「金の狩人(後編)」(2010/03/29 (月) 19:46:31) の最新版変更点
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**金の狩人(後編) ◆uBMOCQkEHY氏
時計が12時を指した。
闇の中から場違いなショパンの円舞曲が流れ始める。
『・・・参加者の諸君、ご苦労。黒崎だ・・・これより第二回定時放送を行う。
今回も復唱はしない・・・・・・よく聞いてくれたまえ・・・』
放送が始まった。
月明かりの下、沙織は先程の別荘からまっすぐ伸びる道路を目的もなくさ迷っていた。
『ではまず、前回から今回の放送までの間に敗れ去った敗者の名を発表する。
『有賀研二』、『三好智広』、『板倉』、『赤松修平』 以上4名』
「赤松・・・さん・・・」
沙織の足が立ち止まる。
赤松はマーダーになりかけた沙織を救おうと手を差し伸べた。
沙織は獣から人間に戻ることができた。
しかし、棄権ができない絶望から、再び、獣の道を選び、こともあろうに赤松に牙を向けた。
沙織が確認した時点では赤松は生きていた。
しかし、ここで呼ばれたということは・・・
「田中さん・・・」
背後から腕が伸び、沙織の頬と首をやさしく包んだ。
この指の感覚を沙織は知っていた。
「赤松さん・・・」
沙織は振り返ろうとする。
しかし、身動きを取ることができない。
沙織を包み込む手が沙織の頬と首を押さえつけているのである。
――何で・・・!
手のぬくもりが冷水のような冷気に変わっていく。
「私・・・殺しちゃったの・・・?」
沙織は腕を押さえ、肩をがたがた震わせる。
そんな最中であっても、放送は淡々と進んでいく。
『前回と比較するとあまり芳しくないペースと言えるだろう・・・
色々と考えがあってのことなのだろうが・・・いたずらに時間を消費するなど愚の骨頂・・・!』
「私を恨んでいる・・・襲われる・・・」
恐怖が沙織の身体の中を走る。
――赤松さんから逃げなく・・・
『優勝の為・・・参加者諸君には今以上に努力していただきたい・・・
続いて、禁止エリアを発表する
重要事項であるため、聞き逃さないように願いたい・・・・・・』
沙織が身を強張らせた直後だった。
沙織の顔を包んでいた手に力が入り、そっと囁きかける。
「次は貴方だ・・・」
「きゃぁぁぁぁあああああああああああーーーーーー!!!!!!」
◆
「何っ!!」
遠藤は振り返る。
今、外から女性の叫び声が聞こえたからだ。
『・・・・・・・以上の2箇所だ』
「チッ・・・!」
遠藤は思わず、舌打ちをする。
先程の女の叫び声で禁止エリアを聞き逃してしまった。
――後でデータから確認すればいい・・・。
遠藤はD-6側を見渡せることができる窓から様子を見た。
そこには蒼白に顔を引きつらせた表情でショッピングモールへ向かってくる田中沙織の姿があった。
――よりにもよって、あの女か・・・!
今、殺害スコアをもっとも伸ばしている女性である。
データから読み取ると、カイジを裏切った後、行く先々で人を襲っていた。
もし、鉢合わせになれば、遠藤を狙うことは目に見えている。
――逃げるか・・・!
遠藤はパソコン画面に向かい、CD-Rを抜こうとする。
しかし、その画面を見た途端、手の動きが止まってしまった。
未だに、その画面はデータ受信を伝えるウインドウが動作していた。
――所詮・・・コピーだからか・・・。
森田のフロッピーの時は特殊な処理があったらしく、30秒ほどでデータが全受信させた。
しかし、今のCD-Rでは3分から5分ほどかかるようになってしまっていた。
――今、抜けば、データが壊れる可能性がある・・・。
このデータは遠藤の命綱である。
森田のようにぞんざいに扱うつもりは毛頭ない。
しかし、この間にも沙織はショッピングモールへ向かってくる。
ここで遠藤にある考えが過ぎった。
――あの女を殺害すれば・・・1億円か・・・!
◆
沙織はショッピングモール内へ駆け込み、周囲を見渡す。
どこか物悲しさを感じさせるような閑散さが漂っている。
「赤松さんは・・・追ってこない・・・」
沙織は安堵の表情を浮かべる。
そもそも赤松は放送前に沙織によって命を絶たれており、沙織を追うなど不可能である。
あの赤松は彼女自身の恐怖が生み出した幻覚にすぎない。
「ここ・・・何・・・?」
沙織はショッピングモール内を徘徊し始めた。
「そうだ・・・もっと近づいてこい・・・」
遠藤はレジのカウンターの陰から沙織の様子を伺っていた。
その手には「コルトパイソン357マグナム」が握り締められている。
遠藤はデータのダウンロードを待つ間に、沙織を始末し、チップを奪う策を選んだのだ。
――あの女が射程範囲へ入ったとき、頭を狙う・・・!
