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裏切りのイシュタル/CC『約束』」(2012/11/03 (土) 10:53:57) の最新版変更点

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(napateck) 【美羽】「ん……」ある施設の休憩室に、彼女の姿があった。魔鎧を着けていない姿では、燃えるような長髪はストレートに流している。三奈が施設にいることを知り、メールで話をつけたからか、自分の携帯電話を見つめている感じなのだが……。▽ (lily) 【三奈】「……」静かに休憩室の扉を開ける、いつかと同じ軍服型の魔鎧を纏った姿。扉の向こうに美羽の姿を確認すると、そちらに真っ直ぐ歩いてきて「……すまない、待たせたか」抑揚のない、やや硬い声で▽ (napateck) 【美羽】「……いえ」三奈の姿を見かけると、ほっとしたように少しだけ口元をゆるめて。「ご無事そうで何よりです」三奈の姿は、退魔士として再起したように見える。洗脳を乗り越え、再び会うことができたことに、美羽もほっとしたのだろうか。▽ (lily) 【三奈】「“アマリリス”……香田 美羽」自分自身に確かめるように、美羽の氏名とコードネームを呟くと。「そうだ……覚えている」その事実に安堵したように、硬い表情を少しだけ緩め「……あの時は、手間をかけさせたな」未だ罪の意識があるのか、美羽の微笑みから微妙に視線をずらし▽ (napateck) 【美羽】「いえ……私も、弱かったのもありますし」精神的に脆い部分をクリティカルに突かれ、やたらと動揺していた記憶ばかり浮かぶ。それでも、必死に三奈のために戦っていたのは確かだが。「……復帰、されるのですか?」施設にいるということは、魔鎧を着けているということは、まだ何かしら機関に関わるということなのだろう、と推測し。▽ (lily) 【三奈】「……ああ」美羽の隣に腰を下ろすも、まだ視線はずらしたまま「囚われたばかりか、洗脳されて敵の作戦に利用された――その汚名を背負ったまま、引き下がるわけにはいかないからな」声は決意に満ちているものの、あの時のような殺気立ったものではなく「記憶洗浄と、再調整の申請は既に通っている。その後に訓練をし直せば、近いうち戦線に復帰できるだろう」いつかと違う、静かな声が――最後に、恐ろしいことを言った、気がする▽ (napateck) 【美羽】「え……っ」思わず、まだ手に持っていた携帯電話を落としてしまう。「記憶洗浄……再、調整……?」聞きなれない単語。しかし、戦線に復帰するために、さらっと何か恐ろしいことを言っていたような気が……。▽ (lily) 【三奈】「落としたぞ」世間話でもするような口調で、床に落ちた携帯電話を美羽の手に戻すと「ユグドラシルの洗脳の痕跡は『今度こそ』消し去らねばならない。……同じ轍を踏むわけには、いかないからな」美羽が聞き返したのを、言葉の意味がわかりづらかったのだと捉えた様子で。『記憶を書き換え、PWの運用法や戦闘スタイルまで改めるほどでないと、再び戦場に立てるレベルにまで洗脳の影響を薄くするのは難しい』という主旨のことを、できるだけ噛み砕いた言葉で説明してくれます▽ (napateck) 【美羽】「ぁ、はい……」思わず落としてしまった携帯を受け取って。「……あの……記憶を書き換えって、どこまで……それって……」今まで生きていた自分の形跡を切り捨てるのと同義であり。詳しく説明されると、余計に三奈が何をしようとしているのか把握できてしまい。▽ (lily) 【三奈】「さすがに、お前たちのことまでは忘れたくない。……洗脳されて刃を向けた私が言うのは、滑稽に聞こえるだろうがな」それでも、囚われていた間の記憶はおろか、それ以前に習い覚えた戦い方やプライベートに至るまで――かなり広範囲に渡るという記憶洗浄の影響は、あの洗脳がいかに根深いものであったかを垣間見せる▽ (napateck) 【美羽】「……何で、そこまで……っ」そこまで行ってしまえば、今までの三奈を完全に過去のものとして消し去ってしまうも同じ。あまりに重い代償……そこまでして、三奈が戦場に立つことに、自分の想像以上のことに驚いて。▽ (lily) 【三奈】「……何故、お前がそんな顔をする」一瞬だけ怪訝そうに眉を寄せると、気にすることはないというように「もとより、身寄りも何もなく生まれついた身だ。今さら失うものなど、ありはしない」それよりは、機関の退魔士としての生き方を否定されたまま引き下がる方が、よほど耐え難いのだと。「全て、私が決めたことだ。お前が悲しむ必要はない」まるで世間話でもするような、落ち着いた口調で▽ (napateck) 【美羽】「……そう、ですか……」三奈の決めた覚悟に、それ以上言葉を挟むことができず。「……私、忘れません。今ここにいる、三奈さんのこと」記憶を書き換えられても、別の人間に変わったとしても。今の三奈を忘れないでいることだけが、自分にできることなのだろうと。▽ (lily) 【三奈】「……」ふと、今までずらしていた視線を美羽の顔に戻し「……お前は、他の退魔士とは違うな。初めて出会った時も、お前だけが血気に逸る私を止めようとした。