太郎少年の夏_きりちん編


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じょうきょうほうこく


都会ではなく、田舎でもない、杜の町。
町の中心部には低層のくたびれた雑居ビルが立ち並ぶ、日本の山陽側海辺の町。
北に歩けば高くもない山と森に入り、南に歩けば塩くさい港につく、町を横断する川には魚なんていない。
町の中にある学校は小学校一つだけ、あー、隣町の不良達はちょくちょく来てて悩ましい。
学校には学校の怪談はない。なんてことの無い町。

僕は小学4年生、男子、成績は並、運動とかも並、趣味はテレビ・・・ それって趣味か?
学校と家を往復するのが毎日の日課。

だから、僕の人生に、スリルとかサスペンスとかエキセントリックとか、そんな言葉は登場しない。もちろん愛も友情も血も涙もない。

そう思ってた、新学期の始まり、夏のすこし前のことだった。

なぞのてんこーせー 登場


親友、田中氏と教室に向かう。
道草しながらの登校でも、教室には一番にくる。そういう習慣になっている。
田中氏はクラスでは優等生で通っている。いわゆる、起立、礼、着席、っていうのも田中氏の仕事だ。最近は生徒会への御呼びもかかっているらしく、苦労人としてのキャラクターを濃くしている。
「なぁ、昨日のライダー見た?」
「ああ、すげえよなっ。怪人の中の人も、いくつか内臓逝ってるじゃないかな?」
などと話込んでいるうちに教室につく、朝の空気は肌にひんやりと、涼しかった。
扉を開ける前に思った。
「クラス換えかぁ、女子こねーかな?巨乳の。」
「は~?小学生で巨乳とか、それ病気だろ。」
そして扉を開けた。

そこに巨乳が居た。とても大きかった。というより、近かった。勿論俺の顔面はその中にうずもれるのに0.1秒もかからなかった。一人称が変化しているのはこのふくよかさのためだ。にんにん。
「誤解を招きそうだから、先に言っておくけど、山田が突っ込んだのは偶然だから、ゆるしてやってくれないか?」
田中氏のフォローが静かな教室にこだました。
さらに確認しておくと、目の前が真っ赤に染まった僕はすぐさま、数歩分は後ろに飛びのいておろおろしていた。数秒以上も、いくつもの視点から長々と描写するアニメ調の演出などかかっていない。

「ごめん。そんな気は・・・ うわらばっ☆  ))`д゚)・∵. ←僕 」 
出合ったばかりの女子(かっこ巨乳かっこ閉じる)に、華麗な上段回し蹴りをキメられ。遠のきつつある意識の中、そのパンチラだけが深く印象に残っていた・・・
「パンツ見えてますy・・・ がはっ 」
トドメをさされました。

改めて、転校生登場


「こいつが、今日転校してきた、謎の転校生、鳴神桐子さんだ、みんなもノックアウトされんなよ~?」
「・・・始めまして。キリコです。これからよろしく。」
戦闘不能になったまま見た。
転校生キリコはそれだけ言うと席についた。髪はロング、服は葬式の時に着るようなスーツじみたものだ、それって普通の女子の趣味じゃないよな?
険しい表情はどうやら、一日中維持されている様子で、鬼軍曹って感じ?黒板よりさらに向こうを見て、宇宙と交信でもしているのだろうか。
説明しておくと、↑の転校生紹介や↓の終業の挨拶をしているのは担任のジャージマン先生だ。本名は知らない。常にジャージを着込んだ若手の教師だが、タイプとしては熱血でも若造でもない。なんというか、誰にも倒されない?ような雰囲気、何言ってるかわかんないがそういう調子だ。
「今日も車にやられんなよ~」
そうして放課後になった。

「山田~、女子トイレの幽霊、見に行かない?」
速攻で帰宅して土曜サスペンス劇場を見ようと思っていた僕は、女子の声に引き止められた。 もてもてだな?おい。ってわけじゃなくて、幼馴染の香里殿だ。
「幽霊、って何だよ。」
マンガメディアに毒されており、不良コスチュームに身を包み、日夜、悪の軍団を捜し求めて町を徘徊している。今日はそのエモノが幽霊退治になった、ということだろう。
「田中と亜里沙を誘って、もう一人くらい欲しいんだよ。」
「・・・幽霊って何だよ。」
「山田、知らないの?三階の女子トイレの三番目の個室、昔トイレで死んだ女の幽霊がでるんだって。」
幽霊?そんなものは居るわけが無い。たしかに夜のトイレは怖くて一人ではいけないが。しかし、夜の学校に不法侵入するのは楽しそうだ。今までに2,3回はやったが、それでも楽しい。
犯罪だって?そういうツッコミは却下。それが子供ってもんさ。
「うん。いくいく。」
「じゃ、夜の7時に校門に集合なっ。」

