ストーリー
「彼女は、ちゃんと逝けたかな」
北御蓮にある飛行場の柵に寄り掛かって俺が言うと、隣にいた男がカップに入った清酒を傾けながら答えた。
「さぁ、どうだろうな……。俺にはわかりっこない」
俺も片手に持った缶コーヒーを傾けた。
「それでも、トモゾーは、ちゃんと生きていくんだぞ」
柵の根元にしゃがみこんだ水色のセーラー服を着た少年がジュースの入ったボトルを片手に呟いた。
「……あぁ、そのつもりだよ」
俺は自分の首筋に触れた。
毎朝、起きるとそこにはあいつの噛んだ跡があった。
――今はもう、ない。
――今はもう、どこにもいない。
登場勢力
登場人物
ほか
最終更新:2011年08月09日 12:19