遠藤は沙織に気づかれない程度に、顔をカウンターから出し、瞳を凝らす。
月明かりの逆光で、沙織の姿はシルエットのように、浮かび上がっている。
――確か、アイツの武器はボウガンだったな・・・
その時、遠藤は沙織の手に握られている、あるものに気づき、酷薄な笑みを見せた。
――マシンガン!
以前、確認したデータによると、沙織のサブマシンガンウージーは故障か弾切れのため、
動かなくなってしまっているらしい。
――あの銃は・・・ブラフってわけか・・・!
ボウガンよりマシンガンの方が相手に与える威圧感は大きい。
だからこそ、沙織はあえて鉄の塊となったマシンガンを所持しているのだろう。
――悪くない戦略なんだがな・・・。
遠藤はカウンターから腕を伸ばし、銃を構える。
狙うは沙織の頭部である。
標準がゆっくり動く。
激しく心臓が鼓動し始めている。
それを押さえつけるように、グリップを握る手に力を込める。
標準が沙織の顔の中心部を捕らえた。
――あばよ・・・田中沙織っ!
バン!!!
乾いた銃声が静寂のヴェールを突き破る。
薬莢がカランと床に落ちた。
それと同時に、沙織の一部が弾けた。
沙織はキャッと声をあげ、よろける。
――やったかっ!
しっかり観察しようとカウンターから身を乗り出した瞬間、遠藤に戦慄が走る。
沙織がその場で踏みとどまったのだ。
――何だと!
沙織の身体は確かに弾けた。
しかし、弾けたのは頭部ではない。
沙織の髪の毛だったのだ。
「くっ!もう一発か!」
遠藤は腕を伸ばし、再び銃を構える。
沙織が顔を上げた。
燃え上がるかのような形相で、遠藤を睨みつける。
獣心が牙を剥きだした瞬間だった。
――何っ!
一瞬、遠藤は身が凍てつく感覚を覚える。
しかし、怯まない。
知っているからだ。
――お前の銃は弾切・・・
沙織の銃口が火を噴いた。
遠藤の右肩からパアッと真っ赤な血煙があがる。
熱せられた鉄の棒を押し付けられたかのような痛み。
遠藤の身体は体制を崩し、そのままカウンターの中へ倒れた。
――弾切れじゃなかったのかっ!
遠藤は知らなかった。
沙織が持っていた銃はサブマシンガンウージーではなく、
三好が所持していたイングラムM11であったことを。
イングラムM11の全長はサブマシンガンウージーの半分ほどしかなく、
大量生産、安価が売りの銃のため、全体的な作りはウージーに比べてお粗末である。
しかし、銃を普段使用しない一般人から見れば、
サブマシンガンウージーもイングラムM11もマシンガンである。
もし、パソコンのデータがもう少し早く遠藤の元へ配信されれば、状況は変わっていたかもしれない。
怒りのままに、沙織はカウンターに向かって銃を発砲する。
ドラムの連打のような音がフロア内に響き渡る。
カウンターに蜘蛛の巣のような穴がいくつも空く。
銃弾がカウンターを貫通しているのだ。
遠藤は右肩を押さえながら、床に伏せ、銃弾の嵐が止むのを待つ。
右肩を負傷したせいで、右腕が思うように動かない。
――くそっ・・・どうすりゃいい・・・?
万事休すかと遠藤が腹を括った直後だった。
銃弾が止んだ。
――何が起こった・・・?
遠藤は肩を抑えながら、カウンターから顔を覗かせる。
沙織はイングラムM11のマガジンを投げ捨て、ディバックから新しいマガジンを取り出した。
遠藤は直感した。
――二度目が来る!!
3階へ置きっぱなしにしたCD-Rが頭を過ぎる。
それがなければ、先程の放送で指定された禁止エリアの場所どころか、
どこに危険人物がいるのか把握することもできない。
しかし、命あっての物種である。
遠藤はカウンターを乗り越え、食堂へ駆け出した。
目指すは厨房にある出入り口――逃走経路へ・・・。
「あ・・・!」
遠藤が逃げ出したのと、沙織がイングラムM11にマガジンをセットしたタイミングはほぼ同時だった。
沙織は横切った虫を目で追うかのような条件反射で遠藤の後を追いかけ、イングラムM11の引き金を引く。
乾いた音を響かせ、弾丸が床で弾ける。
遠藤はますます足を速める。
立ち止まれば、死ぬと直感が警告する。
メインフロアを横断し、食堂ホール、その一角にある飲食売店、
そのカウンターを抜け、遠藤は厨房までたどり着いた。
厨房の出入り口は厨房の一番奥に位置する。
作業台と調理台の間の狭いスペースを抜ける。
目の前の流し台を横切れば出入り口が視界に入る。
――外に出て、林の中に逃げ込めば・・・
「見つけた!」
間髪入れず、沙織は発砲する。
遠藤の背後から一閃が走る。
弾丸が遠藤の頬をかすったのだ。
――もう迫ってきやがったか!
