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盲点 ◆uBMOCQkEHY氏



『……では、以上で放送を終了する。 引き続き、諸君の健闘を祈る』

「禁止エリアはここじゃないのか・・・」
しづかはその放送を聞いて呟く。
しづかの反応は内容を軽く受け流す程度のものだった。
それもそのはずである。
脱落者で知っている名前は板倉のみ。
それ以外の人間は聞いたこともない者ばかりだったからだ。
その板倉もこの放送で名前を呼ばれることは承知していたため、
改めて死んでしまったのかと締め付けられるような感情を抱くものの、それ以上の感情は生まれてはいなかった。
彼女があの惨劇から精神を切り替えることができたのも、
先程、ギャンブルルームで“黒崎”と名乗る男から食料とカラーボールをもらったことが大きい。

しづかはディバックの中に入っているカラーボールの位置を確認する。
カラーボールはディバックの両サイドについているサイドポケットの左側に納まっている。
カラーボール自体は武器にはならないが、それを相手にぶつけることで、その隙をついて武器を奪うことができる。
絹糸のような細すぎる希望だが、それでも先程の絶望の最中よりは救いがある。
何より、“黒崎”のように、ゲームに怯えながらも、手を貸してくれる人間がいる。
このゲームにいるのは全員が極悪人ではないのかもしれない。
人のぬくもりを感じたことも彼女の精神を支えていた。

しづかは見上げる。
「それにしても・・・大きい建物だな・・・」
二階建てという低い高さでありながら、いくら歩いても出入り口にたどり着かない程規模の大きな施設。

今、しづかの目の前にある建物は病院だった。
しづかはこの建物がどのような建物であるかは知らない。
しかし、これだけ大きな建物であれば、サイズが合う服や靴、もしくは武器が調達できるかもしれない。
そんな予感が彼女をここまで導いていた。

罪人を監視する獄吏の眼を思わせる満天の星の下、しづかは入り口を探すため、病院の壁に沿うように歩いていた。
勿論、誰かに見つからないように、周囲を見渡し、時に物陰に隠れながら移動していたこともあるが、
15分近く歩いても、入り口どころか窓すら見つからない状況であった。

「出入り口自体ないんじゃないのか・・・」
しづかがため息をついた時、その目にとまった物があった。
鉄製の扉である。
非常階段の出入り口を連想させるような造りであり、雨ざらしであったためか、
赤錆が冷たい月光に照らされ、染みのように浮かび上がっている。

「ここが・・・入り口なのか・・・」

しづかはドアノブ掴むと、扉をゆっくり開けた。
重々しい印象とは対照的に無音で開く。
しづかは扉から顔を出した。
扉から続く廊下は人工的な光を放つ非常灯が規則的に並んでいるものの、
その光の届く範囲を超えた途端、建物全体を押し潰してしまいそうな漆黒の闇が広がっていた。
しづかは一歩足を踏み入れた。
廊下に“カツーン”と革靴独特の甲高い音が響く。
しづかは歩きながら、周囲を確認する。
一番、近い部屋にはレントゲン室と書かれた札が掲げられている。
「病院か・・・ここは・・・」
しづかはそう呟くと、更に廊下の奥へと進んでいった。



『……では、以上で放送を終了する。 引き続き、諸君の健闘を祈る』

放送終了後、天とひろゆきの表情が曇った。
先に口を開いたのは天だった。
「赤松が・・・死んだ・・・」

天達は合流した後、1階の処置室でそれぞれの情報を交換し合っていた。
その中で分かったことの一つに、ひろゆきと天が共に、赤松という参加者の存在を知っていたことがあった。
天がぽつりぽつりと呟く。
「ひろ・・・お前の話では・・・
赤松は田中沙織を改心させて、脱出費用を渡した・・・けど・・・」
ここで天は口ごもった。

――棄権は不可能。

これはカイジという参加者が平山に筆談で伝えた、口に出しては不都合な情報である。
もし、これが本当であれば、おそらくギャンブルルームへ向かったところで追い返されるのが関の山である。

