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天意 ◆6lu8FNGFaw氏


しづかは出来るだけ音を立てぬよう、裸足でそろそろと病院の冷たい廊下を歩いていた。
廊下に規則的に並ぶ、非常口を示す明かりが目に痛い。
非常口を示す矢印、その矢印と正反対に、建物の奥へ向かって歩いている。その事実が喉の奥を苦しくさせる。

外に逃げ出したい。
だが、『二階へ逃げたと考えたひろゆきの誤解を利用する為』、そして『他にいるかも知れない参加者から武器を奪う為』
しづかは震える足を踏ん張り、悲鳴を上げたい心を抑え、懸命に歩いていた。
生きるために。

先程廊下の奥で聞こえた声。老人の声のように感じた。
『ひろゆき』と『平山』は若い男である。なら、先程大声を上げた老人がまだ一階に潜んでいる可能性が高い。

(爺いをふん捕まえて、人質に取るくらいでなきゃ…!この先いつまでも武器なんか奪ったり出来るもんか…!)
しづかはモップを握り直した。

待合室を抜け、検査室の横を通る。恐る恐るドアノブを廻してみるが、開かない。
他の部屋も試してみるが、『検査室』と書かれた部屋はたいてい施錠されていた。
扉にごく小さな窓があり、そこから中を覗いてみる。
だが、中はほとんど真っ暗で、室内に置かれた機械には布がかけられている。
その布が、得体の知れない不気味なものを連想させる。何かが蠢いているような嫌な想像をしてしまい、慌てて小窓から体を離す。

痛い程しんと静まり返っている。張り詰めた空気。己の吐く息の音、心臓の音だけがやけに大きく聞こえる。

(嫌だ…嫌だっ………逃げたい………!!!)
緊張が最高潮に高まったとき…。
『処置室』と書かれたドアが、きい、と開いた。


(………………………………!!!!!!!!)
しづかはあまりの恐怖に声も出せず、夢中でモップを突き出した。
ガゴッ、とモップの先が扉に当たり、くぐもった音を立てる。

半開きのまま、中にいた人間が顔を覗かせる。
「お嬢さん、一人か?」
「!?」

ぬっと出てきたのは顔中傷だらけの大男だった。
薄明かりの中、逆光で影が廊下に大きく伸びる。しづかは全身の毛が逆立つような感覚に襲われた。

そのとき、大男の影から、もう一人の人間がひょいと顔を出した。

「何じゃっ…小娘一人かっ…!」
「おい、爺さん出てくるなよっ…!」
「その呼び方をやめろといったじゃろ…!何を恐れることがある…!こんな小娘の一人や二人…!」
「まだどんな武器を持っているかわからねえだろう…!」

しづかが呆然と立ち尽くす中、二人の男は喧嘩を始めた。
大男は、そんなしづかと後ろの頑固爺さんとを交互に見比べ、溜息をつきながら頭を掻いた。


「俺は天という。こちらの爺さんは鷲巣さん。
さっきアンタを探しに行った男はひろゆきと平山。俺の仲間だ。二人とは入れ違いになったのか?
………なぁ、そろそろモップを下ろしちゃくれねえかな?」


天は、モップの先をこちらに突き出し警戒心を露わにしているしづかに声をかけた。
「…武器を出せ」
「俺達はお嬢さんとやり合うつもりは無い」
「そんなことはどうでもいいっ…!武器をよこせっ…!」

しづかモップを突き出したまま、低い声で威嚇した。
鷲巣は天を手伝おうなどというそぶりも見せず、室内の壁にもたれて横目に二人の様子を眺めている。

「…お嬢さん。今アンタがそのモップ一本で俺達から武器を奪おうとしたって無茶な話だ。
こっちは二人いるし、俺たちから万一逃げ遂せたとしても、ひろゆきや平山が戻ってくる。
それよりもアンタ…その服はどうした?誰かに騙されたり、痛めつけられたりしたのか?
…嫌なら言わなくてもいい…せめて、俺達と情報交換をしないか?」
「………断る…!」