遠藤が振り返ろうとしたその時だった。
目の前の給湯器からパチッと青白い火花が散った。
――まさか・・・
避ける間もなかった。
ガス給湯器が火を噴き、弾かれたように爆発した。
「うぐわぁぁっ!!!!」
遠藤は爆風で床に叩きつけられる。
給湯器があった場所から大量の炎がバネじかけのような勢いで伸び、
近くにあった雑巾、壁、こともあろうに出入り口までをも巻き込み、その火勢を増していく。
「う・・・うわぁぁぁーーーー!!!!」
炎が野獣にでも見えたのだろうか。
沙織は震えるような声を出して、厨房から逃げ出した。
「くそっ・・・!」
遠藤は半身を起こした。
遠藤の顔と衣類には煤がつき、頬の一部がやけどで赤く腫れている。
出入り口を確認した後、遠藤は深く考えもせず、ガス給湯器から湯を出していた。
ガスは厨房の出入り口の付近にあったプロパンガスから供給されている。
プロパンガス内のガスがなくならない限り、火の勢いが止むことはないだろう。
その上、この厨房は壁や出入り口のドアノブにはホコリでべとついた油汚れが付着していた。
炎の勢いが早いのは至極当然のことであった。
「早く・・・逃げねぇと・・・」
遠藤は肩を押さえながら立ち上がり、燃え盛る厨房から離れた。
おそらくこのショッピングモールは全焼するだろう。
今、3階にCD-Rとノートパソコンが放置されている。
――火が3階に移動する前に取りに戻って、1階の出入り口から抜け出す・・・。
遠藤はそう算段し、メインフロアの様子を確認した。
「え・・・」
遠藤から思わず、困惑の声が洩れる。
沙織が正面入り口の前で衝撃を隠しきれない表情で煙を見続けているからだ。
――勘弁してくれ・・・!
ショッピングモールの正面出入り口は1階全体を見渡すことができる。
階段を上れば、遠藤の姿はすぐに沙織の視界に入ってしまうだろう。
しかし、この機を逃せば、CD-R――神の目は燃えてしまう。
――選択肢は一つか・・・。
遠藤は深呼吸をすると、弾かれたように全力疾走でエスカレーターへ向かった。
「あ・・・」
エスカレーターを駆け上る遠藤を、沙織は異物を排除するが如く、銃を乱射する。
エスカレーターの手摺りや段に、焼けたような穴が次々と空く。
――早くあの入り口から去ってくれっ!
沙織の銃弾を避けながら、無我夢中で遠藤が祈ったと同時だった。
ゴゴゴゴゴ・・・ブォッ!
地割れのような轟音。
遠藤の目に飛び込んできたのは、決壊したダムの水のようにメインフロアへ押し寄せてくる炎の塊であった。
外のプロパンガスに引火したのだ。
焦熱の臭気が舞い上がる。
「あ・・・あぅぅ・・・」
沙織は身体を震わせる。
炎が襲ってくる。
沙織は後ずさりするとその場を後にした。
沙織が逃げ出した直後、炎はエネルギーを持て余した龍のように蛇行してメインフロアを包み込んでいく。
「うそ・・・だろ・・・」
遠藤はエスカレーターからその様子を呆然と眺める。
炎は沙織の撤退へと繋がったが、同時に遠藤の脱出経路も塞いでしまった。
ある意味、遠藤の願いは叶ったと言える・・・最悪の形で。
「あの女は死神かっ!!!!」
遠藤は歯軋りする。
しかし、これ以上、沙織に恨み言を言っても意味がない。
煙は空気より軽いため、上の階に行けば行くほど、煙による一酸化炭素中毒で人事不省に陥る可能性がある。
――とにかく時間がないっ!
遠藤は再び、エスカレーターを走る。
熱風を含んだ煙が遠藤に絡みつく。
それを振り払うかのように、遠藤は全速力で駆け上る。
遠藤が3階へ到着すると、霧のようにうっすらと白煙が立ちこみ始めていた。
パソコンからCD-Rを取り出し、ノートパソコンとバッテリーをディバックの中に突っ込む。
遠藤はすぐさま2階へ駆け下りる。
少しでも地面に近い場所へ移動するためである。
遠藤は2階から1階の様子を確認する。
1階は火と闇が乱舞する地獄絵図となっていた。
炎と黒煙が轟々と音を立てて渦巻き、熱でガラスが飛散する音が耳に飛び込む。
1階に下りればどうなるのかは、明らかだった。
遠藤は2階のフロアを見渡す。
2階は衣料品・インテリアのコーナーである。
布団に、衣類など燃えてくださいと言わんばかりの商品が揃っている。
「ダメだ・・・」
遠藤はうな垂れる。
――ここでオレの命は終わっちまうのか・・・。
その時、ある物が目に飛び込んできた。
遠藤に閃きが走る。
「まだ、可能性はある・・・!」
遠藤はそう呟くと、ベッド売場からに展示されていたマットレスを、テラスへ引きずる。
右肩がズキズキと痛むが、それに構っている暇はない。
テラスに到着すると、マットレスを地面へ落とす。
マットレスはワンバウンドし、地面に着地した。
やや建物から離れたが、ジャンプすれば届く範囲である。
遠藤はそれを確認すると、マットレスと同じように陳列されていたシーツの端と端を左手と歯を用いて器用に結う。
そうこうしている間にも、室内の温度はますます上昇し、火が這いずるように遠藤に近づいてくる。
遠藤に焦りの色が表れる。
――急げっ!!
