本心 ◆6lu8FNGFaw氏
「ならば、カイジに決めてもらおう。」
沢田の言葉に、零、涯はカイジの方を向いた。
暫くの逡巡の後、カイジは頷きながら言う。
沢田の言葉に、零、涯はカイジの方を向いた。
暫くの逡巡の後、カイジは頷きながら言う。
「零の言う通りだ……。体が参っちゃあどうにもならない…俺はアンタらの予定に合わせる。
だから、先ずは零、涯。もう少し休んでいてくれ。寝ているところを起こしちまったんだろ?」
「「オレは平気です」」
零、涯の言葉が重なり、二人は互いの顔を見合わせた。沢田が苦笑して言葉をかける。
だから、先ずは零、涯。もう少し休んでいてくれ。寝ているところを起こしちまったんだろ?」
「「オレは平気です」」
零、涯の言葉が重なり、二人は互いの顔を見合わせた。沢田が苦笑して言葉をかける。
「零、涯…。休むことも大事だ。第三放送まであと4時間ある。あと1時間仮眠を取ったら、俺達と交代してくれないか?
お前達が十分に休息していないのに、大人がゆっくり休むわけにもいかねえよ」
「……わかりました、じゃあ今は一つだけ…」
零が、先程デイパックとタオルで作った死角の中でメモを書く。
お前達が十分に休息していないのに、大人がゆっくり休むわけにもいかねえよ」
「……わかりました、じゃあ今は一つだけ…」
零が、先程デイパックとタオルで作った死角の中でメモを書く。
『先程の上下水道を通って脱出という案ですが 水道施設が島外にあるという根拠はありますか』
『今のところ推測 だが確信はある 島の中にあるなら大きい施設 だが地図上に載っていない』
カイジはTシャツの下から、腹部を守るようにしまっておいた、地図とパンフレット類、参加者名簿を取り出す。
地図を開いている間、零が名簿やパンフレットに注目する。
『今のところ推測 だが確信はある 島の中にあるなら大きい施設 だが地図上に載っていない』
カイジはTシャツの下から、腹部を守るようにしまっておいた、地図とパンフレット類、参加者名簿を取り出す。
地図を開いている間、零が名簿やパンフレットに注目する。
「それは……」
「ああ、参加者名簿と、この島の主要施設のパンフレットだ。ある人に譲ってもらった…」
「見せてもらえますか、あとで…!重要な情報として活かせるかもしれない…!」
「それは構わないが…」
「ええ、今はまずこれについて…」
零はメモをめくり、新しいページに数行に渡って書き綴った。
「ああ、参加者名簿と、この島の主要施設のパンフレットだ。ある人に譲ってもらった…」
「見せてもらえますか、あとで…!重要な情報として活かせるかもしれない…!」
「それは構わないが…」
「ええ、今はまずこれについて…」
零はメモをめくり、新しいページに数行に渡って書き綴った。
『離島の水道施設について
上水道→島の外から、海底送水管を使って水を供給しているとすれば、その管は人が通れるような構造の管ではない
下水道→合併処理浄化槽が島内地下に設置されていればそもそも島外へ繋がる下水管が存在しない
(水を島の中で浄化して、きれいにした水はそのまま海へ流されるため)』
上水道→島の外から、海底送水管を使って水を供給しているとすれば、その管は人が通れるような構造の管ではない
下水道→合併処理浄化槽が島内地下に設置されていればそもそも島外へ繋がる下水管が存在しない
(水を島の中で浄化して、きれいにした水はそのまま海へ流されるため)』
「アンタ物知りだな…。零の言うとおりなら…オレの考えた作戦は実行不可能ってことか……。」
「ただ…」
落胆するカイジに対し、零は再びメモを綴った。
「ただ…」
落胆するカイジに対し、零は再びメモを綴った。
『市街のマンホールの下にあるような人が通れる下水道が この島内にも存在する可能性はあります
浄化槽まで下水を運ぶための地下道のようなものがあれば ゲームに乗っている参加者から身を隠せる場所になるかも
それに もし首輪の電波が 地下では遮断されるとしたら』
浄化槽まで下水を運ぶための地下道のようなものがあれば ゲームに乗っている参加者から身を隠せる場所になるかも
