桃太郎/オウガ 前編

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桃太郎/オウガ 前編」(2008/01/17 (木) 23:20:03) の最新版変更点

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むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんとが暮らしておりました。 ある日おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に出かけました。 おばあさんが川で洗濯をしていると川の上流のほうから大きな桃がどんぶらこと流れてきました。 おばあさんはおじいさんと一緒にその桃を食べようと、桃を家まで持って帰りました。 おじいさんとおばあさんとが桃を切ると、桃の中には男の赤ん坊がおりました。 おじいさんとおばあさんとにはこどもがなかったため、ふたりはこの赤ん坊を桃太郎と名付け、育てることにしました。 おじいさんは年老いた体に無理を言わせながらも、桃太郎とすもうを取って遊んでやったり芝刈りや縄綯いを教えてやったりと、たいそう桃太郎をかわいがりました。 おばあさんはいつも桃太郎の怪我を心配し健康に気を使い、桃太郎が風邪を引いたときには一晩中寝ずに看病してやり、大切に大切に育てました。 ---- 十数年後、桃太郎はたくましい少年となりました。 そのころ里では、恐ろしい鬼どもが出没し、人間を襲ったり食べ物を盗んでいったりという事件が頻繁に起こっていました。 鬼たちはその本拠地を「鬼ヶ島」という島に構え、ひとびとはたいそう恐れていました。 自分のちからに自信を持ち、世の中の役に立とうと意気込んでいた桃太郎は、ある日、おじいさんとおばあさんとにこう言います。 「おじいさん、おばあさん、ぼくは鬼ヶ島に行って悪い鬼たちを懲らしめてきます。そして偉い人にご褒美をもらって、おじいさんとおばあさんとを楽に暮らせるようにしてあげましょう。」 おじいさんもおばあさんも反対しました。 「そんな危ないことはせんでもええ。わしらは今の暮らしに満足しているし、お前が健やかに育ってくれることだけが生きがいなのだから。」 「そうですよ桃太郎、大事なお前を鬼のところにやるくらいなら、私たちがお前の代わりに鬼のところに行っていくさをしてきたほうがましですよ。」 けれど桃太郎はどうしても鬼を退治してくると言って聞かなかったため、おじいさんとおばあさんとはしぶしぶ桃太郎を旅立たせることにしました。 旅のために出来るだけの荷物を持たせてやりたかったところなのですが、おじいさんとおばあさんとの家は裕福ではなかったため、弁当としてきびだんごをいくつか持たせてやることしかできませんでした。 ---- 桃太郎は鬼ヶ島に向かう途中、犬と猿と雉とに出会い、彼らにきびだんごを与え、鬼退治のお供として連れて行くことになりました。 ---- 漁師から小船を借り桃太郎は鬼ヶ島に渡ります。 鬼ヶ島に着いた桃太郎を、体の大きな鬼が迎えました。鬼は額にとがった形をした帽子をつけていました。 「何者だお前は。鬼ヶ島に何をしに来た!」 「我こそは桃から生まれた桃太郎! お前たち悪さをする鬼を退治しに来た!」 「なんだって!? 桃から生まれただって!? お、おまえ、そこで待ってろ、いま王様を呼んでくるから!」 鬼退治をしに来たはずの桃太郎は鬼の反応に首を傾げましたが、根が素直なので言われるままにその場で待っていました。 鬼は鬼ヶ島の王様とそのお妃さまとを連れて来ました。 王様が桃太郎に口を利きます。 「貴様、桃から生まれたというのはまことか?」 「もちろんだい! 『桃から生まれた桃太郎』! おじいさんとおばあさんとにつけてもらった大切な名前が証拠だい!」 すると鬼のお妃さまが泣き崩れて言いました。 「ああ、すると、お前が、いとしい私の息子!」 ---- 鬼ヶ島の王様から聞いた話はこうでした。 「いまから十数年前、我々の一族は山にこもってひっそりと暮らしていた。 けれど里の人間たちは風習も体格も違う我々をむやみに不気味がっていた。