聖なる大陸「エリオス」の誕生

遥か昔。世界の中に、命が存在しないひとつの大陸があった。
森は灰色の茨で埋められ、海は狂ったように荒れ、大地はすべて乾き切っていた。
人々はこの大陸を「神に見捨てられた地」と呼び、またある詩人は「暗黒神の世界」とも謳った。
時の流れと共に、この大陸は次第に成長と拡大を続けていく・・・。
いつしか世界の全てを飲み込んでしまうのでは無いかと、恐れられた死の大陸。

しかし、突如としてそこに変化が起こり始める。
まるで創世記を見るかのようにその大陸はかわっていった。
灰色の茨の木は消えて緑の樹木が育ち、
海の大渦は無くなり、数多くの生命が海の恩窮を受け、
大陸から吹いて来る嵐のような風は木々を揺らす生命の風に変わっていった。

人々は変わり果てたその大陸で、巨大なひとつの宝石を発見する。
その宝石が放つ光は全ての暗闇を溶かすかの如き輝きであった。
すべての生命を一握りの土にしてしまうあの死の空気も、
この光の下にはその面影すら感じさせていない。
まるで、はるか昔からそこに存在していたかのような美しく神秘的な巨大な宝石・・・。
すべての物語は、その宝石から始まっていた。

機工生命体「ナソード」の登場

それから数百年が過ぎ去った。
もう、死の大陸で闇の面影は見当たらなかった。
人々はこの大陸をもう死の大陸とは呼ばず、
太陽と神の恩恵を受けた大地と称して「エリオス」と呼んだ。
そして人々は集まって大きな王国と多くの国々を建国した。
しかし、時間が過ぎるほどに人々は神の恩恵と自然への感謝を忘れ、
宝石の神秘的な力を自分たちの私利私欲に使おうとした。

すべてのものを創造する宝石の能力・・・。
それは人々に強大な能力を与え、彼らの文明は年を重ねるほど進歩した。
いつしか彼らは新たな文明の産物である
人工知能を有した生命体「ナソード」を作り出した。
だが彼らは生命の秩序と自然の摂理を知らなかった。
「ナソード」の為に、そして彼らの欲の為に生き、
狂ったように宝石の力を吸い込んだ。

結局、増えていくばかりの「ナソード」によって、宝石の力は弱まってしまい、
しばらく隠れていた闇の面影が再び大陸を覆い始めた。
多くの生命が死んでいき、多くの文明が崩壊した。
数多くの「ナソード」たちはその機能を止め、海は再び荒れ始めた。
人間達は自分の罪を悔いて宝石の力を復活させ、
再び宝石の力を取り戻そうと努力した。

しかし、闇の力は弱りきった宝石の存在を気にする事無く大陸を覆い、
蹂躙とした都市と文明は滅び、荒れ狂った大渦が
渦巻く漆黒の海の中に沈んでしまった。

聖なる「エル」その守人「エルの巫女」

再び栄華を極めた大陸が死の大陸として復活すると誰もが思っていた。
既に「エリオス」の永続を期待する人は居なかった。
しかし、一人の女性が自分の体を犠牲にして
宝石の力を取り戻した。
宝石は再び輝きを発し、闇の気配を拭い去った。
今でも彼女がどうやって宝石の力を取り戻したかは
彼女本人と、極めて一部の者しか知らない。

希望を取り戻した人々は、自分たちの愚かさを悔いて
生き残ったナソードたちと大陸の再建に努める。
以前に比べて宝石の力は弱くなったが、
再び大陸は生命の気を少しずつ宿していった。

人々はその宝石を「エル」と呼び、
宝石を生き返らせた女性を指して「エルの巫女」と称した。
「エルの巫女」は、「エル」の力を取り戻すと言う大きな役割を担った。
彼女の役割は聖なる宝石「エル」を守り、
その力を自然に戻すようにする役割だ。
再び「エル」は大陸を飲み込んだ闇の気配を追い払い、
乾いた地を肥沃な地に、狂暴海を生命の海にした。