棄権が不可能であること、赤松が死んだという事実。

天の脳裏にあることが過ぎる。
「その田中沙織が・・・優勝を狙って赤松を殺した・・・」
ひろゆきは口に手を当て、うんと唸る。
「可能性としてはあります・・・けれど、第三者に襲われた可能性も・・・
今ある情報だけでは判断できません・・・」
“だからこそ、警戒する必要があります・・・”とひろゆきは言葉をまとめた。

天はやり場のない無念さを瞳に浮かべる。
「ひろ・・・お前の話では赤松は涯という少年と一緒だったんだよな・・・
アイツ・・・標っていう少年と行動を共にしていた・・・
けどな・・・標は第一回の放送の時に名前を呼ばれちまった・・・
アイツは標を救うことができなかった・・・
だからこそ・・・標の代わりに涯って少年を守ろうとした・・・」
天の瞳はさらに暗くなるも、対照的に口元が僅かに緩む。
「さっきの放送で涯の名前は呼ばれなかった・・・
おそらく、赤松は守りきったんだろ・・・その少年を・・・
真実は分からねぇが・・・オレはそう信じる・・・」
「天さん・・・」
負傷しながらも沙織を説得しようとする赤松の姿がひろゆきの脳裏に浮かんだ時だった。

カツーン・・・と、遠くで何かが落ちたような音がひろゆきの耳に飛び込んできた。

「皆さん、静かにしてください・・・!」
ひろゆきは口元に人差し指を当て、耳をそばだてるよう合図を送る。
「何を言っておる・・・ワシは何も聞こえなかったぞっ・・・!」
ひろゆきの忠告など無視をするかのように鷲巣が吠える。

――また、このジイさんはっ・・・!

ひろゆきは鷲巣に気づかれないように舌打ちをする。
ひろゆきと天が非常口前で合流した直後、鷲巣は平山を見るや、
“なぜ、お前が生きているんじゃっ!!”と雄叫びをあげた。

天とひろゆきが間に取り持つことで何とか収集がついたが、
それ以後も鷲巣は情報交換中、このゲームで出会った人間の恨み言を大声で騒ぎ立てたり、
平山に眼を付けたりと何かと話の腰を折ってきた。
おかげで、ひろゆきは鷲巣に好意的な感情をまったく抱いていなかった。

――歳をとると、精神が幼くなると聞いたことはあったが・・・。

ひろゆきは頭を抱えながら、耳を澄ます。

カツン・・・カツ・・・

――確かに聞こえる・・・革靴のような足音が・・・!
この施設内に誰がいるとひろの直感が訴える。
しかし、それ以後、音はやんでしまった。

「むぅ・・・ワシには聞こえん・・・
気のせいだったのではないのか・・・」
リーダーシップをとるひろゆきが気に食わないのか、鷲巣は悪態をつく。
ひろゆきのやることなすことに反抗する鷲巣の態度に、ひろゆきの怒りは沸点に達しようとしていた。

「確認しなければ・・・分からないでしょう!」
ひろゆきは鷲巣に半ば吐き捨てるかのようにそっぽを向くと、平山の腕を掴み、扉まで引っ張る。
「ちょ・・・ちょっと待てっ・・・」
ひろゆきを呆然と見つめる天に、二人を苦々しく睨みつける鷲巣。

――場の雰囲気がこれ以上悪くなる前に、オレが何とかしなければ・・・

と考えつつも、平山は三人の顔を見比べながら、特にどうすることもできず、狼狽し続ける。
平山の視線が天の顔へ向けられた直後だった。
天が含みを持った笑みを見せた。
「ひろ・・・これを持って行け・・・」
天はひろゆきに向かって懐中電灯を投げた。
懐中電灯は孤を描き、ひろゆきの手の中に収まる。
「このジイさんは怪我をしている・・・
オレが面倒をみるから、気にせず行ってこい・・・!」

“ワシは元気じゃっ!”という鷲巣の反論を無視しながら、天は言葉を続ける。

「それに・・・今、お前は持っているんだろ・・・神の視点・・・“神眼”を・・・」

「神の視点・・・“神眼”っ!」
ひろゆきはハッとあることに気づき、平山のポケットに目を側める。
平山のポケットの中には今、ひろゆきの持ち物である首輪探知機が入っていた。

