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「第二回定時放送 ~起爆~」(2013/05/27 (月) 20:43:23) の最新版変更点
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**第二回定時放送 ~起爆~ ◆iL739YR/jk氏
(黒崎…袋井…そういうことか……!!)
後藤利根雄は苛立っていた。
遡ることおよそ4時間程のこと……後藤は蔵前グループとの接触を図っていた。
彼の目的はただ1つ。詳細は不明だが…黒崎の不穏な動き。
そんな帝愛の策に対する防衛策…蔵前の抱き込み…
そこで後藤は蔵前の欲しがっているであろう…平井銀二と森田鉄雄、この2人を条件として提示した…
だが、返答は『NO』……
この返答に思わず悔しさを顔に出す後藤に袋井は言った。
『…いずれ分かる』、その一言だけ……
そのときは何のことだか分からなかった後藤…故に一先ず様子見となったのだが……
彼が黒崎と森田の契約について知るのはそれから更に1時間程後のことであり…
……そして、今に至る。
全てを悟った後藤は黒崎の下へと向かっていた……
~~~~~~~~~~~
「…参加者の諸君、ご苦労。黒崎だ…これより第二回定時放送を行う。
今回も復唱はしない……よく聞いてくれたまえ…
ではまず、前回から今回の放送までの間に敗れ去った敗者の名を発表する。
『有賀研二』、『三好智広』、『板倉』、『赤松修平』
以上4名。前回と比較するとあまり芳しくないペースと言えるだろう……
色々と考えがあってのことなのだろうが…いたずらに時間を消費するなど愚の骨頂…!
優勝の為…参加者諸君には今以上に努力していただきたい…。
続いて、禁止エリアを発表する。
重要事項であるため、聞き逃さないように願いたい……
『G-4』、『H-1』
……以上の2箇所だ。
最後に…このゲームに不満を感じ、抵抗を試みようとしている一部の参加者諸君。
これまではこちらも静観してきたが…あまりに度が過ぎる行為には“それ相応”の報いがあるということを忘れないように……注意してくれたまえ。
……では、以上で放送を終了する。 引き続き、諸君の健闘を祈る」
~~~~~~~~~~~~
放送を終えた黒崎は一息入れる間も無く、即座にパソコンと向き合い始めた。
ひたすらにキーボードを叩く彼の様子は誰の目から見ても凄まじいものであった。
休むことなく彼が取り組んでいる案件…それはギャラリーからのクレーム処理。
“森田との契約” これは蔵前グループとのつながりを考えた黒崎の策に他ならない。しかし、その動きは他に知られることなり……火種を消すこととなったのはまだ最近のこと……
安心したのも束の間…彼の耳に入ってきたのは新たな火種…
一部のギャラリーから上がり始めた疑問の数々……
まとめて言えば、首輪に関する様々な不信…不安…ギャラリーは恐れていたのだ。首輪の信頼性を…それを解除した参加者により、この狂気の宴が破壊されることを……
(きっかけは…やはり森田との契約か…)
主催が直々に参加者に首輪の回収を命じる…この行為から首輪の信頼性を疑う者がいても不思議ではないだろう。
ギャラリーに対する回答…首輪の信頼性を示さなければ……そして、そろそろ…
「黒崎様……後藤様がお見えになられました」
(ほぉら…来た…)
パソコンのモニターを鏡代わりに身だしなみを確認すると、黒崎はさっと立ち上がった。
「…お通ししろ」
前回の放送から6時間後…後藤は再び黒崎の自室を訪れた。
「これはこれは後藤様…今度はどのようなご用件で…?」
「とぼけるな…化かしあいもいい加減にしろ…! 蔵前に何を吹き込んだ!!」
「これはまた随分と…」
開口一番。苛立ちを隠しきれなかった後藤はつい本音を黒崎へと浴びせる。
「何の話だか…私にはさっぱり……」
「例の“契約”…あれがゲームを盛り上げる為…だと? ふざけるな! 貴様は…帝愛は何を企んでいる…」
後藤の剣幕に臆することなく、黒崎はパソコンへと視線を移す。
「用件がそれだけなら帰っていただいてよろしいですかね? 今、ギャラリーからのクレーム処理で忙しいもので……」