それに もし首輪の電波が 地下では遮断されるとしたら』
零とカイジは互いに視線を交差させる。
『突破口となるかも知れない…!』
零との筆談はそこで一旦区切りを入れた。
カイジは、零に参加者名簿とパンフレットを預けた。
だいたいの内容は頭に入っていたし、知識の豊富な零のほうが有効活用できると考えたためである。
零は、カイジの持ち物にすぐにでも目を通したがっていたが、今は休むように忠告する。
カイジは、零に参加者名簿とパンフレットを預けた。
だいたいの内容は頭に入っていたし、知識の豊富な零のほうが有効活用できると考えたためである。
零は、カイジの持ち物にすぐにでも目を通したがっていたが、今は休むように忠告する。
沙織に関しての情報以外では、情報交換はあまり進んでいないのが現状である。
だが、カイジは零と涯に一先ず休むように言った。
零、涯は再び横になる。あと一時間ほど仮眠を取り、沢田、カイジと見張りを交代すると念を押して。
もう少し長く休息を取って置きたい所だが、状況がそれを許してくれない。
だが、カイジは零と涯に一先ず休むように言った。
零、涯は再び横になる。あと一時間ほど仮眠を取り、沢田、カイジと見張りを交代すると念を押して。
もう少し長く休息を取って置きたい所だが、状況がそれを許してくれない。
沢田は3人にこう言った。
夜の間は、暗闇が、逃げる者に味方してくれる。
日が昇れば、再び死亡者の数は増えてしまうかも知れないが。
だが見方を変えれば、明け方になれば夜の間に比べて田中沙織を探しやすくなるとも言える。
だから今は焦るな、と。
夜の間は、暗闇が、逃げる者に味方してくれる。
日が昇れば、再び死亡者の数は増えてしまうかも知れないが。
だが見方を変えれば、明け方になれば夜の間に比べて田中沙織を探しやすくなるとも言える。
だから今は焦るな、と。
零、涯が寝付いたのを見ると、カイジは溜息をついた。
少年達の顔には疲れの色が見える。このゲームに肉体的、精神的に無茶を強いられているのだ。
二人の顔色を見ていると、とてもではないが『今すぐに出発しよう』などとは言い出せなかった。
少年達の顔には疲れの色が見える。このゲームに肉体的、精神的に無茶を強いられているのだ。
二人の顔色を見ていると、とてもではないが『今すぐに出発しよう』などとは言い出せなかった。
沢田は玄関先に立ち、警棒を片手に傍の窓から外の様子を伺っている。
「カイジ、お前も寝たらどうだ。見張りは俺一人でも十分」
「…アンタ、沢田さん、って言ったっけ。…裏の世界の人なのか」
「ああ。…こういう荒事には慣れている。だから俺に気を遣う必要は無えよ」
「カイジ、お前も寝たらどうだ。見張りは俺一人でも十分」
「…アンタ、沢田さん、って言ったっけ。…裏の世界の人なのか」
「ああ。…こういう荒事には慣れている。だから俺に気を遣う必要は無えよ」
カイジは座り込んだまま沢田の方をちらりと見、また視線を落とした。
「気を遣っているというか…今休憩したら、張り詰めていたものが切れてしまう様な気がするから…」
「……そうか。お前、その筋の者でもない様なのに、妙に修羅場慣れしているみたいだな」
「気を遣っているというか…今休憩したら、張り詰めていたものが切れてしまう様な気がするから…」
「……そうか。お前、その筋の者でもない様なのに、妙に修羅場慣れしているみたいだな」
沢田の問いに、カイジは暫く黙り込んだ後、呟いた。
「このゲームの主催…。帝愛にはさんざん煮え湯を飲まされている…。
従順に奴らの言いなりになっていたら、今頃死んでたか、廃人になってたっ…。
奴ら、人を人とも思っちゃいない、鬼だっ…。人の皮を被った鬼っ…!」
「このゲームの主催…。帝愛にはさんざん煮え湯を飲まされている…。
従順に奴らの言いなりになっていたら、今頃死んでたか、廃人になってたっ…。
奴ら、人を人とも思っちゃいない、鬼だっ…。人の皮を被った鬼っ…!」
暗闇の中、カイジの目がぎらりと光ったように見えた。
「主催が俺たちを虫けらのように潰しにかかるなら、こっちだって黙っちゃいないっ…!
