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渇望 ◆uBMOCQkEHY氏


一条は革靴独特の甲高い音を響かせながら、ホテルの階段をかけ上がる。
二階へ着くと一条は辺りを見回した。
一条が目指す部屋は21号室。
部屋の番号は、十の位はその階を表し、一の位は各部屋を表す。
部屋は階段を挟んで、左側が下一桁1から5号室、右側は6から9号室である。

非常灯の光を頼りに、一条は左奥にある21号室のドアをはね除けるように開けた。
「しづかっ!」
そこにあるのは僅かに開いた窓と月明かり――しづかの姿はどこにもなかった。

「しづか・・・」
一条はうつむき、肩を震わせる。
その姿は、あたかも体の中から憎しみが獣の姿を借りて破り出てくるようであった。

「しづかぁ・・・」
一条の口から、姿の見えぬ相手を威嚇するかのような呼吸が洩れる。

「しづかぁー!!!!」

一条は手前にあった椅子を蹴っ飛ばした。
それを皮切りに、恐れを知らぬ強盗のように、周囲の家具を手当たり次第に荒らす。
板倉が“ハブの毒”というハッタリを言わせざるを得ない程度の毒であるため、
一条が打たれた薬品は直接死に繋がるものではないはずである。
しかし、あくまでも“命は奪わない”という最低限のハードルをクリアしているに過ぎない。
もし、このまま血清が見つからなければ、どのような後遺症が残るのか分からない。
後遺症が残れば、カイジへの復讐を成し遂げることができなくなる。

その焦りが一条に冷静さを失わせ、狂人とも言うべき行動へ走らせていた。
ベッドを力のままにひっくり返し、クローゼットを漁る。

その時だった。
――風・・・。
頬に冷気を感じ、一条はふっと顔を上げた。
その先には上等な絹帯のような月光が洩れる窓と、
一条を手招きするかのように揺れる分厚いカーテンがあった。
一条は無言でその窓に触れる。
闇を染み込ませたような風が一条の体をすり抜けた。

一条は目を瞑った。
――私としたことが・・・。
風は一条から体温と同時に怒りの業火も体から奪っていた。
一条は小さく呼吸をすると、瞑目した眼をおもむろに開く。
すでに獣の姿は影を潜めていた。

一条は窓の両脇に目をとめる。
そこにはあるべきものがなかった。
――避難はしご・・・。

消防法施行令第25条において、
収容人数が30人以上の施設――旅館・ホテル・共同住宅寄宿舎などでは、
その階ごとに定められた避難器具を設置することが規定されている。
滑り棒、避難ロープ、避難用タラップなど、避難器具は多種多様であるが、
その一つが避難はしごである。
避難はしごは窓の両脇どちらかに設置される。
しかし、このホテルではそれがまったく存在していなかった。

そのほかにも、このホテルには一条の目から見て不自然な点があった。

このホテルでは、ほかの階へ移動するための手段は中央に存在する階段一ヶ所のみであること。
建築基準法施行令121条では、ある一定以上の広さを持つホテルは
避難階に通じる2つ以上の直通階段を設けなければならないと規定されているため、これでは法令違反である。
また、各部屋の窓は拳一つ分程度しか開かない構造であるにもかかわらず、
緊急時、窓を全開にする避難装置の取り付けがないこと。
ホテルなどでは縁起が悪いとして避ける部屋番号の下一桁4と9がそのまま使用されていること。
ホテルの客室の鍵が廊下側からしか閉めることができないことなど・・・
つまり、このホテルは欠陥構造なのである。

しかし、欠陥と決め付けるのはまだ早い。
杜撰な建築と思わせておきながら、各部屋の窓は
通常のガラスの3~5倍の強度をほこる強化ガラスという
用心深いほど頑丈な造りになっているのだ。

――まるで・・・ホテルに見せかけた監獄だな・・・。
一条は鼻で笑う。


その時だった。
キィ・・・。
奥で僅かに木が軋むような音。

「誰だっ!」
その声と同時に、大きな靴音がばたばたと転がるかのように階段を駆け下りる。
「しづかっ!」
一条は板倉のディバックを拾い、足音を追いかける。
一条の口元には不敵な冷笑が浮かんでいた。





少し話は前に戻る。
しづかは発砲音を聞きつけ、廊下へ出た後、3階へ続く階段の踊り場に身を潜めていた。

しづかは先程の発砲音をこのように解釈していた。
――ホテルに侵入した誰かに対して、一条と板倉がそれに応戦したっ・・・!

二人が銃を使用する程の相手である。
このゲームに乗っている人物である可能性が高かった。
そんな相手に対して、自分に何ができるのか。
しづかが所持している武器は板倉から預けられたハブの毒だけである。
それを持って、二人の前に現れた所で、足手まといになることは目に見えている。
かと言って、二人を見捨てて逃げる訳にもいかなかった。
また、このホテルの階段は学校の階段のように螺旋状に組まれており、
下から覗けば、上ってくる人物を断片的ながら確認することができる。
それがしづかをホテルへ留まらせ、3階の踊り場で様子を伺うという選択をさせた。


靴音が階段に響き渡る。

――誰か来たっ!