我々がかぶる風習を持つこのとんがり帽子の事を指して『ツノ』だと言い、ついには我々を化け物扱いするようになった。 ある日、里の人間の中でも乱暴な若者たちが集まり、武器を持って我々の集落を襲撃する事件があった。我々の仲間の多くが理由も無く殺された。 私たち夫婦も死を覚悟したのだが、オウガと名づけ生まれたばかりのお前だけは生き延びて欲しいと神に祈りを捧げたところ、集落の谷を流れる川にお前を流せというお告げがあった。 我々がお前を川の流れに乗せると、不思議なことにいつの間にかお前は大きな桃にくるまれて流れていった。私たちは安心し、同胞たちと運命を共にするべく集落にもどった。 我々の同胞は力を合わせて人間たちと戦っていた。私たちは戦いに加わり、追われるようにして山から山へと逃げ、ついに現在のこの地、鬼ヶ島に至ってようやく人間どもに煩わされない生活を取り戻すことが出来た。 我々は我々を迫害した人間たちを憎んだ。また、川に逃がしたお前の運命をずっと気に掛けていた。 鬼ヶ島の生活で力を蓄えてきた我々は人間たちに復讐をするようになった。われわれが味わった苦しみを人間どもにも味わわせなくてはならないからだ。 そして運命のお導きか、オウガ、我が子であるお前も私たちの元に帰ってきてくれた。 さあオウガ、この島で私たちと一緒に暮らそう。お前にはこの島と我々一族との王の跡取りになってもらわなくてはならないが、そんなものは後まわしで良い。父としてお前に語りたいことがいくらでもある。お前の母は、母としてお前に聞きたい話がいくらでもあるだろう。 離れ離れになっていたが、これからはずっと一緒に、幸せに暮らそうではないか…」 ---- 桃太郎は自分を育ててくれたおじいさんとおばあさんとが大好きです。 一方で、自分の生みの親であるという鬼ヶ島の王様とお妃さまにも言いようの無い懐かしさ・いとおしさを感じました。 桃太郎はどのような人生を選択するのでしょうか… (後編へ続く) ---- この企画は「『ある決まりきった結末』に向かっているわけではないお話の結末を『自分で描く』ことで決着させよう」という、視聴者参加型ストーリーテリングです。 この記事(桃太郎/オウガ 前編)を投稿したいしいたけるは、後編を書きません。 続きは皆さんが自分で書いて、思い思いの結末を選んでください。 桃太郎としておじいさんおばあさんのところに戻ってもいいです。 オウガとして鬼ヶ島に残ってもいいです。 おじいさんおばあさんを鬼ヶ島に呼んで仲良く暮らしましたでもいいです。 おじさんおばあさんを鬼ヶ島に呼ぼうと思ったら「人間だけは信用できない」と両親に反対されてしまってもいいです。 つまりどう書いてもいいです。いきなり桃太郎が鬼ヶ島で出会ったかわいい少女と恋に落ちて駆け落ちしてもいいです。犬猿雉になにか設定を与えて話をまとめさせる原動力にしてもいいです。 注目して欲しいのはここまでの話は「あるひとつの決まりきったラストに向かっていない」という、今後の展開にさいころを振るにあたっての自由さですね。どうやって書けばいいんだろう・自分はどういうラストを求めているんだろうという問いを自ら行っていただけるきっかけになってくれたらと思います。 そしてその問いかけは非常に刺激的で面白いものになるのではないかと期待します。 「桃太郎/オウガ 後編(○○版)」というページ名でコミックウィキにそれぞれの結末を投稿してくれたらうれしいなあと思いますぞ。○○のところには投稿者名が入ります。 ---- **カウンター &counter(total) ---- **登録タグ &tags() ---- **コメント #comment(,below,disableurl,noname) - 自分の文章というか自分の描いた物語をさらすという恥ずかしさと向き合うための材料としても使っていただけたら光栄です。 (2008-01-17 23:20:03) - これは・・・ 週末までにはとても書けへん。手をつける勇気ががが (2008-01-17 19:40:06) - パーフェクトハーモニー…そう、完全調和ってヤツか! (2008-01-16 20:26:33) - メグミ:こりゃおもしろい! (2008-01-16 14:05:57) ---- &link_up(このページの先頭へ)
むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんとが暮らしておりました。 ある日おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に出かけました。 おばあさんが川で洗濯をしていると川の上流のほうから大きな桃がどんぶらこと流れてきました。 おばあさんはおじいさんと一緒にその桃を食べようと、桃を家まで持って帰りました。 おじいさんとおばあさんとが桃を切ると、桃の中には男の赤ん坊がおりました。 おじいさんとおばあさんとにはこどもがなかったため、ふたりはこの赤ん坊を桃太郎と名付け、育てることにしました。 おじいさんは年老いた体に無理を言わせながらも、桃太郎とすもうを取って遊んでやったり芝刈りや縄綯いを教えてやったりと、たいそう桃太郎をかわいがりました。 おばあさんはいつも桃太郎の怪我を心配し健康に気を使い、桃太郎が風邪を引いたときには一晩中寝ずに看病してやり、大切に大切に育てました。 ---- 十数年後、桃太郎はたくましい少年となりました。 そのころ里では、恐ろしい鬼どもが出没し、人間を襲ったり食べ物を盗んでいったりという事件が頻繁に起こっていました。 鬼たちはその本拠地を「鬼ヶ島」という島に構え、ひとびとはたいそう恐れていました。 自分のちからに自信を持ち、世の中の役に立とうと意気込んでいた桃太郎は、ある日、おじいさんとおばあさんとにこう言います。 「おじいさん、おばあさん、ぼくは鬼ヶ島に行って悪い鬼たちを懲らしめてきます。そして偉い人にご褒美をもらって、おじいさんとおばあさんとを楽に暮らせるようにしてあげましょう。」 おじいさんもおばあさんも反対しました。 「そんな危ないことはせんでもええ。わしらは今の暮らしに満足しているし、お前が健やかに育ってくれることだけが生きがいなのだから。」 「そうですよ桃太郎、大事なお前を鬼のところにやるくらいなら、私たちがお前の代わりに鬼のところに行っていくさをしてきたほうがましですよ。」 けれど桃太郎はどうしても鬼を退治してくると言って聞かなかったため、おじいさんとおばあさんとはしぶしぶ桃太郎を旅立たせることにしました。 旅のために出来るだけの荷物を持たせてやりたかったところなのですが、おじいさんとおばあさんとの家は裕福ではなかったため、弁当としてきびだんごをいくつか持たせてやることしかできませんでした。 ---- 桃太郎は鬼ヶ島に向かう途中、犬と猿と雉とに出会い、彼らにきびだんごを与え、鬼退治のお供として連れて行くことになりました。 ---- 漁師から小船を借り桃太郎は鬼ヶ島に渡ります。 鬼ヶ島に着いた桃太郎を、体の大きな鬼が迎えました。鬼は額にとがった形をした帽子をつけていました。 「何者だお前は。鬼ヶ島に何をしに来た!」 「我こそは桃から生まれた桃太郎! お前たち悪さをする鬼を退治しに来た!」 「なんだって!? 桃から生まれただって!? お、おまえ、そこで待ってろ、いま王様を呼んでくるから!」 鬼退治をしに来たはずの桃太郎は鬼の反応に首を傾げましたが、根が素直なので言われるままにその場で待っていました。 鬼は鬼ヶ島の王様とそのお妃さまとを連れて来ました。 王様が桃太郎に口を利きます。 「貴様、桃から生まれたというのはまことか?」 「もちろんだい! 『桃から生まれた桃太郎』! おじいさんとおばあさんとにつけてもらった大切な名前が証拠だい!」 すると鬼のお妃さまが泣き崩れて言いました。 「ああ、すると、お前が、いとしい私の息子!」 ---- 鬼ヶ島の王様から聞いた話はこうでした。 「いまから十数年前、我々の一族は山にこもってひっそりと暮らしていた。 けれど里の人間たちは風習も体格も違う我々をむやみに不気味がっていた。我々がかぶる風習を持つこのとんがり帽子の事を指して『ツノ』だと言い、ついには我々を化け物扱いするようになった。 ある日、里の人間の中でも乱暴な若者たちが集まり、武器を持って我々の集落を襲撃する事件があった。