潰す…潰すっ……!奴ら…どんな手を使ってでも叩きのめすっ……!」
「主催が俺たちを虫けらのように潰しにかかるなら、こっちだって黙っちゃいないっ…!
潰す…潰すっ……!奴ら…どんな手を使ってでも叩きのめすっ……!」
指を組んで己の世界に入り込み、独り言を呟くその様子に、沢田は気圧されるものを感じた。
「……俺も協力しよう」
思わず口から言葉が漏れていた。
「……俺も協力しよう」
思わず口から言葉が漏れていた。
「…ありがとう」
沢田の言葉に、カイジは僅かに笑いながら答える。先程までの気迫は薄れていた。
ふと、カイジは立ち上がり、勝手口から外へと出ようとする。
沢田の言葉に、カイジは僅かに笑いながら答える。先程までの気迫は薄れていた。
ふと、カイジは立ち上がり、勝手口から外へと出ようとする。
「どこへ行くんだ?」
「ああ、ちょっとトイレ」
「そうか。周囲への警戒を怠るなよ。行って来い」
何気ない仕草で手を挙げ、カイジは外へ出て行った。
「ああ、ちょっとトイレ」
「そうか。周囲への警戒を怠るなよ。行って来い」
何気ない仕草で手を挙げ、カイジは外へ出て行った。
外は痛い程静寂に包まれていた。気温が下がり、ぴんと張り詰めた空気。
月明かりの為、部屋の中よりは明るく、暗闇に慣れた目には眩しい。その光に希望の欠片を見た気がした。
深呼吸をする。左足はまだ痛むが、暫く座っていたおかげでだいぶ楽になった。
歩ける。
月明かりの為、部屋の中よりは明るく、暗闇に慣れた目には眩しい。その光に希望の欠片を見た気がした。
深呼吸をする。左足はまだ痛むが、暫く座っていたおかげでだいぶ楽になった。
歩ける。
「行くのか」
不意に背後から声をかけられ、カイジはビクッと背中を震わせた。
不意に背後から声をかけられ、カイジはビクッと背中を震わせた。
「あ、いやいや…!勘違いしないでくれ。少しぼうっとしてたっ…。
すぐ戻るから、部屋で待っていてくれねえか…?」
カイジは恐る恐る振り向き、笑顔を作って沢田に言った。
だが、沢田が真剣な様子で黙り込んでいるのを見ると、誤魔化せないと悟り、俯いた。
すぐ戻るから、部屋で待っていてくれねえか…?」
カイジは恐る恐る振り向き、笑顔を作って沢田に言った。
だが、沢田が真剣な様子で黙り込んでいるのを見ると、誤魔化せないと悟り、俯いた。
「……行かせてくれっ…!アンタらの気持ちは、心から有難いと思ってるんだ。
だが、悪いけど待っていられない。こうしている間にも田中さんは追い詰められていってるんだ。
本当に、本当の本当に取り返しがつかなくなる前に、行かなくちゃ」
「……田中沙織が死ぬことが、か?」
「田中沙織が死ぬことと、これ以上人を殺し続けることが、だ」
「アンタが殺されるかも知れなくてもか?」
「殺されたりしないっ…!」
「まともに話し合えるかどうかもわからないんだろう…安全を確保できるような策があるのか」
「……っ……ないっ…!でも、田中さんを探しながら考えるっ…!」
だが、悪いけど待っていられない。こうしている間にも田中さんは追い詰められていってるんだ。
本当に、本当の本当に取り返しがつかなくなる前に、行かなくちゃ」
「……田中沙織が死ぬことが、か?」
「田中沙織が死ぬことと、これ以上人を殺し続けることが、だ」
「アンタが殺されるかも知れなくてもか?」
「殺されたりしないっ…!」
「まともに話し合えるかどうかもわからないんだろう…安全を確保できるような策があるのか」