帰り道

校門を出たところで、僕は僕を見つけた。
「やあ山田。」
「おう山田。」
いや、ちょっと待てよ?山田って二人も居ないよな?
「もしもし山田さん。 ・・・ えー あー うー 。」
どっと汗をかいた。これは何の冗談だ?ドッキリか?クラスの誰かの仕業か?
じっと見るとよくよく似ている、何にかというと、相手の顔が自分の顔に。
僕は、非科学的な超常現象に遭遇してしまったらしい。

相手の服装はこっちとまったく同じ、ユニクロの格安セット装備。しかし、相手はランドセルなし。
相手はこちらにニヤリと苦笑いを掛け、道の角を曲がって姿を消した。
急いで追いかけるが、どこかで見たようなトリックで、相手は居なくなっていた。
「あれって。」
ドッペルゲンガー、妖怪の一種。目撃者本人と、そっくり同じ顔をしていることが特徴の妖怪。それを見た者は、死ぬ。
「・・・いや、死にたくねーし。ふへへへ」
見なかったことにする。

繁華街の信号待ちの途中、前方をいく謎の巨乳転校生を見つけた。寄り道をしていると、家の昼飯が冷めてしまう、というアクション消費コストにしばらく悩んだが、尾行してみることにする。僕は普段そういうことはしないキャラであるが・・・。
肝試しに、ドッペルゲンガーとの遭遇と続き、その仕返しに何かしてやろうという、雰囲気だったのだ。
謎の転校生(パンチラ白)は、町の都市部を抜け、商店街を横切り、うらぶれた住宅街に入っていった。そこで・・・

「んじゃオラァ! 何さらすんじゃァ! この小坊がァ!」
転校生は不良に囲まれていた。相手は中学生男子、年季の入った改造制服からそれなりの戦闘経験値を持っていることがわかる。数は10名ほど、多すぎ。
クールな巨乳女子転校生が、何の因果があって不良に囲まれているのか?それを想像するのは難しくない。
そこで僕の取る道は1.助ける 2.見守る
もち、2確定。
これから起こることも大体想像がついた、のだが・・・。

「ふべらっ。」
 「へぼうっ。」
  「がはぁっ。」
数秒後には、あたりは不良の遺体(いや、生きてるけど)、うめき声がこだまする地獄絵図と化していた。さすが転校生、僕を一撃した回し蹴りは伊達じゃなかったとですね。
「ちくしょう。 お前何者なんだよ。 ・・・ その身のこなし、まさか、杜神地蔵流・・・ 」
説明しよう、杜神地蔵とは、戦国時代の末期、この町の近辺で荒くれ者から村を守ったという伝説の浪人の通称なのだ。ちなみにその子孫がうちのクラスにも居る。男子だけど。
「・・・ 違う。」
期待を裏切りつつ、転校生は不良の殲滅を完遂した。

倒れている不良(おそらくボス)の胸座を掴み、転校生は尋問する。
「もう一度聞く。テキの英を知っているか?」
意味不明な単語が出た。聞き流そう。
えー、転校生、電波さんだったんですね。でも気にしません。巨乳だもの。
それに対して不良が口を開く。
「・・・ここの交差点、何て呼ばれてるか知ってるか?」
「交差点?」
「・・・地獄交差点さ!」
今、僕が見えている風景を説明しよう。
辺りは閑散とした住宅街、道幅は4,5メートルほどで、ブロック塀や電柱でさらに道は狭くなるから、車が行き違うときにはかなり苦労する。あたりには不良達の遺体(いや、生きてるけど)が転がっていて、転校生と不良ボスは交差点の真ん中。僕は10メートルほど離れた位置にいる。
僕は影が薄いタチだから、不良にも転校生にも気付かれてない。
で、転校生の背後から10トントラックがブロロロロ~っと。
「くっ、この程度のことでっ! (しゅたっ) やられはしない。」
転校生は、華麗に飛び込み前転し、暴走トラックを避けた。
そして、もちろん、それが見えている僕のほうに、そのトラックは、向かってきていて。
「そんな!ドッペル見たからっていきなり交通事故は嫌だぁぁぁっ!」
間一髪のところで、セリフを切れることなく言い終え・・・
僕は車に轢かれて死んだ。




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