「当然だ…あんな馬鹿げた契約でゲームに水を差されてはギャラリーも文句を言いたくなるだろう…それにああでもしなければ主催は対主催の首輪解除を抑止出来ないと公言しているようなもの。収拾などつくわけがない……」
「そうですかね…? あの首輪は帝愛の技術の集大成…それに関してはそれなりに自信があるんですがね…」
そう言うと、黒崎はキーボードを叩き終え、デスクの後ろのプリンターから排出される紙の束を手に取った。
「ちょうどギャラリーへ配布する首輪の情報がまとめ終わったところです。よかったらご覧ください…」
「そんなもの……!?」
後藤は書類を跳ね除けようとしたが…思い留まりそれを受け取る。
「そうだな…これは持ち帰り…ゆっくり拝見、検討させていたただこう…いいかな?」
「どうぞどうぞ…その為に印刷したのですから」
「…感謝する」
これまでの態度とは一転…後藤は急に何か納得のいった様子を見せるとその部屋から去っていった。
それを見て黒埼はやっと一息入れて腰を下ろした。
「こんなところか……」
黒崎のパソコンのモニタに写っているのはギャラリーへの返答…首輪に関する情報……
この度、お客様より当帝愛グループが開発した製品
―現在行われております『バトルロワイアル』において参加者が使用している『首輪』―
に対する疑問の声が多く寄せられた為、その回答として、このような文章を皆様へとお送りさせていただきました。
主な質問とその回答を簡単にですが以下にまとめさせていただきます。
質問
・本当に参加者に解除されないのか?
・あの首輪に入るようなサイズの小さな電池ではゲーム中に切れてしまわないのか?
・そもそもどんな構造なら、あの大きさで多機能(位置把握、盗聴、爆弾、生体信号受信)を実現できるのか? 無理に詰め込んでいるようならば、何か欠陥があるのでは?
回答
首輪に使用されている電池は『固体高分子形燃料電池』といい、簡単にいえば首輪内部に蓄えられた水素を空気中に存在する酸素と反応させることで『発電』する電池でございます。
予め、絶対過剰量の水素を合金に吸蔵させてありますので、例えばこの世から空気でも無くならない限り、
このゲームが行われている最中に電池が切れるということは絶対にありえないといえるでしょう。
そして、電池自体に水素を多量に使用することで、爆薬や爆弾に割くスペースを小規模に押さえ、あのサイズでの多機能化に成功しました。
つまり、あの首輪に搭載されている電池は電源であり、火薬であり、火種であるのです。
勿論、使っているのが水素という、室温常圧でいとも簡単に爆発してしまうような気体ですから、
参加者が内部構造をきちんと把握しないで分解しようとすれば多少の火花でも首輪を爆発させてしまうのは明らかです。
以上のことより、一参加者が首輪を自力で解除することなど不可能です。
皆様は安心して今後もゲームをお楽しみください。
(上出来だ…)
黒崎はここまで読むと残りの文面を全て消し去り、黒服に連絡をとった。
「…今から送る文面をお客様方のパソコンに送信しておいてくれ」
これで全てが整った…黒崎はそう感じていた。
黒崎の部屋を後にした後藤は手渡された書類を改めて確認していた。
しかし、彼が熱心に目を通していたのは首輪に関する文面ではない。その先に書かれていた内容であった。
(そういうことなら…協力させてもらいますよ、黒崎さん…)
そこに書かれていたのは黒崎から後藤…在全側への意思表示…このような一般書類の中に紛れ込ませる形をとったのも、そこに書かれている驚愕の内容からすれば当然の配慮…
「それにしても…帝愛の技術力は流石だな…」
一通り書類に目を通し終えた後藤が関心したのは表向きの本題…首輪の技術に関して。
今回使用している首輪の開発はEカード用の針具開発の経験を生かせる帝愛の担当であった。
(要求されていた多機能を実現する為に…帝愛がここまで仕上げていたとは…)
後藤の心に掠める一抹の不安…これだけの技術力…まさか…
(その気になれば例のプロジェクトも帝愛だけで出来るのでは…?)
そう考えた途端…後藤の背筋に嫌な悪寒が走った……
(しかし…それだけか…?)