しづかは首だけ伸ばすようにして、階段を上ってくる人物を目で追った。
その人物は片手にトカレフを持つ一条であった。
「一じょ・・・」
しづかは一条を呼び止めようとするも、言葉がのどに詰まって出てこなかった。
一条の表情は顔の皮膚を後ろへ力いっぱい引っ張ったかのように歪み、
状況を把握していないしづかでも異常であると思わせるものであったからだ。

一条は迷うことなく、しづかがそれまでいた部屋――21号室へ向かっていった。

「い・・・一条・・・」
しづかの心の奥で一条への不信が広がっていく。
しかし、しづかは自分に言い聞かせる。
――そうだ・・・一条は・・・私に危険を知らせるために・・・。
一条に自分は無事であることを知らせよう。
しづかはそう決心し、階段を下ろうとした次の瞬間だった。

「しづかぁー!!!!」
一条の咆哮と共に、何かがけたたましく音を立てて倒れた。

「ひぃっ・・・」
しづかは再び、その場に立ち尽くす。
今まで、自分のことを“しづかさん”と呼んでいた男の口から発せられた、殺意が込められた呼び捨て。
しづかは悟った。
――一条は・・・私を殺そうとしているっ・・・!

秀峰の首から噴水のように血が噴き出す記憶、勝広の下半身が吹き飛んだ記憶が蘇る。
血が逆流する恐怖がやけどのように痛く肌に張り付いてくる。
しづかは首を横に振った。

――怯えるなっ!逃げるんだっ!

普通、ホテルと言えば、床や階段にはカーペットが敷かれている場合が多いが、
このホテルはショッピングセンターや病院で使われているプラスチック系床材が採用されていた。
そのため、歩くとワックスと靴がすれる音がどうしても響いてしまう。
しかし、幸いなことに今、21号室では一条が部屋の中を漁る物音がこだましている。

――この音にまぎれれば・・・。
しづかは階段を一歩一歩下っていく。
2階に到達し、1階へ続く階段を半ば下りた頃だった。
21号室から音がやんだ。
しづかもそれに合わせて動きを止める。

――今まで以上に、慎重に歩けば・・・。
しづかは薄氷の上を歩くかのように、つま先を階段に触れさせると、
体の重心を前へ移動させた。
木製の手摺りを掴む手に力が篭った。

キィ・・・。

「えっ!」
しづかは思わず、手摺りから手を離した。
床ばかりに気を取られていたため、手摺りが軋むという可能性を忘れていたのだ。
――まずいっ!

「誰だっ!」
一条が叫ぶ声。
しづかは転がるように階段を駆け下りた。



しづかは一直線に正面出入り口へ駆ける。
――あそこから脱出すれば・・・!
しかし、しづかの考察と足は扉の手前で止まった。
「なんだよ・・・これっ・・・」

扉の取っ手には鉄製のチェーンが巻かれ、ご丁寧にも南京錠がかけられている。
このホテルで出入りができる場所はこの正面出入り口の一ヶ所しかない。
つまり、しづかはこのホテルに閉じ込められている状況なのだ。

「くっ!」
しづかは周囲を見渡した。
正面出入り口の隣にはフロントカウンターがある。
もし、一条がしづかを探すとすれば、逃げ出すと考え、
この正面出入り口周辺を念入りに確認するはずである。
フロントカウンターに隠れれば簡単に見つかってしまうだろう。

――じゃあ、どこに隠れれば・・・!

その時、しづかは光が洩れている、廊下の奥の部屋に目をとめた。

――まさか・・・板倉がいるのか・・・?

今のしづかは誰かに縋りたかった。
誰かに守ってもらいたかった。
しづかはその一心で駆け出すと部屋の扉を開けた。
「板く・・・」
開けた際に生じた風で埃が宙を舞う。
その埃と共に、彼女の目の前に現れたのは肩から血を流し、横たわる板倉の遺体だった。
板倉は生気を失った瞳をしづかに向けている。
しづかの体は吹雪が当てられたかのように凍りついた。

「うそ・・・だろ・・・」
決定的であった。

――板倉は一条に殺されたっ・・・!

死への恐怖か、親しき者を失った悲しみか、
大粒の涙が止め処なく雨のようにポロポロ落ちる。
地底へ吸い込まれるような絶望感。
「うぐっ・・・うぐっ・・・」
無意識に嗚咽が口から洩れる。
――殺される・・・一条に・・・。

カツッ カツッ カツッ・・・!