そして……洗脳された私が、お前たちに剣を向けた時も。お前は決して言わなかったな、『最初から私を疑っていた』と……」 (lily) 半ば恐慌に陥っていた美羽自身は、もう覚えていないかもしれない。だが、洗脳されていた三奈と戦ったあの時、居合わせた退魔士のほとんどが『最初から疑わしいと思っていた』と明言していた。無論、結果としてその判断は正しかったし、それがあったからこそ皆で帰還できたともいえる。だが、「信頼に足る存在と認められていなかった」事実を、洗脳下にあっても三奈は覚えている。そして逆に、美羽が決して、同じ主旨の言葉を口にしなかったことも。 (lily) 【三奈】「何故だ。……何故お前は、私をまだ味方として見られる?」じっと瞳を見つめて▽ (napateck) 【美羽】「……」少し言葉に詰まって、自分自身で整理をつけて、少しずつ言葉を開く。「……私の友達だった人に、もうひとり……敵の手に堕ちた退魔士が、いたんです。先日発見して、だけど一瞬で絡め取られて、そして……」捕まって、弄られて。 (napateck) 【美羽】「……認めたくなかったのかもしれません。また、味方に刃を向けられることを」思い出す、あの時の絶望と、悲しみを。だからこそ。「……こうやって、ユグドラシルの罠を乗り越えて、三奈さんと一緒にいられる可能性を、信じたかったんだと思います」完全には、叶わなかったが。それでも、合った視線に、精一杯微笑みをかけて。▽ (lily) 【三奈】「私はあの時……お前の心にまで、傷を負わせていたのか」眉を寄せ、膝の上で拳を震わせて「……だが、そういうお前のような退魔士を護るためにこそ、私は戦いたい。たとえ、あの戦い以前の記憶を失おうとも、それだけは事実だ」機関にもユグドラシルにも容易く弄られる、退魔士の自我など脆いものだ。だが、それをわかっていながらも、今この瞬間に美羽を見つめる眼差しは、間違いなく真剣なもので▽ (napateck) 【美羽】「気にしないでください……三奈さんが戻ってきてくれただけで、私は十分なんです」震える拳に、自分の手を添えて。「……そこまで思ってるのでしたら、私には止められません……三奈さんがたとえ変わったとしても、今ここにいる三奈さんのことは、ずっと忘れません」覚悟を汲み取り、受け取り。自分にできることは、変わろうとしている彼女の姿を刻み込み、彼女の生きた証を残す事なのだろうと。▽ (lily) 【三奈】「……っ」柔らかな美羽の手の温もりに、思わず息を詰めた。それは、エネミーの殲滅だけを考えて生きてきた今までの人生でも、洗脳によって与えられてきた偽りの心酔のもとでも、感じたことのない温かさで「あ、……ああ」これまで見せたことのない動揺ぶりで、手を重ねられたまま視線を彷徨わせてしまい▽ (napateck) 【美羽】「……さっき、身よりも何もないって言ってましたけど。ここには仲間がいっぱいいます……勿論、私も」三奈とは対照的に、まっすぐな視線で微笑みかけて。「皆も、きっと貴女をユグドラシルから解放することを考えて戦っていたんだと思いますし、ね」▽ (lily) 【三奈】「そう……だろうか」しばらく考え込んだ後、視線を真っ直ぐに戻して。美羽の微笑みに正面から向き合うと「……いや、きっとそうに違いない。お前が言うのなら、私は信じる」ぎこちないながらも口の端をわずかに上げ、頑張って作ってみる微笑み▽ (napateck) 【美羽】「笑って、くれましたね」心底嬉しそうに。まだ真にではないが、三奈が本当に仲間に戻ってきてくれたことを実感し、心底嬉しい笑みを。▽ (lily) 【三奈】「……また会う時も、こうして笑えたらいいな」ふと支給品の端末を開き、時間を確認。そろそろ行かなければ、と席を立ちつつ「お前さえ良ければ、調整後にまた話したい。構わないか?」▽ (napateck) 【美羽】「……いつでも、どうぞ」快諾し、頷き、微笑みかけて。▽ (lily) 【三奈】「では……しばらくの、別れだな」起動させた端末のスケジュール機能には、既に一連の再調整の流れが数日に亘って書かれており。それらを順送りに飛ばすと、最後に『香田美羽に再会する』という予定を書き加えて「……行ってくる」真っ直ぐに背筋を伸ばし、出入り口に向かって歩き出し▽ (napateck) 【美羽】「……待ってます」彼女の姿を、小さく手を振って見送り……また、並び立てる日を信じて。▽ (lily)   (lily)   (lily)   (lily) こうして、かつて刃を交えた二人の退魔士は、いったん別れることとなる。 (lily) 次に二人が顔を合わせるのは、三奈の再調整が全て終わってからのこと。 (lily) その時に美羽を待っているのは、0からの出会いなのか、それとも―― (lily) 裏切りのイシュタルCC 「再会」 (lily)   (lily)   (lily)   (lily) お付き合いいただき、ありがとうございました! (napateck) ノ・・)ノ おつかれさまでしたー (napateck) ノ・・)ノ 三奈さんもどってきた! (lily) 美羽さんの狂気点も回復した!(システム違う

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