「……っ……ないっ…!でも、田中さんを探しながら考えるっ…!」
カイジの頑として譲らない様子に、沢田は既視感を覚えた。
「…さっきアンタ言っていたな…。田中沙織に助けられたと」
「そうさ…。彼女がいなければ俺はとっくに死んでいた…!」
「…だから…今度は助けるのか…。」
「…さっきアンタ言っていたな…。田中沙織に助けられたと」
「そうさ…。彼女がいなければ俺はとっくに死んでいた…!」
「…だから…今度は助けるのか…。」
沢田は溜息を吐き、再びカイジを説得するために話し出す。
「お前の話を聞いていて思った事を、正直に言わせてもらう。
カイジ…お前達が仲間になったのも、命を助けられたのも、単なる成り行きでしか無いだろう。
“くじ”を引いて、当たったからって、それを引換所に持っていくか否かはお前自身が選べると思うがな」
「……そうかも知れない。だが、それが例え貧乏くじであったとしても、引いちまったって事実に変わりはないだろ?
言い訳してたって事実は変わらない。俺の方が先に彼女に声掛けたんだ」
「お前の話を聞いていて思った事を、正直に言わせてもらう。
カイジ…お前達が仲間になったのも、命を助けられたのも、単なる成り行きでしか無いだろう。
“くじ”を引いて、当たったからって、それを引換所に持っていくか否かはお前自身が選べると思うがな」
「……そうかも知れない。だが、それが例え貧乏くじであったとしても、引いちまったって事実に変わりはないだろ?
言い訳してたって事実は変わらない。俺の方が先に彼女に声掛けたんだ」
沢田はなおも言葉を捜して口を開くが、その口は再び閉じられた。
「すまねえ…。沢田さん…!」
カイジは沢田に向かって頭を下げる。
「すまねえ…。沢田さん…!」
カイジは沢田に向かって頭を下げる。
「アンタは…、いや、アンタや、中で寝ている二人、アンタらはピカイチっ…!さっき話をしただけでも、良く分かった……!
俺が今まで出会った中じゃ、文句なく優秀…有能…!器のでかい、何かを成し遂げられる人間…!
だから……本当は言われる通り、一緒に、アンタらと行動を共にしたいと思った…それが偽らざるオレの本心っ……!」
俺が今まで出会った中じゃ、文句なく優秀…有能…!器のでかい、何かを成し遂げられる人間…!
だから……本当は言われる通り、一緒に、アンタらと行動を共にしたいと思った…それが偽らざるオレの本心っ……!」
昂ぶる心のままにカイジは吐露する。言葉の語尾が、だんだんすすり泣くような声に変わる。
「けどっ…アンタらに危険な目に遭って欲しくない。連れて行きたくない…!
アンタらは自分達の実力を発揮して、このゲームに風穴を開けてくれ…!
アンタらならきっと出来る…!
沢田さんならあの少年達を守れる。あの二人の安心して眠る様子…。
アンタら三人が、本物の“仲間”だって証拠だ。この悪夢の島で、絆ってやつは何物にも変えがたい宝……!
だからオレ一人でいいっ…。
頼む……だから……だから……このまま行かせてくれっ……オレを……!」
「けどっ…アンタらに危険な目に遭って欲しくない。連れて行きたくない…!
アンタらは自分達の実力を発揮して、このゲームに風穴を開けてくれ…!
アンタらならきっと出来る…!
沢田さんならあの少年達を守れる。あの二人の安心して眠る様子…。
アンタら三人が、本物の“仲間”だって証拠だ。この悪夢の島で、絆ってやつは何物にも変えがたい宝……!