我々の仲間の多くが理由も無く殺された。 私たち夫婦も死を覚悟したのだが、オウガと名づけ生まれたばかりのお前だけは生き延びて欲しいと神に祈りを捧げたところ、集落の谷を流れる川にお前を流せというお告げがあった。 我々がお前を川の流れに乗せると、不思議なことにいつの間にかお前は大きな桃にくるまれて流れていった。私たちは安心し、同胞たちと運命を共にするべく集落にもどった。 我々の同胞は力を合わせて人間たちと戦っていた。私たちは戦いに加わり、追われるようにして山から山へと逃げ、ついに現在のこの地、鬼ヶ島に至ってようやく人間どもに煩わされない生活を取り戻すことが出来た。 我々は我々を迫害した人間たちを憎んだ。また、川に逃がしたお前の運命をずっと気に掛けていた。 鬼ヶ島の生活で力を蓄えてきた我々は人間たちに復讐をするようになった。われわれが味わった苦しみを人間どもにも味わわせなくてはならないからだ。 そして運命のお導きか、オウガ、我が子であるお前も私たちの元に帰ってきてくれた。 さあオウガ、この島で私たちと一緒に暮らそう。お前にはこの島と我々一族との王の跡取りになってもらわなくてはならないが、そんなものは後まわしで良い。父としてお前に語りたいことがいくらでもある。お前の母は、母としてお前に聞きたい話がいくらでもあるだろう。 離れ離れになっていたが、これからはずっと一緒に、幸せに暮らそうではないか…」 ---- 桃太郎は自分を育ててくれたおじいさんとおばあさんとが大好きです。 一方で、自分の生みの親であるという鬼ヶ島の王様とお妃さまにも言いようの無い懐かしさ・いとおしさを感じました。 桃太郎はどのような人生を選択するのでしょうか… (後編へ続く) ---- この企画は「『ある決まりきった結末』に向かっているわけではないお話の結末を『自分で描く』ことで決着させよう」という、視聴者参加型ストーリーテリングです。 この記事(桃太郎/オウガ 前編)を投稿したいしいたけるは、後編を書きません。 続きは皆さんが自分で書いて、思い思いの結末を選んでください。 桃太郎としておじいさんおばあさんのところに戻ってもいいです。 オウガとして鬼ヶ島に残ってもいいです。 おじいさんおばあさんを鬼ヶ島に呼んで仲良く暮らしましたでもいいです。 おじさんおばあさんを鬼ヶ島に呼ぼうと思ったら「人間だけは信用できない」と両親に反対されてしまってもいいです。 つまりどう書いてもいいです。いきなり桃太郎が鬼ヶ島で出会ったかわいい少女と恋に落ちて駆け落ちしてもいいです。犬猿雉になにか設定を与えて話をまとめさせる原動力にしてもいいです。 注目して欲しいのはここまでの話は「あるひとつの決まりきったラストに向かっていない」という、今後の展開にさいころを振るにあたっての自由さですね。どうやって書けばいいんだろう・自分はどういうラストを求めているんだろうという問いを自ら行っていただけるきっかけになってくれたらと思います。 そしてその問いかけは非常に刺激的で面白いものになるのではないかと期待します。 「桃太郎/オウガ 後編(○○版)」というページ名でコミックウィキにそれぞれの結末を投稿してくれたらうれしいなあと思いますぞ。○○のところには投稿者名が入ります。 ---- **カウンター &counter(total) ---- **登録タグ &tags() ---- **コメント #comment(,below,disableurl,noname) - 自分の文章というか自分の描いた物語をさらすという恥ずかしさと向き合うための材料としても使っていただけたら光栄です。 (2008-01-17 23:20:03) - これは・・・ 週末までにはとても書けへん。手をつける勇気ががが (2008-01-17 19:40:06) - パーフェクトハーモニー…そう、完全調和ってヤツか! (2008-01-16 20:26:33) - メグミ:こりゃおもしろい! (2008-01-16 14:05:57) ---- &link_up(このページの先頭へ)

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