「一条っ!」
しづかはその音で顔を上げ、絶望を振り払うように、歯を食いしばる。
――私は・・・死にたくないっ!

「く・・・くそぉ・・・」
しづかは袖で涙を拭うと、部屋を眺めた。
従業員用控え室らしく、左右の壁にはロッカー、
その前には安物の3人掛けのソファーがそれぞれ並べられている。
ソファーに挟まれるように中央にはテーブル、
部屋の奥には従業員用の洗面台が配置されていた。
板倉の遺体は右側のソファーに隠れるように横たわり、
その付近には改造エアガンとばら撒かれたマッチ棒があった。

――とにかくどこかに隠れないと・・・!
死を連想させるものから少しでも離れたいという本能だろう。
進路を妨害するソファーを押しのけながら、
板倉の遺体とは反対側の一番奥のロッカーを目指す。
ソファーは安物らしく、下にキャスターが付いているかのように軽い力で移動したため、
目的地へは難なく着いた。

――ここに隠れれば・・・!
しづかはロッカーを開け、片足を中へ入る。

ぎぃぃぃ・・・!

薄い鉄がしづかの体重で呻き、歪む。
「あ・・・」
しづかは足を止め、後ろを振り返った。





その数分後、一条は従業員控え室へ足を踏み入れた。
そこにしづかの姿はない。
一条は周囲を物色する。
そこには板倉の死体、改造エアガン、マッチ、一条のディバック。そして――

――ソファーの位置がずれているっ・・・!

一条の記憶が正しければ、ソファーは背後のロッカーと並行になるように並んでいたが、
今は若干曲がり、ロッカーとのスペースがより広がっていた。
なにより――
――足跡・・・。
従業員控え室の床にはうっすらと埃が溜まっていた。
そのため、新雪を踏み荒らしたかのように、足跡が残ってしまっていた。
勿論、板倉と一条の乱戦によって、無数の足跡が存在しており、
どれがしづかのものなのかは特定できない。
しかし、一ヶ所、板倉も一条も足を踏み入れていない場所へ続く足跡があった。

――そこか・・・。
一条は奥のロッカーへ向かっていった。

しづかは隙間から一条を伺っていた。
一条の足が少しずつ近づいてくる。
しづかは手の中に納まる小型のジュラルミンケースを握り締めた。

――来るなっ・・・!来るなっ・・・!

しかし、その願いを踏み潰すように、一条はしづかに接近していく。
一条は一番奥のロッカーに手をかけた。
「そこかっ!しづかぁっ!」
鉄の扉が鈍い音を立てて開く。
「・・・えっ・・・」
そこにあったのは綿ホコリのみ――しづかはいなかった。
一条は舌打ちをする。

――もっと早くに来ていれば・・・。

一条はしづかの靴音が下へ降りたことから、
しづかが1階の正面出入り口から逃げ出そうとしていると判断、
その周辺を探していたが、それが時間のロスだった。
念のため、ロッカー全てを開けるが、しづかが見つかることはなかった。

――すでに違う部屋に移動した後なのか・・・。

一条は板倉の体に武器がないかを直接触れて確認し、
ディバック、改造エアガン、マッチ、板倉の腕に隠された注射器を回収すると、
部屋の扉を開け、外へ出て行った。
革靴の音が小さくなっていく。



――行ったか・・・。
それを合図にするように、ソファーが動いた。
中から出てきたのは、しづかだった。


話はしづかがロッカーに隠れようとした時に戻る。

しづかがロッカーに身を潜めようとした直後、ロッカーは音を立てて軋んだ。
しづかに迷いが生まれた。
――もし、この音で一条に見つかったら・・・。
先程の手摺りの失態が蘇る。
――けど・・・ほかに隠れる場所なんて・・・。

ここまで考えた時、ある違和感を思い出した。
「あ・・・」
しづかは足を止め、後ろを振り返った。
そこにあったのはソファーだった。

ソファーはロッカーと同じくらいの大きさでありながら、
しづかが押しのけたくらいで大きく動いてしまうほど、軽いものであった。
しづかは恐る恐るそれを持ち上げた。
安物だけあって、少女一人の力で簡単に持ち上がる。そして――

――空洞っ・・・!

一条が出入り口周辺を念入りに探していたことも幸いだった。
しづかはその間に、ソファーの空洞部に身を潜めた。
しづかが一条の様子を伺っていたのも、ソファーと床の間の隙間からであった。


これは追い詰められたしづかの苦しまぎれ・・・窮余の策だが、意外にもこれが効を奏した・・・!
一条はこの「隠れ家」に気がつかない・・・!
彼にとって、ソファーはソファーであり・・・そういう道具、家具以外の何ものでもない・・・!
つまり、「大がかりなソファーの内部はどういう構造か・・・?」なんて事は考えもしないのだ・・・!
まさに意識の裏側・・・!
見えているが見えてこないっ・・・!
これだけ大がかりな「隠れ家」が・・・!