――どうして・・・天さんは知っている・・・?
ひろゆき達は放送直前までどんな人物にあったのか、
どんなことが起こったのかという事実事項の情報交換こそ行っていたものの、
持ち物については、なぜか鷲巣が拒否し続けていたため、情報を共有しあってはいなかった。

「その・・・天さん・・・」
しかし、ひろゆきが言い終わる前に、天の口が動く。
「村岡から・・・と言えばいいのか・・・?」
ひろゆきは事情を知り、思わず苦笑を浮かべる。
首輪探知機の本来の持ち主は村岡であった。
天はここに来る前に村岡と会っている。
おそらくその時にひろゆきがいかに危険人物かを伝えるために、支給品の話題を出したのだろう。

「深追いしないようにします・・・天さんも気をつけて・・・」
「お前がいてくれてんだ・・・心配する必要なんかないさ・・・」

全てを口にしなくとも気持ちは通じ合っている。
東西戦の時も事前に綿密な打ち合わせをせずとも、
牌と動きと表情を見れば、どうしてほしいのか大よそ予想がついた。
その絆はこのゲームの中においても健在であった。

「行ってきます・・・天さん・・・」
ひろゆきは未だに戸惑いを見せる平山をつれて処置室を後にした。




「・・・ワシ・・・・・・・・・ぞっ・・・!」
しづかはビクつき顔を上げる。
奥の方から人の声が聞こえたような気がしたのだ。

「まさか・・・誰かいるんじゃ・・・」
しづかは思わず後ずさりする。
甲高い靴音がホール内にいるかのように反響して響く。
しづかはハッと下を向いた。
ホテルで階段の手摺りが軋んだことによって一条に見つかってしまった失態を思い出したのだ。

――音が鳴れば・・・また、見つかっちまう・・・!

しづかは急いで靴を脱ぐ。

――けど・・・私の勘違いってことも・・・。

しづかはそうであって欲しいと願いつつ、板倉の靴をディバックに詰めながら、
これからどうするべきか、その場で逡巡する。

――ここから出るべきか、それとも・・・。

カツ・・・カツ・・・カツ・・・
    カツ・・・カツ・・・カツ・・・

しづかの前方から複数の足音がかすかに聞こえてくる。
しかもその足音はまるで居場所を知っているかのように、小走りに近づいてくる。

――ヤバイ・・・!
しづかはあたりを見渡す。
しづかの周囲にあるものはトイレ、各種検査室、そして、少し戻ったところにある階段である。
しづかは苦々しく顔を歪ませる。

――どこに隠れりゃいいんだよっ・・・!



「・・・やっぱり、誰かいるのか・・・?」
「・・・そのようだ・・・」
首輪探知機には本来あるはずもない、5つめの光点が映し出されていた。
ひろゆきは自分の方が首輪探知機を使い慣れているという理由で平山から一旦、返してもらうと、
それを頼りに病院内を進んでいた。
「けど・・・そいつが武器を持っていたら・・・」
「まずは呼びかけて、相手の出方を伺うさ・・・それに・・・」
ひろゆきは右手に握る日本刀を軽く振る。
日本刀はそれに応えるように、チャキッと金属音を響かせる。
「これを見せれば、とりあえずは相手も様子を伺うだろうしね・・・」
「まぁ・・・オレもそう思うが・・・」

こんな物騒なものをよく平気で扱えるものだと、ひろゆきの肝の太さに感心すると共に、
とんでもない奴と組んじまったと、思わず肩を落とす。

「ここのようだ・・・」
ひろゆきは立ち止まる。
その場所は女子トイレであった。
中は電灯などなく、はめ込み式の小窓から差し込む月明かりが辛うじて、視界を手助けしてくれていた。
「平山・・・君はここで待っていてくれ・・・オレ一人で確認する・・・」
「待ってくれ・・・そんなこと、お前一人に押し付けるわけにはいかない・・・」
平山も責任を感じているのか、二人で様子を見ようと提案する。
しかし、ひろゆきは女子トイレ内が狭いこと、自分が武器を持っていることを挙げ、首輪探知機を平山に差し出した。
「オレに万が一のことがあっても、お前になら、これを任せられる・・・」
“これでも、お前のこと・・・信用しているんだぞ・・・”と、ひろゆきは平山に曇りない笑いを見せる。
「万が一の時はこれを持って、天さんの元へ行ってくれ・・・」
「ひろゆき・・・」
“そこまで言うなら・・・”と、ひろゆきの提案を受け入れ、首輪探知機を受け取った。
「言っておくが、万が一の時はすぐに逃げるんだぞ・・・」
「分かっている・・・」