後藤の心に尚も残る不安…予感…それが何なのか…今の彼にはまだ分からなかった。
|112:[[苦情]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[投下順>本編投下順]]|114:[[交渉]]|
|112:[[苦情]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[時系列順>本編時間順]]|114:[[交渉]]|
|112:[[苦情]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:黒崎義裕|130:[[宣戦布告(前編)]] [[(後編)>宣戦布告(後編)]]|
|099:[[投資]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:後藤利根雄||
**第二回定時放送 ~起爆~ ◆iL739YR/jk氏
(黒崎…袋井…そういうことか……!!)
後藤利根雄は苛立っていた。
遡ることおよそ4時間程のこと……後藤は蔵前グループとの接触を図っていた。
彼の目的はただ1つ。詳細は不明だが…黒崎の不穏な動き。
そんな帝愛の策に対する防衛策…蔵前の抱き込み…
そこで後藤は蔵前の欲しがっているであろう…平井銀二と森田鉄雄、この2人を条件として提示した…
だが、返答は『NO』……
この返答に思わず悔しさを顔に出す後藤に袋井は言った。
『…いずれ分かる』、その一言だけ……
そのときは何のことだか分からなかった後藤…故に一先ず様子見となったのだが……
彼が黒崎と森田の契約について知るのはそれから更に1時間程後のことであり…
……そして、今に至る。
全てを悟った後藤は黒崎の下へと向かっていた……
~~~~~~~~~~~
「…参加者の諸君、ご苦労。黒崎だ…これより第二回定時放送を行う。
今回も復唱はしない……よく聞いてくれたまえ…
ではまず、前回から今回の放送までの間に敗れ去った敗者の名を発表する。
『有賀研二』、『三好智広』、『板倉』、『赤松修平』
以上4名。前回と比較するとあまり芳しくないペースと言えるだろう……
色々と考えがあってのことなのだろうが…いたずらに時間を消費するなど愚の骨頂…!
優勝の為…参加者諸君には今以上に努力していただきたい…。
続いて、禁止エリアを発表する。
重要事項であるため、聞き逃さないように願いたい……
『G-4』、『H-1』
……以上の2箇所だ。
最後に…このゲームに不満を感じ、抵抗を試みようとしている一部の参加者諸君。
これまではこちらも静観してきたが…あまりに度が過ぎる行為には“それ相応”の報いがあるということを忘れないように……注意してくれたまえ。
……では、以上で放送を終了する。 引き続き、諸君の健闘を祈る」
~~~~~~~~~~~~
放送を終えた黒崎は一息入れる間も無く、即座にパソコンと向き合い始めた。
ひたすらにキーボードを叩く彼の様子は誰の目から見ても凄まじいものであった。
休むことなく彼が取り組んでいる案件…それはギャラリーからのクレーム処理。
“森田との契約” これは蔵前グループとのつながりを考えた黒崎の策に他ならない。しかし、その動きは他に知られることなり……火種を消すこととなったのはまだ最近のこと……
安心したのも束の間…彼の耳に入ってきたのは新たな火種…
一部のギャラリーから上がり始めた疑問の数々……
まとめて言えば、首輪に関する様々な不信…不安…ギャラリーは恐れていたのだ。首輪の信頼性を…それを解除した参加者により、この狂気の宴が破壊されることを……
(きっかけは…やはり森田との契約か…)
主催が直々に参加者に首輪の回収を命じる…この行為から首輪の信頼性を疑う者がいても不思議ではないだろう。
ギャラリーに対する回答…首輪の信頼性を示さなければ……そして、そろそろ…
「黒崎様……後藤様がお見えになられました」
(ほぉら…来た…)
パソコンのモニターを鏡代わりに身だしなみを確認すると、黒崎はさっと立ち上がった。
「…お通ししろ」
前回の放送から6時間後…後藤は再び黒崎の自室を訪れた。
「これはこれは後藤様…今度はどのようなご用件で…?」
「とぼけるな…化かしあいもいい加減にしろ…! 蔵前に何を吹き込んだ!!」
「これはまた随分と…」
開口一番。苛立ちを隠しきれなかった後藤はつい本音を黒崎へと浴びせる。
「何の話だか…私にはさっぱり……」
「例の“契約”…あれがゲームを盛り上げる為…だと? ふざけるな! 貴様は…帝愛は何を企んでいる…」