取り付く島も無い様子に、天は溜息をつく。
「それじゃ、俺もアンタの要求を飲めねえな。アンタに危害を加えるつもりも無いが」
「………………」
「俺は傷ついた参加者を保護するためにここへ来た。傷つけるためでなく、護るためだ。
だから、アンタに他人を傷つけるための武器は渡せねえ」
「奇麗事言いやがって…!アンタも、いざとなったら殺すくせにっ…!」
「そうだな、タダで殺されるほどお人よしじゃねえ。
だから、アンタも自分の我を通したいなら、俺を殴り倒して武器を奪えばいい。
最も、アンタに一発食らったらその時点で交渉は決裂、俺はアンタの鳩尾に拳を叩き込んででもアンタを止めるけどな」
「~~~~~~~~~~~っ!」


しづかは、目に涙を溜めて天を睨みつけた。悔しさでモップを持つ腕がぶるぶると震える。
敵いっこない。降伏するしか道は無い。
だが、先程一条から受けた仕打ちを思い出す。降伏すれば己のプライドも明け渡したことになるのだ。
「武器を…よこせっ………!」

「…そうか」
天は諦めたように言うと、持っていた大袋からあるものを取り出し、しづかの足元に置いた。
ゴトッと音を立てて置かれたそれは鎖鎌であった。

「これを使うということは、アンタが誰かの喉笛を掻き斬ったり、誰かの体を裂いたりするということだ。
それがどういうことだか分かっているか…?
第一、この武器は重い。使い勝手が悪い。俺の手にも余る代物…アンタに使いこなせるか…?
それよりも、この武器は誰かを護るために使うべきじゃないか…?」
天は、しづかの足元にしゃがみこみ、しづかを見上げながら問いかける。

「………この病院の外に転がっている死体…。」
しづかは、ぼそりと呟いた。

「目の前で、爆死した。一時でも仲間になっていた男が…目の前で…。
その後、また仲間が出来た。二人の男…。
一人はもう一方に殺されて、もう一方は私をひどい目に遭わせて去って行っちまった…」
しづかの目から涙が溢れる。今頃になって、現実が骨身に食い込むように辛かった。


そうだ。もうたくさんなんだ。裏切りも、死別も。
なら一人で生き残りを目指すほうがずっといい。

「もう仲間はいらない」
「そうか…」
天は俯き、奥歯を噛み締めた。


「なら、持ってけ…。扱いに困る代物だが、脅しくらいにはなるかも知れねえ」
「………………………」
天はうなだれたまま動こうとしない。
しづかはモップを床に落とし、警戒しながら鎖鎌を拾い上げた。
去り際に一言呟く。

「………礼を言うよ」
「俺はアンタに何も出来ねえっ…!」
天の搾り出すような声を背中に聞きながら、しづかは非常口の方へ歩いていった。


「向かいの建物から出てきたようじゃの…」
天の背後で鷲巣の声がした。

「何…?」
「ほれ、ここから表玄関入口のガラス越しに見えるじゃろ。あれは兵藤和也の部下か…」

ギャンブルルームから、額に火傷跡のあるスーツ姿の男が出てきたところであった。
先程ひろゆき、平山から聞いた情報によれば、額に火傷跡のある男の名は利根川。
周囲を見渡し、辺りを警戒しながら、病院へと歩いてくる様子である。
もう一人若い男が出てきて、火傷の男を援護するように身を屈めて後に続く。
正面からではなく、こちらへと迂回して回りこむような軌跡を辿る。そうこうしているうちに、二人の男は視界から消えた。

男達の張り詰めた空気にただならぬものを感じ、天は顔を顰めた。
今、鎖鎌を渡した娘が外に出れば間違いなく鉢合わせになる。

「あの娘が危ないっ…!!」


天はしづかを探して一階の廊下を見回した。
非常口にしづかの姿を認めたとき、しづかは丁度ドアノブに手をかける所であった。
慌ててしづかの方に走り出し、呼び止める。
「待て…!危険だ…外に出るなっ…!」
「え…?」
「今は危ないっ…止まれ…!」