人々は「エルの巫女」の力と意思を受け継ぐ継承者を定め、
代を繁いで「エル」の力を共有する存在を作る。
彼女らは昔、地震を犠牲にした「エルの巫女」とは
異なる方式で「エル」に力を与えた。

「エルのマスター」

エリオスでは8名のマスターと呼ばれる者が
エルの巫女を補佐し、エルの力を維持させていた。
マスターは、エルの巫女がエルの力を自然に還す際にそれぞれの分野で補佐を行う役目であった。

一つ目は、赤の力。
この力は火を意味する。
マスターは火のエネルギーを担当し、この世にある火の気を与えてくれる。

二つ目は、緑の力。
この力は木を意味する。
マスターは木のエネルギーを担当し、世の中のすべての植物を木と育むようにしてくれる。

三つ目は、青の力。
この力は水を意味する。
マスターは水のエネルギーを利用して、海と川の流れを制御する。

四つ目は、風の力。
この力は風を意味する。
マスターは風のエネルギーを利用して、世の中の風を供給してくれる。

五つ目は、太陽の力。
この力の源は太陽のエネルギーだ。
マスターは太陽のエネルギーを利用して、この世の中の生命の気を入れてくれる。

六つ目は、月の力。
この力は月の女神ルナのエネルギーだ。
世の中の陰と陽のバランスを維持しなければならないように、
エルのエネルギーにも陰と陽の調和が必要だ。月の力は陰の役割をする力だ。

七つ目は、生命の力。
この力は生命そのものを意味する。
エルで一番重要な力で、新しい誕生と再生の力を持っている。

八つ目は、死の力。
この力はまさに死の力だ

世の中には陰と陽、そして秩序と調和が必要だ。生命の誕生と同時に死を抱いて生きていく。
死がなくなれば、この世の根本秩序は崩れてしまうだろう。
各々のマスターたちは一つずつの力を担当し、エルの純粋なエネルギーを
自然と秩序のエネルギーに返していた。
そうして供給されたエネルギーは、木と草が育つ源になり、
ナソードという古代の機械を動かせるようにした。
人々はそうして種を植え穀物を育て収穫して生産を行い、
ナソードという機械を利用してより便利な生活を送ることができた。
そして人々はこの幸福と繁栄に対してマスターたちにいつも感謝を表し、英雄を崇拝した。

「最後の祝典」

聖なる宝石「エル」が世界に現れた日、すべての死の影は消え去った。
すべての生物に平等な生命が与えられ、すべての生物に平等な死が与えられた。
人々はこの日を誕生の日と定め、この日は年に一度の祭典を行った。
ここから、「共存の祝典」の日が大陸全土で最も大きな行事になったのだ。

そして400年後。400回目の共存の祝典の日。

賑やかな祭りの影で、エルの力に魅了された数人が、
エルの力を独り占めしようと動いている。
今の人々は過去の過ちと惨劇を物語でしかしらない。
エルの魅力に負ける者も多くは無いが存在していた。

共存の祝典の日は、すべての生物が休息を取り、
最も穏やかな生活を送ることができる。
多くの生物は生活を止め眠りに入るようになるのだが、
これは自然のエネルギーをエルに分け与えるのだ。
初めて生まれる時は弱いエネルギーで生まれるが、
生物は育ちながら様々なエネルギーを摂取して成長していく。
そして共存の祝典の日、エルに自分たちのエネルギーを分け与える。
全ての生命がエルから力を貰う事無く、
エルに還元を行うため、エルの力も最も安定して発生される時だ。

祝典が終わり、多くの人々が平穏な眠りについている時。
野心を抱いた者達はエルの力を奪おうと、静かに動いていた。
この野心家の中にはマスターも存在していた。
第5のマスター、太陽の力を管理する者だ。