閑話休題。

靴音から察して、一条は遠くへ移動したようである。
しかし、安心はできない。
外へ脱出する手段が無いからである。

――なら・・・何かの武器で一条を殺すしかない・・・。
しづかは板倉の遺体の周辺を探った。
しかし、一条がすでに改造エアガン、オブトサソリの毒薬を回収した後であり、
しづかの助けになりそうな物は存在していなかった。
しづかは板倉から託された小型ジェラルミンケースを抱きしめる。
その中身はハブの毒――本当はオブトサソリの血清なのだが、
どちらにしろ、注射器で銃を持った男を脅すことなど不可能である。
――こんなの・・・武器なんかに・・・。
しづかの瞳から再び、涙が溢れる。
その時、しづかは板倉の手に握られているある物に気づいた。

「何だ・・・」
しづかは板倉の手の中のそれを手にとって見る。
「これは・・・」
鍵だった。
しかし、鍵と言っても、おもちゃを連想されるような簡易的な形状あり、
扉や車の鍵としては不適格なものであった。
「こんな鍵が必要な所なんて・・・」

しづかはハッと目を見開く。
ソファーに隠れる、ロッカーを開ける、板倉の遺体を発見する・・・。
ビデオテープの巻き戻しのように、これまでの記憶が蘇っていく。
そして、記憶がたどり着いた先は正面出入り口、
ドアの取っ手に巻かれた鎖を繋ぎとめる・・・

「・・・南京錠っ!」
しづかは鍵を思わず抱きしめる。

――板倉は私に希望を残してくれていたっ・・・!

しづかは扉を開け、周囲を確認すると一目散に正面出入り口へ向かった。
その場へ到着すると、鍵を南京錠の鍵穴に差し込み、ゆっくり回す。

しづかは目をぎゅっと瞑り、心の中で願う。
――頼む・・・この鍵であってくれっ・・・!

カチャリッ!

祈りは通じた。
南京錠はその口を開けた。
「や、やった!」
しづかの顔から曇りが消え、光が差し込んだかのような笑みが浮かぶ。
南京錠を床に投げ捨てると、取っ手に巻きつく鎖を外し始める。

――助かるっ・・・!私は助かるんだっ・・・!

「そこまでですっ!」

声と同時に正面出入り口隣のフロントカウンターから黒い影が現れた。
「えっ・・・」
振り返ろうとした直後、黒い影はしづか目掛けて、突き刺すような蹴りを繰り出した。
しづかは壁に叩きつけられた。
「ぐっ!」
しづかのわき腹を刺激する、鞭でも打たれたかのような鋭い痛み。
痛みを認識した時、しづかは腹を抑えて、床に横たわっていた。
黒い影がしづかの視界を覆う。
しづかはその正体を見て、言葉を失った。

「い・・・一条・・・」

一条はトカレフの標準をしづかに合わせ近づくと、
小型ジュラルミンケースを拾い、中を開ける。
そこには二つの細長いくぼみがあり、その片方だけに注射器が埋め込まれていた。
一条は確信を持つ。
「これが血清ですね・・・」
「血清・・・?ハブの毒のはずじゃ・・・」
「板倉からそのように聞かされていましたか・・・」
“まぁ、あなたには関係ないことですがね”と言わんばかりに、
しづかの戸惑いを鼻で笑い、その注射器を自分の腕に打つ。

「い・・・一条・・・?」
一条の理解できない行動に、体の震えを抑えながら、しづかはその様子を見つめていた。

やがて、一条は血清を打ち終える。
「勝った・・・!オレは板倉に勝った・・・!」
その口元から毒がこもった笑みが浮かぶ。
「これであなたには用がありませんっ・・・!」
一条はジュラルミンケースごと注射器を投げ捨て、
毒が入っているもう一つの注射器を取り出すと、それを床へ叩きつけた。
注射器にヒビが入り、中の毒液が漏れ出す。
再び、トカレフをしづかへ向けた。

「あなたが単純な方でよかった・・・!」
「単純だと・・・!」
明らかに自分を侮蔑する発言。
トカレフで狙われているとは言え、反抗するようにしづかは顔を歪ませる。
一条は背中に隠していた改造エアガンを取り出す。
「なぜ・・・あなたはこれを持っていかなかったのですか・・・?」
「持っていかなかったって・・・」

一条は呆れたようなため息をつく。
「では、もっと分かりやすく言いましょう」
一条はあごで奥の部屋を指し示す。
そこは板倉がいる従業員控え室であった。
「ホコリの足跡から、あなたが、私がたどり着く前に、あの部屋にいたと分かりました・・・
あなたは私から逃げようとしていた・・・
なら、あの部屋へ訪れた時、こんな思考になるのではないでしょうか・・・
“一条に対抗するために、武器をもたなくてはならない”とね・・・
しかし、あなたはそれを持っていかなかった・・・
ここで考えられる状況は2点。
よっぽど慌てていて回収するという考えを失念し、部屋から出て行ってしまったのか・・・
もしくは、実はまだ、あの部屋にいて、回収するより隠れることを優先した・・・のか・・・」