呼び止められるとは思ってもみなかったしづかは、戸惑いを浮かべ後ろを振り返る。
天が追ってきたことに気づくと、しづかは驚き、恐怖を露にして天に背中を向け、ドアノブを廻す。
「バッ…違う…!捕まえるつもりはねえんだっ…勘違いするなっ…!」

天の必死の牽制も空しく、ドアは内側に大きく開かれた。



外には二人の男が立っていた。
白髪の男と、額に火傷跡のある男。
二人は向き合い、一触即発の状態。その二人が一斉に開かれたドアのほうに視線を移す。
額に火傷跡のある方は、しづかの顔見知りであった。
しづかは思わずその男に助けを求め、駆け寄ろうとした。

「『黒崎』っ…!」
「馬鹿…出るなっ…!」
外に飛び出そうとするしづかを、天が背後から抱え込む。
そのとき。


ドドォォォーーーーーーーーーンッ………!!!!!


周囲に大きな地響きが響き渡った。



時は数十分前に遡る。
しづかに盗聴器を仕掛けた和也は、しづかが病院に入ってからの様子をずっと耳で観察していた。
ギャンブルルームの滞在時間は延長済みである。
第二放送直後に一旦外へ出、一条が3人で3時間分(1800万)を払っている。

 『それにしても…大きい建物だな…』
 『出入り口自体ないんじゃないのか…』
 『ここが…入り口なのか…』
 『まさか…誰かいるんじゃ…』

 『病院か…ここは…』

不安から独り言を漏らし続けるしづかの行動は、盗聴器によって和也達に筒抜けであった。
そして、感度の良い盗聴器はしづか以外の病院内の声も拾う。

 『平山…君はここで待っていてくれ…オレ一人で確認する…』
 『待ってくれ…そんなこと、お前一人に押し付けるわけにはいかない…』

「平山…!生きていたか…」
利根川が思わず声を上げる。
「しっ…静かにっ…!」
和也はそれを嗜め、暫く会話を聞いていた。
イヤホンを耳に嵌めたまま、じっと考え込んでいたが、やがてクク…と含み笑いとともに話し始める。

「どうやら、今病院内には思ったより大勢の人数がいるようだ…!」
「そのようですね…」
「俺、今閃いちまったんだけど…!」
和也のニヤニヤ笑いに、利根川と一条は顔を見合わせて和也の次の言葉を待った。


「何…折角の好機だから、保険を打っておくって話…!」


利根川はギャンブルルームから外に出た。
デイパックを背負い直し、袖の中に隠したデリンジャーを確かめる。

ギャンブルルームと病院は互いに正面玄関が向き合うように建っている。
ずっと外を見張っていた村上によると、しづかは正面玄関に入ろうとしたが引き返し、病院の壁を伝うようにして出入り口を探していたという。
しづかが中に入ったのを耳では確認していたが、こちらから見えなかった。裏口か非常口が開いていて、そこから入ったのだろう。

和也が利根川に頼んだのは、開いている出入り口に最後の地雷を仕掛けることである。
病院内に誰か大勢いるということは、少なくとも誰かが必ず近いうちに病院の出入り口を通ると予想できる。
この出入り口に今のタイミングで地雷を仕掛けておけば、そのうちの数人…最低でも一人は確実に労せずして仕留められる。

この作戦、誰かに見られたらアウツ…!利根川にとってはかなりリスキーな指令である。

リスキーであることを考慮して、利根川、一条には盗聴器と無線のイヤホンを持たせてある。
利根川の持つイヤホンはギャンブルルームの盗聴器に繋がっていて、病院内で異変があれば和也が知らせることが出来る。
即席のトランシーバーのようなものである。

出来る限り病院内の連中に気づかれぬよう大回りをし、病院の側面まで歩く。
一条が、数メートル離れた茂みの中に隠れ、トカレフを構えていつでも援護射撃出来るように待機している。