彼はエルの巫女を人知れず愛していた。
エルの巫女は代々受け継がれる宿命の下、全ての行動を束縛される。
そんな彼女を伝統や義務から解放し、自由の下に救い出してあげたかったのだ。
その事実を知った数人の人間が、彼にアプローチをして、今回の計画を謀議するようになったのだ。

野心家はエルが管理されている塔に軍隊を率いて潜入し、エルを運び出そうとした。
しかしこれを察知し、エルの奪取を阻止しようとする7人のマスターとの壮絶な死闘が始まる。
時を同じくして太陽のマスターとエルの巫女が姿を消してしまった。
野心家の軍隊は、野蛮で狂暴な性格の持ち主が多く、エルを削って粉々にしてでも運び出そうとした。
エルの巫女が居ない今、エルに不穏な動きがあった所で、誰もなす術が無く。
7人のマスター守備隊は必死に野心家の軍隊を防ごうとしたが、力敵わずエルが叩き割られてしまう。

その瞬間。エルの内側から光の筋が散った。
巨大なエルは既にそこには無く、壮絶な光と音が周囲を支配していた。

「エルの爆発と秩序の崩壊」

エルの爆発によってエルを管理していた塔の周りにあったすべての物は
吹き飛び、エルの力の影響を受けたすべての物が機能を失ってしまった。
エルの力を原動力としていたすべてのナソードも動きを停止した。

しかしナソードは生命がある存在ではない。
動力さえあれば死の概念など通用しない。彼らはすぐに内部電源で再び動き出した。
自分たちの生存のためにナソードは、エルの力の代わりに動力になり得るすべてのものを搾取しようとした。
既に人間にはコントロールする事は出来ない程の暴走であった。
1名を除いた7名のマスターも命を失ってしまう。そして、太陽のマスターとエルの巫女の失踪。

エリオス大陸には大きな混乱がもたらされた。

大陸の所々にエルの破片が打ち込まれ、巨大な世界を維持したエルの力は分散された。
エルのかけらは、かけらになっても力を放出していた。
その為、かけらが存在している地域にだけ力が発生し始めてしまう。
エルが爆発した地域では、生命の光は消えた。
生き残った人たちが必死に復旧して、エルのかけらがある地域だけようやく維持できる環境だった。
一つの巨大な大陸の中で多くの地域が海に沈んでしまい、
その反対に太陽と月の秩序が乱れた、いくつかの地域は空に昇ってしまったりもした。
世界の崩壊と言える程地殻変動、秩序の崩壊が起こった。

以降、エリオス大陸は急激な変化を辿る。
一つの種族がいくつかに分離され、物質界と精霊界が完全に分断された。
エルフやいくつかの妖精族を除いては、それぞれの種族が一緒に生活できる環境では無くなった。
一つの王国が分かれ、エルのかけらを中心にいくつかの国に分かれるようになり、
ブラックホールのように四方に暗雲が立ち込めた正体不明の土地ができたりもした。

人々はエルに代わるエネルギー源の獲得に総力を尽くすようになる。
その中で最高の動力源は、正にエルのかけら。

もうこれ以上のエルの破壊を望まない人々は、
国で管理をして守備隊を強化するなど、
エルの再生に総力を傾ける。
王宮では、秘密裏にエルの復活のためにエルのかけらを集めて、
再びエルの巫女を擁立してそれを継承させ、
できるだけ元通りに維持できるように総力を傾ける。

散らばったエルのかけらの力は強大なまま、
大陸のどこかに眠っている。
破片の数は神ですら知らない。
大陸の多くの人間は大陸を再建すべく
エルの再生に従事するか富と名声と力を求めて
冒険に出るかのどちらかを選択するようになっていた。
エルのかけらの価値・魅力は強烈で、
その所有は富と名誉を生む為、
エルを巡る多くの死闘が起こる。

ELSWORDは聖なる宝石「エル」を
巡って起こるキャラクターたちの物語である。

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最終更新:2010年04月09日 18:22