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第一話 足踏みの巻 ラブストーリーは突然に…


源頼夜は入学式が終わると駆け出した。

ここは犯堕高等学校、略して犯行。
地元では少し有名な進学校である。
頼夜は賢くないのだが、持ち前の運動神経を活かしハンドボールの推薦という姑息な手段で入学したのだった。
というのも頼夜は中学校の時東海大会まで進出する程の実力者であったのだ。
犯高ハンド部顧問も頼夜に期待を寄せていた。
勿論、頼夜自身もハンド部に入部するつもりでいた。

しかしハンドボールコートは走っている頼夜の遥か後方にあった。
そして頼夜の着いた先は弓道場であった。

そう、あれは今日の朝のこと。
ガタンゴトン ガタンゴトン ガタン5t
頼夜は入学式に出席する為電車に揺られていた。
頼夜の家は犯堕市内にはなく電車で来るにしても三十分は掛かる。
駅に着いてはドアが開く。
「なんて不細工ばかりなんだ!」
乗り込んでくる乗客を見て頼夜はその度心の中で思った。
しかしある駅で頼夜好みの女の子が入ってきた。
犯堕高校の制服、多分彼女の新入生であろう。
彼女は颯爽と座席に座り、鞄の中から何か本を取り出し読み始めた。
さらさらのおでこが憎らしかった。
その本の表紙には『弓道教本』の四文字が……。

頼夜が弓道場に着いた時には、既に2,3年生が射込みを始めていた。
的の音が空高く響き渡る。
「あのぉー。」
的の音と的の音の間に後ろから聞こえた声に頼夜は振り向いた。
そこには一人の女子が立っていた。
「弓道部に入部するの?」
そう、今朝の電車の彼女だった。
「まぁ、そのつもりだけど。」
ハンドボール部から聞こえる顧問の怒鳴り声に頼夜の返事が続いた。
「そうなんだ、私も弓道部に入部するんだ。
 名前は北条雅子って言うの。
 宜しくね。」
髪の毛をそよ風になびかせてさわやかに微笑む雅子に一目惚れであった。
これが頼夜と雅子の出会いであったのだった。


「私そんな事教えたァァァ!!!???」
新入部員が少なかったせいかハンド部顧問の声はより一層大地を揺るがした。
弓道部に入部したのは男子三人、女子二人だった。
「よぉ、お前の背ぇちっちぇーな。」
と頼夜に馴れ馴れしく絡んできた男子は中冨鎌太だ。
「まぁまぁ、これは遺伝の影響だ。
 彼に原因があるのではない。」
こう、冷静な分析結果を真面目に説明した彼は中野王次だ。
そして、向こうの方で話している二人が雅子と小野真千子だ。
その二人がこちらに寄ってきた。
「これから宜しくね。」
真千子が男子三人に言った。
「あぁ、宜しく。」
「ふふん、僕の頭脳は天下一品さ。」
鎌太に続き、王次は真千子の美貌に頭をやられ、彼らしくない意味不明な返事をした。
「お前は餃子か!」
真千子が王次に軽いツッコミを入れた。
その横にいた雅子と目のあった頼夜は頬を赤らめたのであった。