ひろゆきは先程の晴れやかな顔とは打って変わって、顔を引き締め、
足場を確認するかのように慎重に一歩一歩女子トイレの中へ進んでいった。

「誰かいるのか・・・」
さっそくひろゆきは呼びかける。
しかし、返答はない。
「オレは殺し合いには乗っていない・・・」
それでも返答はない。

――警戒されて当然か・・・。

ひろゆきはトイレの個室ひとつひとつを確認する。
トイレは洋式であり、その扉は全て内側に開いている。
やはり、病院のトイレだけあってか、一つ一つの個室が広く設計されている。

――構造は男子トイレとほとんど一緒なんだが・・・

トイレは排泄という他人が触れるべきではない行為をする場所である。
しかも、ひろゆきがいるのは女子トイレである。
そこに誰もいないとは言え、若干の抵抗を感じていた。

ひろゆきは奥の扉だけが閉まっていることに気づいた。

――隠れるとすれば、ここぐらいか・・・

ひろゆきは扉についている取っ手に手をかける。
「もう一度言う・・・オレは殺し合いには乗っていない・・・
だが、武器は持っている・・・下手に抵抗せず、出てきて欲しい・・・」

ひろゆきが呼びかけても、扉の先は沈黙が続く。
もしかしたら、扉の先の人間はすでに殺し合いに乗っており、
刀よりも殺傷能力が高いもの――銃器を構えて待ち構えているのかもしれない、
扉を開けた直後に攻撃を仕掛けてくるかもしれないという予感が過ぎる。

――万が一の考慮をするべきだな・・・

ひろゆきは扉の先の人物に気づかれないように、刀を握りなおす。

「・・・・・・入るぞ・・・」

ひろゆきはその言葉と同時に、取っ手を勢いよく引っ張った。
扉は外側に大きく開く。
その直後、ひろゆきは扉から離れ、後方へ敏捷に飛び退いた。

「ひろゆき!!」
ひろゆきの突然の行動に、平山は駆け寄ろうとする。
しかし、ひろゆきは平山に向かって“近づくな!”と左手を出すと、扉を直視したまま、腰を屈め、刀を構える。

しかし、扉は開いたままであり、アクションは見られない。
響きのない沈黙が張り詰める。
やがて、ひろゆきは黙って構えを解くと、再び、奥の扉へ向かい、中を覗いた。
ひろゆきの表情から強張った緊張が抜ける。

「何があった・・・」
ひろゆきの様子から危険がないと判断した平山は改めてひろゆきの下に駆け寄り、奥の扉の中を覗き見た。
「あっ・・・」
扉の先にあったのは底が深い洗面台と、足の踏み場もないほどに詰め込まれたモップやバケツなどの清掃用品であった。
「もしかして・・・清掃用具入れか・・・」
「ああ・・・そのようだ・・・」
平山も拍子抜けしたと言わんばかりに肩から力を抜く。
ひろゆきは“首輪探知機の反応はまだ、あるのか・・・?”と平山の手の中に目を落とす。
謎の光点はひろゆき達の光点と接触している。

――人の姿はなく、光点だけが反応している・・・
   もし、この機械に誤作動がなければ・・・

ひろゆきは天井を見上げる。
「・・・2階だな・・・」

“平山、2階に行こうと思うがどうする・・・?”というひろゆきの問いに、
平山は無言で頷くと、二人は女子トイレを後にした。

首輪探知機は上から見下ろすように画面に表示される。
そのため、お互いにいる階が違っていたとしても、
上から見て同じ場所にいれば、あたかも接触しているように表示される。