やがて、一本のロープができた。
その端をテラスの鉄製の柵に結わえ、窓から垂らした。
即席のロープは地面より2メートルほど足りない。
本来なら、地面に付くほどまでの長さが欲しかったが、
火勢がさらに強さを増し、2階へ迫ってきている状況がそれを許さなかった。
ロープで降りられるところまで降り、そこからマットレスへジャンプする。
マットレスで着地の際の衝撃を吸収させ、無傷に近い状態で退散する。
即席の脱出装置であるが、手近であるものを利用し、短時間で準備するという制限の中であれば、最良の策であろう。
遠藤は左手でロープを掴むと、壁に足をかけ、慎重に降りていく。
ロープを握る手が緊張と熱で汗まみれになる。
滑らないように手にさらなる力を込め、マットレスの位置を確認しながら、地面を見下ろした。
――落ち着いて飛べば・・・上手くいくっ!
この時、思いもよらないことが起こった。
シュルっと布と布がすれる音と共に、遠藤の身体が重力で地面へ引っ張られたのだ。
結い方が甘かった。
――やばいっ!!
遠藤が異常に気づいた時、ロープの結び目は解けていた。
「うわっ!!」
マットレスの位置を確認する余裕はなかった。
遠藤は足から崩れるように地面と衝突した。
左足がボキッと折れ、激痛が身体を突き抜ける。
遠藤はその場に倒れこみ、足を押さえた。
「くっそぉ・・・」
こうして痛みを堪えている間にも、異常に気づいた参加者が近づいてくる恐れがある。
もし、その参加者がゲームに乗っていたら・・・。
「オレは・・・格好の餌食だ・・・」
遠藤は肩からゼェゼェと息をしながら、近くの木に背中をもたれるように立ち上がる。
鼻腔に濁った熱い空気が入り、呼吸がますます乱れる。
「早く・・・離れねぇと・・・」
遠藤は左足を引きずりながら、一歩一歩歩き始めた。
闇に黒煙と火柱をあげて燃え上がるショッピングモールを背にして――。
【D-8/ショッピングモール付近/深夜】
【遠藤勇次】
[状態]:右肩銃創 左足骨折 頬に火傷
[道具]:参加候補者名簿 コルトパイソン357マグナム(残り5発)
ノートパソコン バッテリー CD-R(森田のフロッピーのデータ) 不明支給品0~1 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:その場から逃げる
※森田に支給品は参加候補者名簿だけと言いましたが、他に隠し持っている可能性もあります。
※森田の持っていたフロッピーのバックアップを取ってあったので、情報を受信することができます。
そのデータはCD-Rにコピーしましたが、データ受信に3~5分ほどかかります。
※ 沙織の叫び声のせいで禁止エリアの放送を聞き逃してしまいました。
【D-6/ショッピングモール付近/深夜】
【田中沙織】
[状態]:精神崩壊 重度の精神消耗 肩に軽い打撲、擦り傷 腹部に打撲 右腕に軽い切傷
[道具]:支給品一式×3(ペンのみ1つ) イングラムM11 30発マガジン×3
マガジン防弾ヘルメット 参加者名簿 ボウガン ボウガンの矢(残り6本) 手榴弾×1
[所持金]:1億200万円
[思考]:絶望 武器が欲しい 死にたくない 一条、利根川幸雄、兵藤和也、鷲巣巌に警戒 カイジから逃れる 涯、赤松、その二人と合流した人物(確認できず)に警戒 黒沢、石田に警戒
※標の首を確認したことから、この島には有賀のような殺人鬼がいると警戒しています。
※今の沙織は感情のままに行動をするようになっております。
※サブマシンガンウージー(弾切れ)、三好の支給品である、グレネードランチャー ゴム弾×8 木刀 包丁 支給品一式、有賀が残した不明支給品×6がD-5の別荘に放置されております。
|114:[[交渉]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[投下順>本編投下順]]|116:[[夢幻]]|
||COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[時系列順>本編時間順]]||
|095:[[見切り]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:遠藤勇次|122:[[再考]]|
|105:[[慙愧]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:田中沙織|128:[[偶然と奇跡の果てに]]|
**金の狩人(後編) ◆uBMOCQkEHY氏
時計が12時を指した。
闇の中から場違いなショパンの円舞曲が流れ始める。
『・・・参加者の諸君、ご苦労。黒崎だ・・・これより第二回定時放送を行う。
今回も復唱はしない・・・・・・よく聞いてくれたまえ・・・』
放送が始まった。
月明かりの下、沙織は先程の別荘からまっすぐ伸びる道路を目的もなくさ迷っていた。
『ではまず、前回から今回の放送までの間に敗れ去った敗者の名を発表する。
『有賀研二』、『三好智広』、『板倉』、『赤松修平』 以上4名』
「赤松・・・さん・・・」
沙織の足が立ち止まる。
赤松はマーダーになりかけた沙織を救おうと手を差し伸べた。
沙織は獣から人間に戻ることができた。
しかし、棄権ができない絶望から、再び、獣の道を選び、こともあろうに赤松に牙を向けた。
沙織が確認した時点では赤松は生きていた。
しかし、ここで呼ばれたということは・・・
「田中さん・・・」
背後から腕が伸び、沙織の頬と首をやさしく包んだ。
この指の感覚を沙織は知っていた。
「赤松さん・・・」
沙織は振り返ろうとする。
しかし、身動きを取ることができない。
沙織を包み込む手が沙織の頬と首を押さえつけているのである。
――何で・・・!