病院の非常口で、しづかの残したと思われる、よたよたと歩いたような男物の革靴の靴跡が見つかった。
しづかには大きすぎる靴の為不規則な靴跡になったと思われる。

利根川はデイパックから地雷を取り出し、非常口の扉のすぐ前に小さな穴を掘り、地雷を仕掛けた。
土は柔らかく、労せず作業を終えた。夜なので土を掘り返した跡もさほど目立たない。


(フフフ…。近いうちにこの場所で、花火が上がる…!
ギャンブルルームからは死角になっているのが痛いが、まあ仕方ない…。和也様もきっとお喜びに…)


「何を埋めたんだ?そこに…」


横から急に声をかけられ、利根川は体を強張らせた。
硬い表情のまま声のした方に顔を向けると、そこには白髪の青年がいた。

どこか人を食ったような表情、平山と容姿は似ているが、身に纏っている雰囲気が違う。

「お前は確か…赤木しげるか…?開会式で最初に出て行った…」
「アンタは、利根川だろう…?帝愛幹部…元No2…」
「…何故俺の名を知っている」
「カイジから聞いた。その特徴的な火傷の跡も…火傷の出来た理由もな………」

利根川の額に青筋が走る。
「カイジだとっ…!」
「で、今度は何を悪巧みしてる…?そこに埋めた物は何だ…?」


(おやおや…思っていたより早い遭遇だ…。最初で最後の…な…!)
盗聴器を聞いていた和也が、一条、利根川に命令を送る。


『そいつを殺せ…』


(気配を消してやがった…あの男…!)
利根川の護衛についていながら、アカギに気がつかず接近を許してしまったことに、一条は歯噛みする。
一条は茂みの中からアカギに照準を合わせる。
利根川、一条が銃をアカギに構えるのはほぼ同時であった。
二人が引き金を引こうとした、その刹那。

『おい、こんな時だが、病院内の連中が非常口に向かってるぞ。警戒しとけよっ…!』

しづかの盗聴器越しに、天としづかの揉み合いを耳にした和也の警告と、非常口の開くタイミングはほぼ同時であった。


「黒崎っ…!」
「馬鹿…出るなっ…!」
非常口の中から、二人の男女が縺れ合うように飛び出してきた。
そのとき。


ドドォォォーーーーーーンッ………!!!


周囲に大きな地響きが響き渡った。


この音には聞き覚えがある。
爆風。熱。そして吹き飛ぶ体。
地面に打ち付けられる痛み。恐怖。


「ううっ…」
地面に投げ出された体を必死の思いで起こし、しづかは足元を見る。
自分の足はまだ胴に繋がっている。
だが、自分の足元に横たわっている大男には、足がついていなかった。
あの時の様に。

「ひっ……………」
喉を締め付ける恐怖のあまり、悲鳴が出なかった。
焼け焦げる皮膚の匂いと、血の匂い。
フラッシュバック。覚めぬ悪夢。
確かな殺意。この地にどす黒く染み込んでいる人間の悪意。

「ひぃ……………………………………………」
しづかは再びその場に倒れ込み、気を失った。


「地雷か…。さすが卑怯者のアンタららしい…」
アカギの言葉に被せる様に、利根川は再びアカギに銃口を向ける。
一条が茂みから飛び出し、至近距離で利根川を援護する。

バサバサッ……!!!

アカギが持っていた偽札入りのトランクを開け、辺り一面に中身をぶちまけた。
視界が札束サイズの新聞紙で埋め尽くされる。

パンッ… パンッ…! パンッ…!