後藤の剣幕に臆することなく、黒崎はパソコンへと視線を移す。
「用件がそれだけなら帰っていただいてよろしいですかね? 今、ギャラリーからのクレーム処理で忙しいもので……」
「当然だ…あんな馬鹿げた契約でゲームに水を差されてはギャラリーも文句を言いたくなるだろう…それにああでもしなければ主催は対主催の首輪解除を抑止出来ないと公言しているようなもの。収拾などつくわけがない……」
「そうですかね…? あの首輪は帝愛の技術の集大成…それに関してはそれなりに自信があるんですがね…」
そう言うと、黒崎はキーボードを叩き終え、デスクの後ろのプリンターから排出される紙の束を手に取った。
「ちょうどギャラリーへ配布する首輪の情報がまとめ終わったところです。よかったらご覧ください…」
「そんなもの……!?」
後藤は書類を跳ね除けようとしたが…思い留まりそれを受け取る。
「そうだな…これは持ち帰り…ゆっくり拝見、検討させていたただこう…いいかな?」
「どうぞどうぞ…その為に印刷したのですから」
「…感謝する」
これまでの態度とは一転…後藤は急に何か納得のいった様子を見せるとその部屋から去っていった。
それを見て黒埼はやっと一息入れて腰を下ろした。
「こんなところか……」
黒崎のパソコンのモニタに写っているのはギャラリーへの返答…首輪に関する情報……
この度、お客様より当帝愛グループが開発した製品
―現在行われております『バトルロワイアル』において参加者が使用している『首輪』―
に対する疑問の声が多く寄せられた為、その回答として、このような文章を皆様へとお送りさせていただきました。
主な質問とその回答を簡単にですが以下にまとめさせていただきます。
質問
・本当に参加者に解除されないのか?
・あの首輪に入るようなサイズの小さな電池ではゲーム中に切れてしまわないのか?
・そもそもどんな構造なら、あの大きさで多機能(位置把握、盗聴、爆弾、生体信号受信)を実現できるのか? 無理に詰め込んでいるようならば、何か欠陥があるのでは?
回答
首輪に使用されている電池は『固体高分子形燃料電池』といい、簡単にいえば首輪内部に蓄えられた水素を空気中に存在する酸素と反応させることで『発電』する電池でございます。
予め、絶対過剰量の水素を合金に吸蔵させてありますので、例えばこの世から空気でも無くならない限り、
このゲームが行われている最中に電池が切れるということは絶対にありえないといえるでしょう。
そして、電池自体に水素を多量に使用することで、爆薬や爆弾に割くスペースを小規模に押さえ、あのサイズでの多機能化に成功しました。
つまり、あの首輪に搭載されている電池は電源であり、火薬であり、火種であるのです。
勿論、使っているのが水素という、室温常圧でいとも簡単に爆発してしまうような気体ですから、
参加者が内部構造をきちんと把握しないで分解しようとすれば多少の火花でも首輪を爆発させてしまうのは明らかです。
以上のことより、一参加者が首輪を自力で解除することなど不可能です。
皆様は安心して今後もゲームをお楽しみください。
(上出来だ…)
黒崎はここまで読むと残りの文面を全て消し去り、黒服に連絡をとった。
「…今から送る文面をお客様方のパソコンに送信しておいてくれ」
これで全てが整った…黒崎はそう感じていた。
黒崎の部屋を後にした後藤は手渡された書類を改めて確認していた。
しかし、彼が熱心に目を通していたのは首輪に関する文面ではない。その先に書かれていた内容であった。
(そういうことなら…協力させてもらいますよ、黒崎さん…)
そこに書かれていたのは黒崎から後藤…在全側への意思表示…このような一般書類の中に紛れ込ませる形をとったのも、そこに書かれている驚愕の内容からすれば当然の配慮…
「それにしても…帝愛の技術力は流石だな…」
一通り書類に目を通し終えた後藤が関心したのは表向きの本題…首輪の技術に関して。
今回使用している首輪の開発はEカード用の針具開発の経験を生かせる帝愛の担当であった。
(要求されていた多機能を実現する為に…帝愛がここまで仕上げていたとは…)
後藤の心に掠める一抹の不安…これだけの技術力…まさか…
(その気になれば例のプロジェクトも帝愛だけで出来るのでは…?)
そう考えた途端…後藤の背筋に嫌な悪寒が走った……
(しかし…それだけか…?)
後藤の心に尚も残る不安…予感…それが何なのか…今の彼にはまだ分からなかった。
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