手のぬくもりが冷水のような冷気に変わっていく。
「私・・・殺しちゃったの・・・?」
沙織は腕を押さえ、肩をがたがた震わせる。
そんな最中であっても、放送は淡々と進んでいく。
『前回と比較するとあまり芳しくないペースと言えるだろう・・・
色々と考えがあってのことなのだろうが・・・いたずらに時間を消費するなど愚の骨頂・・・!』
「私を恨んでいる・・・襲われる・・・」
恐怖が沙織の身体の中を走る。
――赤松さんから逃げなく・・・
『優勝の為・・・参加者諸君には今以上に努力していただきたい・・・
続いて、禁止エリアを発表する
重要事項であるため、聞き逃さないように願いたい・・・・・・』
沙織が身を強張らせた直後だった。
沙織の顔を包んでいた手に力が入り、そっと囁きかける。
「次は貴方だ・・・」
「きゃぁぁぁぁあああああああああああーーーーーー!!!!!!」
◆
「何っ!!」
遠藤は振り返る。
今、外から女性の叫び声が聞こえたからだ。
『・・・・・・・以上の2箇所だ』
「チッ・・・!」
遠藤は思わず、舌打ちをする。
先程の女の叫び声で禁止エリアを聞き逃してしまった。
――後でデータから確認すればいい・・・。
遠藤はD-6側を見渡せることができる窓から様子を見た。
そこには蒼白に顔を引きつらせた表情でショッピングモールへ向かってくる田中沙織の姿があった。
――よりにもよって、あの女か・・・!
今、殺害スコアをもっとも伸ばしている女性である。
データから読み取ると、カイジを裏切った後、行く先々で人を襲っていた。
もし、鉢合わせになれば、遠藤を狙うことは目に見えている。
――逃げるか・・・!
遠藤はパソコン画面に向かい、CD-Rを抜こうとする。
しかし、その画面を見た途端、手の動きが止まってしまった。
未だに、その画面はデータ受信を伝えるウインドウが動作していた。
――所詮・・・コピーだからか・・・。
森田のフロッピーの時は特殊な処理があったらしく、30秒ほどでデータが全受信させた。
しかし、今のCD-Rでは3分から5分ほどかかるようになってしまっていた。
――今、抜けば、データが壊れる可能性がある・・・。
このデータは遠藤の命綱である。
森田のようにぞんざいに扱うつもりは毛頭ない。
しかし、この間にも沙織はショッピングモールへ向かってくる。
ここで遠藤にある考えが過ぎった。
――あの女を殺害すれば・・・1億円か・・・!
◆
沙織はショッピングモール内へ駆け込み、周囲を見渡す。
どこか物悲しさを感じさせるような閑散さが漂っている。
「赤松さんは・・・追ってこない・・・」
沙織は安堵の表情を浮かべる。
そもそも赤松は放送前に沙織によって命を絶たれており、沙織を追うなど不可能である。
あの赤松は彼女自身の恐怖が生み出した幻覚にすぎない。
「ここ・・・何・・・?」
沙織はショッピングモール内を徘徊し始めた。
「そうだ・・・もっと近づいてこい・・・」
遠藤はレジのカウンターの陰から沙織の様子を伺っていた。
その手には「コルトパイソン357マグナム」が握り締められている。
遠藤はデータのダウンロードを待つ間に、沙織を始末し、チップを奪う策を選んだのだ。
――あの女が射程範囲へ入ったとき、頭を狙う・・・!