デリンジャーを数発撃ったが手応えはなく、紙吹雪がやんだ頃、そこには弾痕のついた空のトランクだけが残されていた。


「くそっ…!一条、追うぞっ…!」
「はっ…!」

利根川と一条は、迷う事無く林の中へと走って行った。


利根川や一条が林の方へとアカギを追ったのは、そちらの方にしか身を隠し、なおかつ遠くに逃げられる場所が無い為である。
病院の周囲は、一条が身を隠していた茂み以外には特に身を隠せる場所がなく、すっきりした芝生になっている。
アカギが生き残りたいなら、高確率でそちらに向かったであろうと予測される。

故に、アカギは一条が先程まで身を隠していた茂みの中に隠れていた。

(思い込みが人を誤らせる…。灯台下暗しってやつだ)
アカギは茂みから立ち上がり、しづかの傍に寄る。
助けるためではない。しづかが手に握っている鎖鎌が目当てであった。
しづかの腕を持ち上げ、鎖鎌を奪おうとした。



「…………頼…む……」

アカギは、しづかの足元に倒れている大男に目を向けた。
声はその男から聞こえてくるようであった。


ショック死でなければ、下半身を失っても数分間は生きていることがある。
そのうち大量出血で死ぬのは免れないが、数分の間、壮絶な苦しみを味わわねばならない。

だが、天は己が人より丈夫な体に生まれついたことに今ほど感謝したことはなかった。


「………………護っ………俺の…代わり…に………」
「………………………」
アカギの沈黙を是と捉えてか、天は虫の息の中、僅かに笑った。

「久しぶり………赤木さん……今……………そっちに……………………。」
そのまま男は息を引き取った。



(やれやれ…顔見知りでない奴に名を呼ばれる事の多い日だ…。鷲巣の姿も見えねえし、探そうにもこの騒動じゃあな…)
アカギは改めてその男を見、再び倒れている少女に目を戻し、軽く息を吐いた。
逝きがけに託された“荷物”は、どうも見た目以上に厄介事の起きるような予感、予兆を感じる。

(だが…“窮地”は“好機”と表裏一体…。それも悪くない…。)
アカギはしづかを抱きかかえると、利根川達とは反対方向に走り去っていった。

アカギといえど、和也のつけた盗聴器の存在にまで気がつくことは出来ず。
しづかの持つデイパックから、カラーボールの蛍光塗料が染み出し、地面に転々と跡を残していたことに気がつくのも、もう少し先の話である。



二階で“侵入者”を探し回っていたひろゆきや平山の耳にも、地雷の爆発音ははっきりと届いた。
「何だっ…!?」

ひろゆきが非常口を見下ろせる窓に張り付き、下の様子を伺う。
もうもうと土埃の舞った後、月明かりの中、目に飛び込んできたのは、
倒れている天と、その傍で倒れている少女、利根川、アカギの姿であった。

「天さんっ…!?」
「と…利根川っ…!」
ひろゆきの声と、平山の悲鳴が重なる。

「天さん…!」
ひろゆきが走り出そうとするのを、平山が止めに入る。咄嗟にひろゆきの腕を掴んだ。

「ちょっと待て…!今の爆発音、あいつら爆弾を持ってる…!のこのこ出て行ってどうするつもりだ…!」
「離せ…!天さんが倒れてる…!助けないと、天さんの命が…!」
「それなら尚更だ…!俺達まで巻き添えになる…!ここは慎重に奴らの出方を…」
「お前は、天さんの知り合いじゃないからそんなことが言える…!死のうがどうなろうが、知ったこっちゃ無いって…!」
今までに無く取り乱すひろゆきを前に、平山はむしろ頭の奥が冷めていくような感覚を覚えた。

「離せっ…!俺一人で行くっ…放っといてくれ…!」
「駄目だっ…!放っとく訳にはいかない…!」
「何で…」
「お前は俺の知り合いだから…!」
平山は正面からひろゆきの目を覗き込む。


「落ち着け…!あれだけの数の人間が集まってる。おかしい…!何かが起きてる…!
今やるべきことは無鉄砲に飛び出すことじゃない。何が起きているか見極めること…!
利根川がいるってことは、利根川と一緒にいた他の二人も近くにいる可能性が高い…!
特に、利根川は拳銃を持ってるんだ…!為す術も…」