しづかにひんやりとした汗が流れる。
一条の後者の例えはまさにしづかの状況そのものであった。
一条はしづかの行動をきわどい所まで読んでいたのだ。

「結果的に、あなたを見つけることはできなかった・・・
ただ、あなたはこのホテルのどこかにはいる・・・
あなたは板倉の元に必ず戻ってくるはずだ・・・
改造エアガンの存在を思い出して・・・
だから、私は罠を張った・・・板倉の死体に鍵を持たせるという罠をっ・・・!
あなたの行動を、正面出入り口からの脱出一択にさせるためにっ・・・!」

しづかは床に転がる南京錠を見つめた。
――あれが・・・罠だと・・・。

「たとえ、ネズミでも追いつめると思わぬ力を発揮する・・・
そうさせないためには逃げ道を与えること・・・
ネズミは逃げ道がある限り、闘わない・・・
逃げることだけを考える・・・
後は正面出入り口の近くに隠れ、あなたを待ち伏せればいい・・・」

「そ・・・そんな・・・」
あの地底へ吸い込まれるような絶望感が、再び、しづかの心を侵食する。
しづかは怒りを込めた瞳で一条を睨みつけた。
「なんで、板倉を殺したんだっ・・・!
あいつと組めば、助かったかもしれないんだっ!」
「助かる・・・?」
一条はしづかを冷ややかな目つきでみる。
「どうやって、助かるのですか・・・?」
「一億円を集めて棄権する方法があるだろっ!それにもしかしたら、違う方法も・・・」
「棄権ですか・・・」
一条はふうと呆れたようなため息をつく。
「では、どこでその棄権の申請を行うつもりですか?」
「それは・・・」
しづかはホテルでの黒崎の説明を思い返えそうとする。
しかし、威圧的な雰囲気、頭がなくなった少年は思い出せても、
肝心の部分は霧がかかったかのようにかすみ、思い出すことができない。
しづかは自信なさげに、小声で答える。
「ギャンブル・・・ルームで・・・」
「ギャンブルルームですか・・・」
一条から”ククク・・・キキキ・・・“と狂ったような笑いが漏れ出す。
その声は次第に風船のように膨らんでいく。
一条が顔を上げたその瞬間、笑いが破裂した。
「てめぇは黒崎様の説明をろくに聞いていなかったようだなっ!
申請場所はそこじゃねぇんだよっ!アホタレっ!」

「う・・・」
しづかは身を守るように震える体を押さえる。
かつて修羅場を潜ってきたことがあるとは言え、今は無力な少女。
狂人の罵声に、ただ耐えるしかなかった。

「教えてやる・・・」
一条は改造エアガンを背中にしまい、乱れる髪の毛をかきあげる。
「申請場所はD-4のホテル地下・・・」
「D-4は・・・」
しづかはハッと勘付く。
そこは第一回定時放送で、禁止エリアに指定された場所だった。
「しかも、あくまで権利の購入であって、脱出できるわけではない・・・
つまり、主催者は参加者全員・・・優勝者以外はここで死ねと言っているんだっ・・・!」
和也もそうだが、一条もまた、帝愛で揉まれてきた人間である。
棄権申請のD-4エリアが禁止エリアに指定されるという罠を見抜いていた。
また、仮に棄権申請をしても得られるものは、その権利だけという盲点にも勘付いていた。
板倉も、この点に関しては勘付いていたが、
D-4エリアのホテルが棄権申告場になっていることについては気づかなかった。
いくら思考が限りなく近いとは言え、それまで置かれていた環境がその差を生んでいた。

「嫌だ・・・そんなの・・・」
しづかから再び、大粒の涙がこぼれる。
一条はしづかを無視し、話を続ける

「助かることなど不可能・・・
だからこそ、私の未来を潰した男をこの手で殺す・・・
それが私の今の存在意義・・・!
もちろん、その妨害となる者も・・・」
一条は奥の従業員用控え室へ目を向ける。
「板倉・・・あの男は私を骨の髄まで利用しようとした・・・
だからこそ、死んだ・・・死んで当然の男・・・」

「板倉・・・」
板倉の横たわる姿が脳裏に浮かび上がる。
その少し前まで、自分を気遣ってくれた男が、赤の他人の都合で奪われてしまったという現実。

――許せねぇっ・・・!
激憤がしづかの心の芯に燃え盛った。
「もっともらしく言っているが、一時的な不満の穴埋めっ・・・!
そんなことをしたって、てめーの未来とやらはどうせ帰ってこねぇんだろっ!
てめーのくだらない復讐に、他人を巻き揉むんじゃねぇっ!
人として恥ずかしくないのかよっ!人殺しがっ!」
「口を慎めっ!」