遠藤は沙織に気づかれない程度に、顔をカウンターから出し、瞳を凝らす。
月明かりの逆光で、沙織の姿はシルエットのように、浮かび上がっている。
――確か、アイツの武器はボウガンだったな・・・
その時、遠藤は沙織の手に握られている、あるものに気づき、酷薄な笑みを見せた。
――マシンガン!
以前、確認したデータによると、沙織のサブマシンガンウージーは故障か弾切れのため、
動かなくなってしまっているらしい。
――あの銃は・・・ブラフってわけか・・・!
ボウガンよりマシンガンの方が相手に与える威圧感は大きい。
だからこそ、沙織はあえて鉄の塊となったマシンガンを所持しているのだろう。
――悪くない戦略なんだがな・・・。
遠藤はカウンターから腕を伸ばし、銃を構える。
狙うは沙織の頭部である。
標準がゆっくり動く。
激しく心臓が鼓動し始めている。
それを押さえつけるように、グリップを握る手に力を込める。
標準が沙織の顔の中心部を捕らえた。
――あばよ・・・田中沙織っ!
バン!!!
乾いた銃声が静寂のヴェールを突き破る。
薬莢がカランと床に落ちた。
それと同時に、沙織の一部が弾けた。
沙織はキャッと声をあげ、よろける。
――やったかっ!
しっかり観察しようとカウンターから身を乗り出した瞬間、遠藤に戦慄が走る。
沙織がその場で踏みとどまったのだ。
――何だと!
沙織の身体は確かに弾けた。
しかし、弾けたのは頭部ではない。
沙織の髪の毛だったのだ。
「くっ!もう一発か!」
遠藤は腕を伸ばし、再び銃を構える。
沙織が顔を上げた。
燃え上がるかのような形相で、遠藤を睨みつける。
獣心が牙を剥きだした瞬間だった。
――何っ!
一瞬、遠藤は身が凍てつく感覚を覚える。
しかし、怯まない。
知っているからだ。
――お前の銃は弾切・・・
沙織の銃口が火を噴いた。
遠藤の右肩からパアッと真っ赤な血煙があがる。
熱せられた鉄の棒を押し付けられたかのような痛み。
遠藤の身体は体制を崩し、そのままカウンターの中へ倒れた。
――弾切れじゃなかったのかっ!
遠藤は知らなかった。
沙織が持っていた銃はサブマシンガンウージーではなく、
三好が所持していたイングラムM11であったことを。
イングラムM11の全長はサブマシンガンウージーの半分ほどしかなく、
大量生産、安価が売りの銃のため、全体的な作りはウージーに比べてお粗末である。
しかし、銃を普段使用しない一般人から見れば、
サブマシンガンウージーもイングラムM11もマシンガンである。
もし、パソコンのデータがもう少し早く遠藤の元へ配信されれば、状況は変わっていたかもしれない。
怒りのままに、沙織はカウンターに向かって銃を発砲する。
ドラムの連打のような音がフロア内に響き渡る。
カウンターに蜘蛛の巣のような穴がいくつも空く。
銃弾がカウンターを貫通しているのだ。
遠藤は右肩を押さえながら、床に伏せ、銃弾の嵐が止むのを待つ。
右肩を負傷したせいで、右腕が思うように動かない。
――くそっ・・・どうすりゃいい・・・?
万事休すかと遠藤が腹を括った直後だった。
銃弾が止んだ。
――何が起こった・・・?
遠藤は肩を抑えながら、カウンターから顔を覗かせる。
沙織はイングラムM11のマガジンを投げ捨て、ディバックから新しいマガジンを取り出した。
遠藤は直感した。
――二度目が来る!!
3階へ置きっぱなしにしたCD-Rが頭を過ぎる。
それがなければ、先程の放送で指定された禁止エリアの場所どころか、
どこに危険人物がいるのか把握することもできない。
しかし、命あっての物種である。
遠藤はカウンターを乗り越え、食堂へ駆け出した。
目指すは厨房にある出入り口――逃走経路へ・・・。
「あ・・・!」
遠藤が逃げ出したのと、沙織がイングラムM11にマガジンをセットしたタイミングはほぼ同時だった。
沙織は横切った虫を目で追うかのような条件反射で遠藤の後を追いかけ、イングラムM11の引き金を引く。
乾いた音を響かせ、弾丸が床で弾ける。
遠藤はますます足を速める。
立ち止まれば、死ぬと直感が警告する。
メインフロアを横断し、食堂ホール、その一角にある飲食売店、
そのカウンターを抜け、遠藤は厨房までたどり着いた。
厨房の出入り口は厨房の一番奥に位置する。
作業台と調理台の間の狭いスペースを抜ける。
目の前の流し台を横切れば出入り口が視界に入る。
――外に出て、林の中に逃げ込めば・・・
「見つけた!」
間髪入れず、沙織は発砲する。
遠藤の背後から一閃が走る。
弾丸が遠藤の頬をかすったのだ。
――もう迫ってきやがったか!