その時、階下でパンッ、パンッと銃声が響いた。

「おい…!見ろっ…」
平山がひろゆきを引っ張って窓の外に目をやると、今度は地面に何故か紙吹雪が広がっていた。
利根川と、どこから出てきたのかもう一人、利根川の仲間が、周囲を見渡し、銃を構えたまま林のほうへ走り去っていった。

「………アカギ」
平山が呟いた。
傍らの茂みからアカギが現れ、倒れている天と少女へと歩み寄っていく。
しばらく少女の傍でしゃがんでいたかと思うと、そのまま少女を抱き上げ、利根川達と反対方向へ走り去っていった。

「…赤木さん……天さんの方へは確かめに行かなかった……」
ひろゆきが震える声で囁く。
何故アカギは近寄って状態を確かめなかったのか。その必要も無いほど、一見して『そう』と分かる状態なのだろうか。
ここからは暗くてよく見えないが、悪い想像しか思い浮かばない。

顔面蒼白のひろゆきの肩を掴み、平山は意を決してひろゆきに言った。
「………行こう。けど、『覚悟』はしといた方がいい……」


二人は一歩一歩、階下へと続く階段を下りていった。



【E-5/ギャンブルルーム内/深夜】

【兵藤和也】
 [状態]:健康
 [道具]:チェーンソー 対人用地雷残り一個(しづかが所持)
     クラッカー九個(一つ使用済) 不明支給品0~1個(確認済み) 通常支給品 双眼鏡 首輪2個(標、勝広)
 [所持金]:1000万円
 [思考]:優勝して帝愛次期後継者の座を確実にする
     死体から首輪を回収する
     鷲巣に『特別ルール』の情報を広めてもらう
     赤木しげるを殺す(首輪回収妨害の恐れがあるため)
     盗聴を続ける、利根川、一条に指示を出す
※伊藤開司、赤木しげる、鷲巣巌、平井銀二、天貴史、原田克美を猛者と認識しています。
※利根川、一条を部下にしました。部下とは『和也同盟』と書かれた誓約書を交わしています。
※遠藤、村岡も、合流して部下にしたいと思っております。彼らは自分に逆らえないと判断しています。
※『特別ルール』――和也の派閥のみがゲームで残った場合、和也の権力を以って、その派閥全員を脱出させるという特例はハッタリですが、 そのハッタリを広め、部下を増やそうとしています。
※首輪回収の目的は、対主催者の首輪解除の材料を奪うことで、『特別ルール』の有益性を維持するためです。
※しづかに自爆爆弾を持たせました。その様子を盗聴器で確認しております。 (今は和也のみ盗聴中)
※第二放送直後、ギャンブルルーム延長料金を払いました。3人であと3時間滞在できます。


【E-6/林/深夜】

【一条】
[状態]:健康
 [道具]:黒星拳銃(中国製五四式トカレフ) 改造エアガン 毒付きタバコ(残り18本、毒はトリカブト) マッチ スタンガン 包帯 南京錠 通常支給品×6(食料は×5) 不明支給品0~3(確認済み、武器ではない)
 [所持金]:3600万円
 [思考]:カイジ、遠藤、涯、平田(殺し合いに参加していると思っている)を殺し、復讐を果たす
     復讐の邪魔となる(と一条が判断した)者、和也の部下にならない者を殺す
     復讐の為に利用できそうな人物は利用する
     佐原を見つけ出し、カイジの情報を得る
     和也を護り切り、『特別ルール』によって村上と共に生還する
    利根川とともにアカギを追う、和也から支持を受ける
※利根川とともに、和也の部下になりました。和也とは『和也同盟』と書かれた誓約書を交わしています。
※『特別ルール』――和也の派閥のみがゲームで残った場合、和也の権力を以って、 その派閥全員を脱出させるという特別ルールが存在すると信じています。(『特別ルール』は和也の嘘です)
※通常支給品×5(食料のみ4)は、重いのでE-5ギャンブルルーム内に置いてあります。

