08:56