SubStory 2 nao chora mais(4)"白"


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ポロムは嘘をついている。
温みを帯びた髪を撫でながら、ぼんやりとセシルは思う。
パロムが、迷いもせず他人を傷つける姿など、彼女が見たがるはずがない。
ただ責任感から、自らの半身に戦いを強いているのだろうか。
それとも。

『あなたはそんな人じゃないわ』

弟のそんな姿を、思い描くことさえ出来ないのだろうか。
絶対の信頼を尊いと感じながら、それは今のパロムにとって、救いにはならないだろうこともセシルにはわかっていた。
魔法がいかに容易く人を傷つけるか、邪悪ならざるものの命をも、容赦なく奪ってしまいかねないものなのか、幼い天才黒魔道士は、見せ付けられたばかりなのだ。
強大な力が落とす影に怯えるあまり、彼自身が持つ光さえ見失ってしまっている。
そして自分を信じられなければ、大きすぎる信頼は逆に、とらえどころのない、薄っぺらなものに思えてしまうものなのだ。
ついこの間までのセシル自身が、まさにそうだったように。
パロムは彼よりずっと聡い。そしておそらく、ずっと強い。ポロムの存在が、あの子にとってどれほど大きな支えとなるか、じきに理解するだろう。
けれどポロムもまた幼い。たとえ一時のことにせよ、自分の好意が届かないことで、傷つかずに済むほど大人ではない。
ならば、今のセシルにしてやれることは──
「ポロム、掴まって」
セシルはポロムを抱き上げ、肩の上に乗せた。
戸惑っていた小さな手が、しっかりと首に回されるのを待って、敷地を囲む塀に歩み寄る。
子供の目線では気づかない。壁の先に待つのは、どこまでも広く、大きな空。
「どうだい?」
「……すごいです」
肩の上で、ポロムが身を乗り出す。セシルの口元にも笑みが浮かんだ。
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