【利根川幸雄】
 [状態]:健康
 [道具]:デリンジャー(1/2) デリンジャーの弾(残り25発) Eカード用のリモコン 針具取り外し用工具 ジャックのノミ 支給品一式
 [所持金]:1800万円
 [思考]:和也を護り切り、『特別ルール』によって生還する
     首輪の回収
     遠藤の抹殺
     カイジとの真剣勝負での勝利・その結果の抹殺
     アカギの抹殺、鷲巣の保護
     病院へ向かう
     一条とともにアカギを追う、和也から支持を受ける
※両膝と両手、額にそれぞれ火傷の跡があります
※和也の保護、遠藤の抹殺、カイジとの真剣勝負での勝利・その結果の抹殺を最優先事項としています。
※鷲巣に命令を下しているアカギを殺害し、鷲巣を仲間に加えようと目論んでおります。(和也は鷲巣を必要としていないことを知りません)
※一条とともに、和也の部下になりました。和也とは『和也同盟』と書かれた誓約書を交わしています。
※『特別ルール』――和也の派閥のみがゲームで残った場合、和也の権力を以って、 その派閥全員を脱出させるという特別ルールが存在すると信じています。(『特別ルール』は和也の嘘です)
※デリンジャーは服の袖口に潜ませています。
※Eカード用のリモコンはEカードで使われた針具操作用のリモコンです。電波が何処まで届くかは不明です。
※針具取り外し用工具はEカードの針具を取り外す為に必要な工具です。
※平山からの伝言を受けました(ひろゆきについて、カイジとの勝負について)
※計器からの受信が途絶えたままですが、平山が生きて病院内にいることを盗聴器で確認しました。(何かの切欠で計器が正常に再作動する可能性もあります)
※平山に協力する井川にはそれほど情報源として価値がないと判断しております。
※黒崎が邪魔者を消すために、このゲームを開催していると考えております。
※以前、黒崎が携わった“あるプロジェクト”が今回のゲームと深く関わっていると考え、その鍵は病院にあると踏んでおります。
※E-5ギャンブルルーム前には、勝広の持ち物であったスコップ、箕、利根川が回収し切れなかった残り700万円分のチップなどが未だにあります。


【E-5/病院/深夜】

【鷲巣巌】
 [状態]:疲労、膝裏にゴム弾による打撲、右腕にヒビ、肋骨にヒビ、腹部に打撲  →怪我はすべて手当済
 [道具]:防弾チョッキ 拳銃(銃口が曲がっている)
 [所持金]:0円
 [思考]:零、沢田を殺す
     平井銀二に注目
     アカギの指示で首輪を集める(やる気なし)
     和也とは組みたくない、むしろ、殺したい
※赤木しげるに、回数は有限で協力する。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※赤木しげるに100万分の借り。
※赤木しげると第二回放送の前に病院前で合流する約束をしました。(今は忘れています)
※鷲巣は、拳銃を発砲すれば暴発すると考えていますが、その結果は次の書き手さんにお任せします。
※主催者を把握しています。そのため、『特別ルール』を信じてしまっています。

【井川ひろゆき】
 [状態]:健康
 [道具]:日本刀 防犯ブザー 不明支給品0~2(確認済み) 懐中電灯 村岡の誓約書 ニセアカギの名刺 アカギからのメモ 支給品一式×2
 [所持金]:1500万円
 [思考]:赤木しげるとギャンブルで闘う この島からの脱出 極力人は殺さない 天を助けに行く 
※村岡の誓約書を持つ限り、村岡には殺されることはありません。
※赤木しげるの残したメモ(第二回放送後 病院)を読みました。
※カイジからのメモで脱出の権利は嘘だと知りました。
※二枚ある地図のうち、一枚を平山に渡しました。

【平山幸雄】
 [状態]:左肩に銃創 首輪越しにEカードの耳用針具を装着中
 [道具]:支給品一式 首輪探知機 カイジからのメモ
 [所持金]:1000万円
 [思考]:田中沙織を気にかける 利根川から逃れる術を探る カイジが気になる ひろゆきに付き添い、天の様子を見に行く
※利根川に死なれたと思われていることを知りません。計器に不具合が起きているのも知りません。
※カイジからのメモで脱出の権利は嘘だと知りました。
※ひろゆきから地図をもらいました。