遠藤が振り返ろうとしたその時だった。
目の前の給湯器からパチッと青白い火花が散った。
――まさか・・・
避ける間もなかった。
ガス給湯器が火を噴き、弾かれたように爆発した。
「うぐわぁぁっ!!!!」
遠藤は爆風で床に叩きつけられる。
給湯器があった場所から大量の炎がバネじかけのような勢いで伸び、
近くにあった雑巾、壁、こともあろうに出入り口までをも巻き込み、その火勢を増していく。
「う・・・うわぁぁぁーーーー!!!!」
炎が野獣にでも見えたのだろうか。
沙織は震えるような声を出して、厨房から逃げ出した。
「くそっ・・・!」
遠藤は半身を起こした。
遠藤の顔と衣類には煤がつき、頬の一部がやけどで赤く腫れている。
出入り口を確認した後、遠藤は深く考えもせず、ガス給湯器から湯を出していた。
ガスは厨房の出入り口の付近にあったプロパンガスから供給されている。
プロパンガス内のガスがなくならない限り、火の勢いが止むことはないだろう。
その上、この厨房は壁や出入り口のドアノブにはホコリでべとついた油汚れが付着していた。
炎の勢いが早いのは至極当然のことであった。
「早く・・・逃げねぇと・・・」
遠藤は肩を押さえながら立ち上がり、燃え盛る厨房から離れた。
おそらくこのショッピングモールは全焼するだろう。
今、3階にCD-Rとノートパソコンが放置されている。
――火が3階に移動する前に取りに戻って、1階の出入り口から抜け出す・・・。
遠藤はそう算段し、メインフロアの様子を確認した。
「え・・・」
遠藤から思わず、困惑の声が洩れる。
沙織が正面入り口の前で衝撃を隠しきれない表情で煙を見続けているからだ。
――勘弁してくれ・・・!
ショッピングモールの正面出入り口は1階全体を見渡すことができる。
階段を上れば、遠藤の姿はすぐに沙織の視界に入ってしまうだろう。
しかし、この機を逃せば、CD-R――神の目は燃えてしまう。
――選択肢は一つか・・・。
遠藤は深呼吸をすると、弾かれたように全力疾走でエスカレーターへ向かった。
「あ・・・」
エスカレーターを駆け上る遠藤を、沙織は異物を排除するが如く、銃を乱射する。
エスカレーターの手摺りや段に、焼けたような穴が次々と空く。
――早くあの入り口から去ってくれっ!
沙織の銃弾を避けながら、無我夢中で遠藤が祈ったと同時だった。
ゴゴゴゴゴ・・・ブォッ!
地割れのような轟音。
遠藤の目に飛び込んできたのは、決壊したダムの水のようにメインフロアへ押し寄せてくる炎の塊であった。
外のプロパンガスに引火したのだ。
焦熱の臭気が舞い上がる。
「あ・・・あぅぅ・・・」
沙織は身体を震わせる。
炎が襲ってくる。
沙織は後ずさりするとその場を後にした。
沙織が逃げ出した直後、炎はエネルギーを持て余した龍のように蛇行してメインフロアを包み込んでいく。
「うそ・・・だろ・・・」
遠藤はエスカレーターからその様子を呆然と眺める。
炎は沙織の撤退へと繋がったが、同時に遠藤の脱出経路も塞いでしまった。
ある意味、遠藤の願いは叶ったと言える・・・最悪の形で。
「あの女は死神かっ!!!!」
遠藤は歯軋りする。
しかし、これ以上、沙織に恨み言を言っても意味がない。
煙は空気より軽いため、上の階に行けば行くほど、煙による一酸化炭素中毒で人事不省に陥る可能性がある。
――とにかく時間がないっ!
遠藤は再び、エスカレーターを走る。
熱風を含んだ煙が遠藤に絡みつく。
それを振り払うかのように、遠藤は全速力で駆け上る。
遠藤が3階へ到着すると、霧のようにうっすらと白煙が立ちこみ始めていた。
パソコンからCD-Rを取り出し、ノートパソコンとバッテリーをディバックの中に突っ込む。
遠藤はすぐさま2階へ駆け下りる。
少しでも地面に近い場所へ移動するためである。
遠藤は2階から1階の様子を確認する。
1階は火と闇が乱舞する地獄絵図となっていた。
炎と黒煙が轟々と音を立てて渦巻き、熱でガラスが飛散する音が耳に飛び込む。
1階に下りればどうなるのかは、明らかだった。
遠藤は2階のフロアを見渡す。
2階は衣料品・インテリアのコーナーである。
布団に、衣類など燃えてくださいと言わんばかりの商品が揃っている。
「ダメだ・・・」
遠藤はうな垂れる。
――ここでオレの命は終わっちまうのか・・・。
その時、ある物が目に飛び込んできた。
遠藤に閃きが走る。
「まだ、可能性はある・・・!」
遠藤はそう呟くと、ベッド売場からに展示されていたマットレスを、テラスへ引きずる。
右肩がズキズキと痛むが、それに構っている暇はない。
テラスに到着すると、マットレスを地面へ落とす。
マットレスはワンバウンドし、地面に着地した。
やや建物から離れたが、ジャンプすれば届く範囲である。
遠藤はそれを確認すると、マットレスと同じように陳列されていたシーツの端と端を左手と歯を用いて器用に結う。
そうこうしている間にも、室内の温度はますます上昇し、火が這いずるように遠藤に近づいてくる。
遠藤に焦りの色が表れる。
――急げっ!!