だからオレ一人でいいっ…。
頼む……だから……だから……このまま行かせてくれっ……オレを……!」
「…あいつらを騙して行くのか…?」
沢田の冷静な一言に、カイジの顔が苦しげに歪む。
沢田の冷静な一言に、カイジの顔が苦しげに歪む。
「仲間同士だって…一人一人なんだ…手段の為に騙さなきゃいけないこともあるっ……」
「そうか……」
涙ぐむカイジを見て、沢田はそれ以上追及することが出来なかった。
「そうか……」
涙ぐむカイジを見て、沢田はそれ以上追及することが出来なかった。
「……何を言っても、もう決心は揺るがないんだろう…?」
「……ああ」
カイジはきっぱりと言い切った。
「……ああ」
カイジはきっぱりと言い切った。
「やれやれ…まるでひろの若いときみたいだな……」
「え……“ひろ”……?」
「いやなに…こっちの話だ………」
沢田は苦笑しながら言った。
「え……“ひろ”……?」
「いやなに…こっちの話だ………」
沢田は苦笑しながら言った。
(若いのは、オッサンの忠告なんか聞きゃしねえんだよな……)
一度こうと決めたら引かない頑固さが、裏の麻雀の世界に身を置きたがっていた若い頃のひろゆきを思い出させた。
一度こうと決めたら引かない頑固さが、裏の麻雀の世界に身を置きたがっていた若い頃のひろゆきを思い出させた。
「カイジ…。オレはもう止めない。ただ、一言言わせてくれ」
沢田はそう言うと、右手に持っていた警棒を地面に落とした。警棒は、カラカランと軽い音を立てる。
カイジが沢田の次の言葉を待っていると、沢田はカイジに近づいていき、カイジの肩に左手を置く。
沢田はそう言うと、右手に持っていた警棒を地面に落とした。警棒は、カラカランと軽い音を立てる。
カイジが沢田の次の言葉を待っていると、沢田はカイジに近づいていき、カイジの肩に左手を置く。
「お前も、もう仲間だ。そうだろ…。また島で会うことがあれば、合流しよう。
それまで、死ぬなよ……。」
「沢田さん……」
沢田の微笑みに、カイジは強く頷き、微笑み返した。
それまで、死ぬなよ……。」
「沢田さん……」
沢田の微笑みに、カイジは強く頷き、微笑み返した。
不意に目の前が真っ暗になる。
鈍い痛みが体を貫き、息が出来なくなった。
何故、と思う間もなく、カイジの意識は闇へと引き擦り込まれた。
鈍い痛みが体を貫き、息が出来なくなった。
何故、と思う間もなく、カイジの意識は闇へと引き擦り込まれた。
「『…手段の為に騙さなきゃいけないこともある』……って言ったよな……?カイジ……」
自分の方へ倒れ込んできたカイジを受け止めながら、沢田はカイジに話しかける。
自分の方へ倒れ込んできたカイジを受け止めながら、沢田はカイジに話しかける。
沢田は薄く笑うと、空を見上げた。月に雲がかかり、光が僅かに翳る。
カイジの腹に抉り込ませた右手をゆっくりと引いた。
カイジの腹に抉り込ませた右手をゆっくりと引いた。
「今のオレにはこれしか出来ないんでな…。」
娑婆で任侠の世界に身を置いていた時、借金の取立てから逃げる人間を探し出し、引き渡すことがあった。
そいつがヤケになって暴れるのは日常茶飯事。押さえるにしてもうっかり手負いにして働かせられなくなっては元も子もない。
大怪我させないよう鳩尾に一発。沢田からすれば赤子の手を捻るようなものであった。
娑婆で任侠の世界に身を置いていた時、借金の取立てから逃げる人間を探し出し、引き渡すことがあった。
そいつがヤケになって暴れるのは日常茶飯事。押さえるにしてもうっかり手負いにして働かせられなくなっては元も子もない。
大怪我させないよう鳩尾に一発。沢田からすれば赤子の手を捻るようなものであった。
「俺から見りゃ、零や涯と大して変わらねえよ、お前も……。」
沢田は力の抜けたカイジの体を抱え、地面に落としていた警棒を拾うと部屋の中へと入る。
沢田は力の抜けたカイジの体を抱え、地面に落としていた警棒を拾うと部屋の中へと入る。