これは首輪探知機の盲点の一つと言ってよい。
しかし、ひろゆき達はそれ以前の初歩的な点に気づかなかった。

ひろゆき達が出て行った後、用具室の隣のトイレの扉がゆっくり動き、閉まっていく。
閉まる直前、手がのびて、扉の端を押さえる。
扉から顔を出したのはしづかだった。

しづかが身を潜めていた場所は至って単純な場所――トイレの扉と壁の間である。
女子トイレは内側に扉が開くようになっている。
開くと、扉の端が壁に触れて止まる。
すると、壁と扉に挟まれるように、三角形のスペースが生まれる。
しづかはそのスペースに隠れていた。
つまり、階が違うのではなくて、本当に近くに隠れていたのだ。
本来は用具入れに隠れるつもりであったが、身を置くスペースが存在しないほどに道具で埋め尽くされていた。
そこで、隣のトイレの扉と壁の隙間に変更した。

もう少し注意深く見れば、ひろゆき達はしづかの存在に気づいていたのかもしれない。
しかし、扉が開いている=人がいないという認識、女子トイレに対する暗部の抵抗感、
首輪探知機の盲点に気づく頭の回転の早さが、しづかを見つける妨げになってしまった。


「行ったか・・・」
しづかは差し足で女子トイレの出入り口まで向かうと、顔だけを廊下に出し、様子を伺う。
トイレの前の廊下は一本道であり、ひろゆき達の靴音はしづかが侵入してきた非常口の方向から響いてくる。

「平山・・・あいつ・・・首輪探知機を持っているんだな・・・」
今後、身を守るためにも、できれば欲しい支給品のひとつであるが、しかし・・・

「ひろゆきって男は・・・日本刀を持っている・・・」
トイレの扉は蝶番が大きく設計されており、扉を開けると、扉と扉を支える壁の間に、蝶番分の隙間が生まれる。
その隙間からしづかはひろゆき達のやりとりを見ていたのだ。
「しかも・・・そうとう“できる”奴だ・・・」

しづかは誤解していた。
ひろゆきは日本刀に関しては素人である。
しかし、扉からの攻撃に備えて、後ろへ飛び退いたひろゆきの動きは事情を知らないしづかから見れば、
剣術の手練の動きそのものに思えてしまったのだ。
その後の用心深さ故の平山に対する対応も、その誤解に拍車を掛けていた。
しづかは両腕を抱え、身震いする。
「あいつ・・・もしかして、殺し合いに乗っているんじゃないのか・・・」
しづかは完全に疑心暗鬼に陥っていた。
しづかから見て、ひろゆきは一流の剣客のように思えた。
それだけの腕を持つ男であれば、しづかの隙を突いて切り捨てるなど、いとも容易い。

「口ではどうとでも言えるんだ・・・一条のように・・・」

しづかの顔は青ざめ、血の気の引いた唇が湧き上がってくる言葉を押し殺すかのように固く結び合わさる。

手練たちは今、階段へ向かうため、非常口方面を歩いている。
できれば、この施設から早く立ち去りたいが、もし、今、非常口側に向かえば、
首輪探知機で異常に気づいたひろゆき達と鉢合わせになる可能性がある。
おそらく、ひろゆき達は2階の“今、しづかがいる場所”へ向かうだろう。
ならば・・・

「反対側へ逃げるしかない・・・」
もし、反対側へ逃げれば、たとえひろゆき達が首輪の動きの異常に気づいたとしても、
とりあえずは2階を探索するだろう。
それが時間稼ぎとなる。

しづかは覚悟を決めると、用具入れからモップを一本拝借した。
モップは日本刀以上にリーチが長い。
殺傷能力はないが、薙鎌のように扱えば、一撃くらいはお見舞できるかもしれない。
薙鎌を扱ったことはないのだが・・・。

念のため、ハサミの位置を確認する。
今、ハサミは左胸のポケットに入っている。
そして、ディバックのサイドポケットに触れる。

――モップに、ハサミにカラーボール・・・
   最低限、身を守る道具は揃っている・・・
   これだけあれば、逃げられる・・・!

