凧で前進 エコ貨物船

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平均的な貨物船は1キロメートル進むごとに約282リットルの燃料を消費し、約15ノットの速度で航行する。
風を利用する帆船は、燃料が無くても10~20ノットの速さで航行することが出来る。
エンジンに見劣りしないこの帆による風の力を利用しなくなって久しい。
以前、日本では燃料削減のため風力によって推進する 帆船タンカー を製造していた。燃料を最大で50%削減と言われていたが、平均すると10%程度の削減に留まり、運用コスト高のために売れなくなり、今では一隻も無くなっている。

これに替わる方法として考えられているのは、カイトサーフィンのように凧で進む方法だ。そんな構想がドイツでは実現している。
ドイツ、ハンブルグに本社を置く Sky sails社 の開発した SkySails は、パラグライダーのような大型の凧をコンピューターで自動制御させて船を曳航する。風次第ではあるが、燃料を15%から20%削減出来るという。

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この技術が同じくドイツの造船会社 Beluga Shipping社 の貨物船に採用され、既に世界各地を就航している。( 2008年7月25日日本にも寄港
風速3~30メートルの範囲内で使用可能で、通常時の風であれば十分航行可能だ。
帆船よりも上空での強い風が得られ、順風では大きな推進力が得られるが、当然ながら逆風には弱い。しかし逆風を0度として70度以上の風向きであれば、前方に推進力を得ることが出来る。
基本的にはカイトサーフィンと同じもので、船首にカイトを飛ばすリールとロッドを取り付けるだけの構造のため、メンテナンス費用や必要人件費において帆船より少なくて済む。
その他に自動制御装置があることも特徴の一つだ。自動制御システムでは天気予報のデーターから風向きの予想、最適ルートの予想などが決定され、その時々の進む方向を知らせてくれる。凧の操縦も風の強さと向きを自動計算して行われる。操舵さえも自動とすることが出来る。帆船の操舵技術に詳しくなくとも航行が可能ということになる。帆の折り畳みもコンピューター制御で簡単に出来る仕組みとなっている。
設置費用は50万ユーロ(約8000万円)かかるが、20%燃料費が節約できる分、投資費用は3年で回収できるという。
小型船舶用の製品も有り、小さな漁船にも取り付けられる。燃料節約のみではなく、エンジントラブル時の予備動力として使用することも出来る。

日本の場合、長距離の航行となるタンカーでの使用や、遠洋のマグロ漁船で使用すると大きな燃料削減となる。ドイツよりむしろ海洋国家である日本でこそ活用が期待される技術と言える。風の向くままに進む漁船があっても良さそうではないだろうか。
このエコシップが日本でも登場する日が待たれる。







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