一条はトカレフを振り上げ、グリップをしづか目掛けて叩きつけた。
ゴッという鈍い音と同時に、しづかは再び、床に倒れる。
「自分の置かれている状況に気づいていないみたいだな・・・しづか・・・」
一条はしづかの腹を踏み、身動きを封じる。
トカレフの銃口を顔面ぎりぎりまで近づける。
「なぁ・・・助かりたいだろ・・・?」
しづかは青白い顔で首を縦に動かす。
一条の表情が若干、和らぐ。
「分かりました・・・しづか・・・
では、あなたの誠意が見えましたら・・・その命、見逃しましょう・・・」
一条はしづかの腹から足を離し、一歩下がる。
その表情には憎悪と喜悦が混濁した笑みが浮かんでいた。

「謝ってください・・・土下座して、“ごめんなさい”と・・・!」
「な・・・何っ!」
――この男・・・!ふざけた事を・・・!
その謝罪は偶然にも、かつて、しづかが黒沢に対して求めたものであった。
「おや、できないのですか・・・しづか・・・」
一条は銃口をしづかの眉間に押し当てる。
「ぐっ・・・!」
しづかは体を上げると、一条から目をそむけ、吐き捨てるように呟く。
「ごめんなさいっ・・・」
「それで謝ったつもりですか・・・」
一条はしづかの髪を鷲掴みにし、口に銃口をねじ込んだ。
「もう一度、尋ねます・・・それで謝ったつもりですか・・・」
冷たい銃身がしづかの舌を蹂躙する。
しづかは痙攣をしているかのように首を横に振る。
その表情は今にも悲鳴を上げてしまいそうなほどに、恐怖で歪んでいた。

「では、謝ってください・・・」
一条はしづかの口から銃を抜いた。
しづかが一条に謝罪する理由は皆無である。
しづかもそれを自覚しているのだが、一条の底知れぬ邪悪さと生き延びたい一心の方が、
自尊心を遥かに上回った。
しづかは膝をつき、両手と額を床に押し当てる。
息を大きく吸い込み、そして――

「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!・・・」

何度、謝り続けたことだろう。
恐怖を吐き出すような謝罪は彼女の声が枯れ、咳き込むまで続けられた。
やがて、一条は満足したのか嘲笑する。
「素晴らしい・・・!約束通り、命は見逃して差し上げましょう・・・!」
「ほ・・・本当か・・・」
しづかは身がほぐれるような安堵を浮かべ、顔を上げる。
――助かった・・・。

しかし、それは思い違いだった。
一条はしづかの首根っこを掴み、持ち上げた。
「ただし・・・それだけでは信用はできないっ・・・!」
一条はしづかの後頭部に銃口を押し付け、引きずるように廊下を歩く。

二人は奥の従業員用控え室へ入った。
一条は部屋の奥の洗面台の前まで連れて行くと、しづかの背中を押す。
しづかはその場で倒れこんだ。
一条はしづかと同じ目線になるようにしゃがむと、思いも寄らない言葉を発した。
「服を脱いでください・・・しづか・・・下着、靴も全て・・・」
「そんな・・・」
しづかは唇をわなわなと振るわせる。
男が女を脱がした後の目的は一つである。
――犯されるっ・・・!

「おや・・・あなたは何か勘違いをなさっているようですね・・・」
一条はしづかの心情を汲み取ったのか、否定をするように嘲笑う。
「髪は染めすぎて傷み、歯は黄ばみ、口からはタバコの臭い・・・
それに見たところ、もはや処女でもない・・・
私がわざわざ手を出すほど、自分に価値があると思っていたのですか?
うぬぼれるなっ!」
一条はトカレフをしづかへ向ける。

「板倉は自身の袖口に毒を隠していた・・・
お前にも同じ事をされては困る・・・
自分でその潔白を証明して見せろっ・・・!」
しづかは拳を握り締めるも、すぐに力を抜いて・・・いや、抜けてしまっていた。
一条との力関係は明白であり、それを理解するまでの過程は
彼女の心をずたずたに切り裂くには十分すぎるものだった。
今、しづかの心にあるのは悄然とした諦めであった。

しづかは虚ろな表情で服を脱ぎ始めた。
身に付けていた制服や下着が床へ落ちていく。
やがて、葉を取られた桃のような裸体が現れた。
せめてもの抵抗だろうか。
しづかは自身の陰部を隠すように、身を屈ませる。

一条は黙ってその衣類を拾い上げ、洗面台の中へ入れた。
ディバックからマッチを取り出し、火をつける。
火はちろちろと揺らめく。
「まさか・・・」
しづかは一条の次の行動を理解した。
「やめてくれっ!」
しかし、一条はしづかの抵抗を聞き流し、マッチを洗面台の中へ捨てた。
小さな火が意思でも持ったかのように、
大きな炎へ姿を変え、しづかの衣類を飲み込んでいく。