やがて、一本のロープができた。
その端をテラスの鉄製の柵に結わえ、窓から垂らした。
即席のロープは地面より2メートルほど足りない。
本来なら、地面に付くほどまでの長さが欲しかったが、
火勢がさらに強さを増し、2階へ迫ってきている状況がそれを許さなかった。
ロープで降りられるところまで降り、そこからマットレスへジャンプする。
マットレスで着地の際の衝撃を吸収させ、無傷に近い状態で退散する。
即席の脱出装置であるが、手近であるものを利用し、短時間で準備するという制限の中であれば、最良の策であろう。
遠藤は左手でロープを掴むと、壁に足をかけ、慎重に降りていく。
ロープを握る手が緊張と熱で汗まみれになる。
滑らないように手にさらなる力を込め、マットレスの位置を確認しながら、地面を見下ろした。
――落ち着いて飛べば・・・上手くいくっ!
この時、思いもよらないことが起こった。
シュルっと布と布がすれる音と共に、遠藤の身体が重力で地面へ引っ張られたのだ。
結い方が甘かった。
――やばいっ!!
遠藤が異常に気づいた時、ロープの結び目は解けていた。
「うわっ!!」
マットレスの位置を確認する余裕はなかった。
遠藤は足から崩れるように地面と衝突した。
左足がボキッと折れ、激痛が身体を突き抜ける。
遠藤はその場に倒れこみ、足を押さえた。
「くっそぉ・・・」
こうして痛みを堪えている間にも、異常に気づいた参加者が近づいてくる恐れがある。
もし、その参加者がゲームに乗っていたら・・・。
「オレは・・・格好の餌食だ・・・」
遠藤は肩からゼェゼェと息をしながら、近くの木に背中をもたれるように立ち上がる。
鼻腔に濁った熱い空気が入り、呼吸がますます乱れる。
「早く・・・離れねぇと・・・」
遠藤は左足を引きずりながら、一歩一歩歩き始めた。
闇に黒煙と火柱をあげて燃え上がるショッピングモールを背にして――。
【D-8/ショッピングモール付近/深夜】
【遠藤勇次】
[状態]:右肩銃創 左足骨折 頬に火傷
[道具]:参加候補者名簿 コルトパイソン357マグナム(残り5発)
ノートパソコン バッテリー CD-R(森田のフロッピーのデータ) 不明支給品0~1 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:その場から逃げる
※森田に支給品は参加候補者名簿だけと言いましたが、他に隠し持っている可能性もあります。
※森田の持っていたフロッピーのバックアップを取ってあったので、情報を受信することができます。
そのデータはCD-Rにコピーしましたが、データ受信に3~5分ほどかかります。
※ 沙織の叫び声のせいで禁止エリアの放送を聞き逃してしまいました。
【D-6/ショッピングモール付近/深夜】
【田中沙織】
[状態]:精神崩壊 重度の精神消耗 肩に軽い打撲、擦り傷 腹部に打撲 右腕に軽い切傷
[道具]:支給品一式×3(ペンのみ1つ) イングラムM11 30発マガジン×3
マガジン防弾ヘルメット 参加者名簿 ボウガン ボウガンの矢(残り6本) 手榴弾×1
[所持金]:1億200万円
[思考]:絶望 武器が欲しい 死にたくない 一条、利根川幸雄、兵藤和也、鷲巣巌に警戒 カイジから逃れる 涯、赤松、その二人と合流した人物(確認できず)に警戒 黒沢、石田に警戒
※標の首を確認したことから、この島には有賀のような殺人鬼がいると警戒しています。
※今の沙織は感情のままに行動をするようになっております。
※サブマシンガンウージー(弾切れ)、三好の支給品である、グレネードランチャー ゴム弾×8 木刀 包丁 支給品一式、有賀が残した不明支給品×6がD-5の別荘に放置されております。
|114:[[交渉]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[投下順>本編投下順]]|116:[[夢幻]]|
|125:[[我執(前編)>我執]] [[(後編)>我執(後編)]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[時系列順>本編時間順]]|122:[[再考]]|
|095:[[見切り]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:遠藤勇次|122:[[再考]]|
|105:[[慙愧]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:田中沙織|128:[[偶然と奇跡の果てに]]|
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