【E-4/草むら/深夜】

【しづか】
 [状態]:気絶 首元に切り傷(止血済み) 頭部、腹部に打撲 人間不信 神経衰弱 ホテルの従業員服着用(男性用)
 [道具]:鎖鎌 ハサミ1本 ミネラルウォーター1本 カラーボール(と対人用地雷と盗聴器) 板倉の靴 通常支給品(食料のみ)
 [所持金]:0円
 [思考]:ゲームの主催者に対して激怒 誰も信用しない 一条を殺す
※このゲームに集められたのは、犯罪者ばかりだと認識しています。それ故、誰も信用しないと決意しています。
※和也に対して恐怖心を抱いています。
※利根川を黒崎という名前と勘違いしております。
※利根川から渡されたカラーボールはディバックの脇の小ポケットに入っており、そのポケットの底には地雷が仕込まれています。なお、カラーボールが蓋のような状態のため、しづかはその存在に気づいておりません。
※この地雷は包帯によってカラーボールと繋がっており、カラーボールを引っ張ると、地雷の安全装置であるピンが外れ、ディバックの圧迫によって爆発するように仕掛けられております。
※ひろゆきが剣術の使い手と勘違いしております。
※ディバックの中には今、和也達によって、盗聴器が仕掛けられております。しづかがひろゆきと平山の会話を聞いたことから、平山が生きていること、首輪探知機を持っていること、ひろゆきが日本刀を持っていること、
また、しづかの独り言から、彼らが病院にいることを和也達に知られています。
※利根川と一条は任務中の為、今、しづかの盗聴器から盗聴しているのは和也だけです。


【赤木しげる】
 [状態]:健康
 [道具]:ロープ4本 不明支給品0~1(確認済み)支給品一式 浦部、有賀の首輪(爆発済み)
 [所持金]:500万円
 [思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す 死体を捜して首輪を調べる 首輪をはずして主催者側に潜り込む しづかを連れて逃げる
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※2日目夕方にE-4にて平井銀二と再会する約束をしました。
※鷲巣巌を手札として入手。回数は有限で協力を得られる。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※鷲巣巌に100万分の貸し。
※鷲巣巌と第二回放送の前に病院前で合流する約束をしました。また第二回放送後に病院の中を調べようと考えていましたがどちらも果たせず。(ひろにメモが渡ったのは偶然です)
※首輪に関する情報(但しまだ推測の域を出ない)が書かれたメモをカイジから貰いました。
※参加者名簿を見たため、また、カイジから聞いた情報により、 帝愛関係者(危険人物)、また過去に帝愛の行ったゲームの参加者の顔と名前を把握しています。
※過去に主催者が開催したゲームを知る者、その参加者との接触を最優先に考えています。 接触後、情報を引き出せない様ならばギャンブルでの実力行使に出るつもりです。
※危険人物でも優秀な相手ならば、ギャンブルで勝利して味方につけようと考えています。
※カイジを、別行動をとる条件で味方にしました。
※村岡隆を手札として入手。回数は有限で協力を得られる。(回数はアカギと村岡のみが知っています)



【天貴史 死亡】
【残り 25人】

※天の所持品(不明支給品0~2 通常支給品 、500万円分のチップ)は天の遺体が背負ったままになっています。



119:盲点 投下順 121:慕効
119:盲点 時系列順 124:光路
109:劇作家(前編)(後編) 兵藤和也 124:光路
109:劇作家(前編)(後編) 一条 124:光路
109:劇作家(前編)(後編) 利根川幸雄 124:光路
119:盲点 鷲巣巌 124:光路
119:盲点 井川ひろゆき 124:光路
119:盲点 平山幸雄 124:光路
119:盲点 しづか 124:光路
135:本物と偽物 赤木しげる 124:光路




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