「あ・・・あ・・・」
しづかの口から嗚咽が洩れる。
一条は近くのソファーに腰をかけ、
キャンプファイヤーをしているかのようにその炎を眺めていた。
科学的な確証はないが、
火の揺らめきは人の心を穏やかにされる効果があると言われている。
その効果なのだろうか。
一条の脳裏に、ゲームに誘われた経緯の記憶が映画のワンシーンのように蘇る。





一条はカイジとの勝負の後、地下王国へ落とされた。
そこでカイジと同様、熱気と騒音、不衛生な環境下で重労働を強いられた。
勿論、そこには『沼』によって多額の借金を背負ってしまった労働者もおり、
一条は彼らから苛めも受けた。
それでも一条が耐えられたのは、損害を返せば、地下から脱出できるかもしれない、
再び、帝愛の幹部として生きることができるかもしれないという希望だった。

そんな中、一条の元に、黒崎自ら訪れた。
その黒崎の口から出たのが、バトルロワイアルへの誘いであった。
もし、優勝すれば、10億円を得ることができる。
その優勝賞金を『沼』の損害7億円に充てれば、
帝愛への忠誠心が評価され、再び、戻れる可能性が出てくるのだ。
一条は、そのギャンブルを二つ返事で受けた。

黒崎に確認する。
「優勝賞金を損害7億円に充てることは可能でしょうか・・・」
黒崎はそれに対して、穏やかな笑みを浮かべて答えた。
「君の好きにしていい・・・」
この返答に、一条は違和感を覚えた。
――なぜ、はっきり“イエス”と言わないのか・・・。
「あの・・・私は帝愛に・・・」
黒崎はその言葉を遮るように立ち上がる。
「頑張りたまえ・・・」
黒崎はその場を後にした。

その後、黒崎と再会したのは、バトルロワイアルの会場、D-4のホテル。
そこで初めてゲームの内容を聞かれた。
初めは何の冗談かと思ったが、一人の少年の見せしめから帝愛が本気であることを理解した。
一条はルールの説明を聞いていくうちに、あることに気づいた。
――確かに、優勝者には優勝賞金10億円を贈呈するとは言っているが・・・
  優勝者のここからの脱出についてはまったく触れていないっ・・・!

そして、とどめの一言。
『棄権を望まれる方は当ホテル地下で、一億円にて権利をご購入いただけます・・・。』

――権利だと・・・。
一条は絶句した。
一度、このゲームに足を突っ込んだ人間は優勝者であっても逃がさない。
暗にだが、はっきりとその意図を帝愛は示した。
だから、黒崎は戻って来いと言わなかったのだ。

それまでどんな仕打ちにも耐えられたのは、損害を取り戻せば、
黒崎の仲介によって、再び、帝愛に戻れるという希望があったからだ。
一条はその能力を評価され、黒崎から若きエースとして寵愛を受けていた。
一条もそれを理解し、黒崎は自分をまだ、必要としているはずと信じていた。
しかし、地下王国で会った時の黒崎の態度、
そして、ホテルでの宣告は、一条の思惑を根底から覆した。
黒崎は不要の人間、もはやゲームの駒としての価値しかないと、一条に引導を渡したのだ。
一条が帝愛へ戻る道は完全に断たれた。
一条の中で、自分を支えていた希望が音を立てて倒れていく。

――オレは今まで、帝愛に・・・あなたに・・・どれだけ尽くしてきたと思っているんだっ・・・!
腸が煮えくり返るような憤りが一条の体を駆け巡る。

――今、帝愛がオレに望んでいるのは、このゲームを盛り上げて死ねということか。
この時から、一条のゲームの目的は自分を今の身分に追いやった者への復讐へと変貌していった。





やがて、しづかの衣服は粗方燃え尽き、炎もマッチの火のように、小さくなっていった。
一条は水道の蛇口から水を出す。
火はじゅっと音を発して消え、煙が上がる。

「これはもらっていきますよ・・・」
一条はしづかのディバックを背負い歩き出す。
心身ともにぼろぼろになったしづかはそれに抵抗することなく、
部屋の隅で身を屈め、顔を膝に埋めている。

丁度、一条の足が扉の前に差し掛かった時だった。
一条はその歩みを止めた。


「しづか・・・悔しければ、這い上がって来いっ・・・!
這い上がって・・・倒してみろっ・・・!この私を・・・!」
一条はそれだけ言い残すと、しづかを閉じ込めるかのように電灯を消し、扉を閉めた。
光がなくなった。

