ラクダ(らくだ 駱駝)は、哺乳類・ウシ目(偶蹄目)・ラクダ科・ラクダ属 Camelus の動物の総称。
体の構造
ラクダは砂漠のような乾燥した環境に適応しており、水を飲まずに数日間は耐えることができる。
水を貯蔵する特別な袋があったり胃に蓄えているのではなく、血液中に水分を蓄えている。
ラクダは一度に80リットル、最高で136リットルもの水を飲むが、その水は血液中に吸収され、大量の水分を含んだ血液が循環する。
背中のこぶの中は脂肪が入っていて、エネルギーを蓄えるだけでなく、断熱材として働き、汗をほとんどかかないラクダの体温が
日射によって上昇しすぎるのを防ぐ役割がある。
皮下脂肪がほとんど背中に集中したような構造になっていて、背中からの日射による熱の流入を避けるとともに、背中以外の体表
からの放熱を促す構造になっている。
また、砂塵を避けるため、鼻の穴を閉じることができ、目は睫毛で保護されている。だから、睫毛長い。
ラクダ の蹄(ひづめ)は小さく、指は2本で、5本あったうちの中指と薬指が残ったものである。
種類
ラクダの種類は2つにわけられる。
ヒトコブラクダ
アフリカのサハラ地方で走行用に使われている ラクダ は脚が長くすらりとしている。
ヒトコブラクダは大西洋のカナリア諸島にも見られ、オーストラリア、北アメリカ、イタリア、スペイン南部にも移入され
たことがある。
原産地はアラビアからアフリカ北東部にかけての地域と思われている。
いつ頃家畜化されたのかは不明だが、アラビアではすでに紀元前3000年頃には飼われていた。
暑くて乾燥した土地に適応していて、湿気の多い風土には馴染まない。
ジャワ島に移入されたヒトコブラクダはそこの気候や食物に順応できず全滅してしまった。
フタコブラクダ
フタコブラクダはヒトコブラクダよりも脚が短めでずんぐりとしていて、毛深い。
原産地はトルキスタンからモンゴルにかけての地域で、やはり数千年前に家畜化されたと考えられる。
フタコブラクダはヒトコブラクダよりも歩くのは遅いが、もっと頑丈で250kgの荷物を載せて1日に30~40kmを歩く。
冬ならば水なしで8日、食物なしで4日、歩き続けても平気であるという。
しかし暑さにはあまり強くない。
雑種
ヒトコブラクダとフタコブラクダの間には雑種ができ、カザフスタンではブフト(bukht)と呼ばれる。
雑種の瘤は一つで、どちらの種よりも体格で勝るため役畜として重用される。
ラクダの乳
ラクダ乳は脂肪分が牛乳に比べて少なく、プロテイン(たんぱく質)はラクダ乳が多いと言う結果が出ている。
他の栄養素を比較してみても、ビタミンCは牛乳の3倍、鉄分やカルシウム、
インシュリンなど全ての分野でラクダ乳のほうが保有率が高い。
また、ラクダの乳は牛や人の乳よりも3ヶ月も長く腐らずに保つといわれてる。
人間との関わり
ラクダは『砂漠の舟』とも呼ばれ、アラブ世界では自動車が普及するまで、重要な移動手段であった。
ラクダを最初に家畜化したのは古代のアラム人ではないかと考えられている。
アラム人はヒトコブラクダを放牧する遊牧民、あるいはラクダを荷物運搬に使って隊商を組む通商民として歴史に登場した。
また、肉用、乳用として利用されるほか、皮はなめして用いられ、毛は織物、縄、絵筆などに利用される。
日本でも「らくだのももひき」と親しまれている。落語にもなってる。
特に寒冷な中央アジアのフタコブラクダの毛は織物の素材として優秀である。
かつては木材が貴重品である乾燥地帯では、ラクダの糞が貴重な燃料でもあった。
血液を禁忌とするムスリムとユダヤ教徒以外は、生き血を飲むこともある。
アラブ首長国連邦などでは、ヒトコブラクダのレースである競駝(けいだ)が盛んに行われている。
競馬のように、性別・年齢別でレースが行われる。
レース距離は5-10kmと、競馬に比べると長距離である。
作:あんぱん
最終更新:2008年08月21日 12:56