「行こう・・・!」
しづかは駆け出した。
非常口とは反対側――処置室の方面へ・・・。


【E-5/病院/深夜】

【天貴史】
 [状態]:健康
 [道具]:鎖鎌 不明支給品0~2 通常支給品
 [所持金]:500万円
 [思考]:助けが必要な者を助ける アカギ・赤松・治・石田に会いたい
 “宇海零”という人物が気になる 主催に対する怒り
※鷲巣から『特別ルール』を聞いています。確信はしていませんが、可能性は高いと思っています。

【鷲巣巌】
 [状態]:疲労、膝裏にゴム弾による打撲、右腕にヒビ、肋骨にヒビ、腹部に打撲
     →怪我はすべて手当済
 [道具]:防弾チョッキ 拳銃(銃口が曲がっている)
 [所持金]:0円
 [思考]:零、沢田、有賀を殺す
     平井銀二に注目
     アカギの指示で首輪を集める(やる気なし)
     和也とは組みたくない、むしろ、殺したい

※赤木しげるに、回数は有限で協力する。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※赤木しげるに100万分の借り。
※赤木しげると第二回放送の前に病院前で合流する約束をしました。
※鷲巣は、拳銃を発砲すれば暴発すると考えていますが、その結果は次の書き手さんにお任せします。
※主催者を把握しています。そのため、『特別ルール』を信じてしまっています。

【井川ひろゆき】
 [状態]:健康
 [道具]:日本刀 防犯ブザー 不明支給品0~2(確認済み) 懐中電灯
     村岡の誓約書 ニセアカギの名刺 アカギからのメモ 支給品一式×2
 [所持金]:1500万円
 [思考]:赤木しげるとギャンブルで闘う この島からの脱出 
      極力人は殺さない 
※村岡の誓約書を持つ限り、村岡には殺されることはありません。
※赤木しげるの残したメモ(第二回放送後 病院)を読みました。
※カイジからのメモで脱出の権利は嘘だと知りました。
※二枚ある地図のうち、一枚を平山に渡しました

【平山幸雄】
 [状態]:左肩に銃創 首輪越しにEカードの耳用針具を装着中
 [道具]:支給品一式 首輪探知機 カイジからのメモ
 [所持金]:1000万円
 [思考]:田中沙織を気にかける 利根川から逃れる術を探る
     カイジが気になる
※利根川に死なれたと思われていることを知りません。
※カイジからのメモで脱出の権利は嘘だと知りました。
※ひろゆきから地図をもらいました

【しづか】
 [状態]:首元に切り傷(止血済み) 頭部、腹部に打撲 人間不信 神経衰弱 ホテルの従業員服着用(男性用)
 [道具]:モップ ハサミ1本 ミネラルウォーター1本 カラーボール(と対人用地雷と盗聴器) 板倉の靴 通常支給品(食料のみ)
 [所持金]:0円
 [思考]:ゲームの主催者に対して激怒 誰も信用しない 一条を殺す 武器の入手 病院から脱出する
※このゲームに集められたのは、犯罪者ばかりだと認識しています。それ故、誰も信用しないと決意しています。
※和也に対して恐怖心を抱いています
※利根川を黒崎という名前と勘違いしております。
※利根川から渡されたカラーボールはディバックの脇の小ポケットに入っており、そのポケットの底には地雷が仕込まれています。なお、カラーボールが蓋のような状態のため、しづかはその存在に気づいておりません。
※この地雷は包帯によってカラーボールと繋がっており、カラーボールを引っ張ると、地雷の安全装置であるピンが外れ、ディバックの圧迫によって爆発するように仕掛けられております。
※ひろゆきが剣術の使い手と勘違いしております。
※ディバックの中には今、和也達によって、盗聴器が仕掛けられております。しづかがひろゆきと平山の会話を聞いたことから、平山が生きていること、首輪探知機を持っていること、ひろゆきが日本刀を持っていること、
また、しづかの独り言から、彼らが病院にいることを和也達に知られている可能性があります。



118:説得の切り札 投下順 120:天意
135:本物と偽物 時系列順 120:天意
104:天の采配(前編)(後編) 天貴史 120:天意
104:天の采配(前編)(後編) 鷲巣巌 120:天意
104:天の采配(前編)(後編) 井川ひろゆき 120:天意
104:天の采配(前編)(後編) 平山幸雄 120:天意
109:劇作家(前編)(後編) しづか 120:天意




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