「ちくしょう・・・!」
しづかは膝に顔を伏せたまま、肩を震わせ、涙を流す。
和也から逃れていた時から悟ってはいた。
社会から必要とされていない犯罪者の巣窟に放り込まれていることを・・・。
そして、自分自身にもその烙印が押されていることを・・・。
存在価値がないという事実はしづかの心を絞め続けていた。
そんな中、板倉と一条に出会った。
彼らはしづかを一人の人間、一人の女性として丁重に扱ってくれた。
ようやく安らげる居場所を見つけたような気がしていた。
しかし、その認識は幻想でしかなかった。
「ここにいる連中は・・・皆・・・死んでもいい屑・・・犯罪者・・・!
誰も信用するものかっ・・・!」
しづかは歯軋りする。
「一条・・・てめぇは絶対殺すっ・・・!
どんな手段を使ってもっ・・・!」
少女の決意を聞いていたのは、闇と板倉の死体のみであった。



――私らしくなかったな・・・。
一条は歩きながら、ふっと息を漏らす。

一条の心には谷底の風が吹きぬけるような漆黒の穴が開いていた。
この穴は、一言で言うと、“絶望”。
期待や希望――生きるための活力を飲み込んでしまう底なしの穴であり、
その穴が何かを吸い、心を抉るように広がるたびに、一条に苦痛をもたらしていた。

この穴はカイジとの『沼』の勝負に負け、地下王国へ落とされた時から生まれていた。
地下王国にいる間は、損害を取り戻せば、再び、帝愛に戻ることができる、
地の底から“這い上がる”可能性がその穴をなんとか塞いでくれていた。
しかし、ゲームの意図が分かった時、
可能性という名のふたは脆くも崩壊し、穴の中へ消えていった。
そして、今の一条はカイジへ復讐をすれば、
その穴の苦痛から開放されるのではないかという予感を糧に生きている。

――オレは這い上がりたいっ・・・!だが・・・その術はすでに・・・。
一条は自嘲を浮かべる。
しづかが言った通り、復讐は“一時的な不満の穴埋め”でしかなく、
それで完全な苦痛から開放されないことを、心の奥では察している。
本当に手に入れたいのは、かつて追い続けた“栄光へのレール”。
しかし、その道が閉ざされた今、一条の生きる目的は・・・

――やはり・・・カイジを殺すしかない・・・。


一条は正面出入り口前にたどり着いた。
立ち止まり、南京錠を拾う。
鎖こそはフロントカウンター付近で落ちていた現地調達品だが、南京錠は一条の支給品であった。
この南京錠を正面出入り口にかけておこうと提案したのは板倉であった。
板倉が佐原を探している時、しづかに聞かれないように一条に耳打ちしたのだ。
勿論、南京錠を取り付けること自体は、侵入者対策のためである。
しかし、なぜ、しづかに聞かれないように、話が切り出されたのか。

――しづかが安心して、ホテル内を散策することを避けるため・・・だろうな・・・。

板倉のこれまでの行動から、一条は板倉のシナリオをこのように推理する。

――オレにオブトサソリの毒を打ち、血清の存在を伝え、しづかの元へ向かわせる。
  そして、21号室にたどり着いた直後、
  血清を奪おうとするオレを殺害し、しづかの信用を得る・・・というところか・・・。

この時、しづかが21号室で閉じこもっていなければ、このシナリオは成立しない。
だからこそ、板倉はしづかに南京錠の存在を伝えなかったのだ。

――このタイミングで殺害計画・・・どこまでも似たような考えを持っている・・・。

一条は南京錠をディバックにしまった。
「さようなら、姫・・・そして、我が思考の双生児よ・・・」
一条はホテルを後にした。




【F-6/ホテル周辺/夜中】

【一条】
 [状態]:健康
 [道具]:黒星拳銃(中国製五四式トカレフ) 改造エアガン 毒付きタバコ(残り18本、毒はトリカブト) マッチ スタンガン 包帯 南京錠 通常支給品×6 不明支給品0~4(確認済み、武器ではない)
 [所持金]:6000万円
 [思考]:カイジ、遠藤、涯、平田(殺し合いに参加していると思っている)を殺し、復讐を果たす
     復讐の邪魔となる(と一条が判断した)者を殺す 
     復讐の為に利用できそうな人物は利用する
     佐原を見つけ出し、カイジの情報を得る


【F-6/ホテル内/夜中】

【しづか】
 [状態]:首元に切り傷(止血済み) 頭部、腹部に打撲 人間不信 神経衰弱 全裸
 [道具]:なし
 [所持金]:0円
 [思考]:ゲームの主催者に対して激怒 誰も信用しない 一条を殺す
※このゲームに集められたのは、犯罪者ばかりだと認識しています。それ故、誰も信用しないと決意しています。
※和也に対して恐怖心を抱いています




090:抵抗 投下順 092:主君の片翼
086:猛毒 時系列順 087:関係
086:猛毒 一条 103:同盟
086:猛毒 しづか 100:借り物の靴




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