「朝までゆっくり休んでな。俺の見立てじゃあ、アンタこそ、このゲームに風穴を開ける人間……。
だから、今死なせるワケにはいかねえな……。」
だから、今死なせるワケにはいかねえな……。」
(俺はそういった若者を守ると心に決めた。だから、殴り倒してでも守る……)
目が覚めたら、きっとカイジは激昂し、俺を詰るだろう。
信じたのに裏切られた、と失望するかもしれない。
だがそれでも構わない。この行動によって田中沙織が益々不幸に陥り、カイジが心を痛めたとしても、だ。
目が覚めたら、きっとカイジは激昂し、俺を詰るだろう。
信じたのに裏切られた、と失望するかもしれない。
だがそれでも構わない。この行動によって田中沙織が益々不幸に陥り、カイジが心を痛めたとしても、だ。
零や涯の横にカイジを運び、寝かせる。
「お前がやろうとしていたように、誰かが泥を被んなきゃなんねえんだ、こういうことはな……。」
沢田はそう呟き、玄関先に立つと再び見張りを始めた。
沢田はそう呟き、玄関先に立つと再び見張りを始めた。
【E-3/民家/黎明】
【伊藤開司】
[状態]:気絶 足を負傷 (左足に二箇所、応急処置済) 鳩尾にごく軽い打撲
[道具]:果物ナイフ 地図
[所持金]:なし
[思考]: 田中沙織を探し説得する (最優先)
仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す
一条、利根川幸雄、兵藤和也、鷲巣巌に警戒
赤木しげる(19)から聞いた情報を元に、アカギの知り合いを捜し出し、仲間にする
平井銀二の仲間になるかどうか考える
下水道(地下道)を探す
※2日後の夜、発電所で利根川と会う予定です。
※アカギのメモから、主催者はD-4のホテルにいるらしいと察しています。
※アカギを、別行動をとる条件で仲間にしました。
※明日の夕方にE-4にて待つ、と平井銀二に言われましたが、合流するかどうか悩んでいます。
※カイジ達は田中沙織に関する情報を交換しました。 その他の人物や、対主催に関する情報は、まだ交換していません。
※参加者名簿、パンフレットは一時的に零に預けてあります。
[状態]:気絶 足を負傷 (左足に二箇所、応急処置済) 鳩尾にごく軽い打撲
[道具]:果物ナイフ 地図
[所持金]:なし
[思考]: 田中沙織を探し説得する (最優先)
仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す
一条、利根川幸雄、兵藤和也、鷲巣巌に警戒
赤木しげる(19)から聞いた情報を元に、アカギの知り合いを捜し出し、仲間にする
平井銀二の仲間になるかどうか考える
下水道(地下道)を探す
※2日後の夜、発電所で利根川と会う予定です。
※アカギのメモから、主催者はD-4のホテルにいるらしいと察しています。
※アカギを、別行動をとる条件で仲間にしました。
※明日の夕方にE-4にて待つ、と平井銀二に言われましたが、合流するかどうか悩んでいます。
※カイジ達は田中沙織に関する情報を交換しました。 その他の人物や、対主催に関する情報は、まだ交換していません。
※参加者名簿、パンフレットは一時的に零に預けてあります。
【工藤涯】
[状態]:睡眠中 健康 右腕と腹部に刺し傷 左頬、手、他に掠り傷 両腕に打撲、右手の平にやや深い擦り傷 (傷は全て応急処置済み)
[道具]:鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 手榴弾×8 石原の首輪 支給品一式×3
[所持金]:1000万円
[思考]: 田中沙織を探し、殺人を止める 零と共に対主催として戦う
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません。
[状態]:睡眠中 健康 右腕と腹部に刺し傷 左頬、手、他に掠り傷 両腕に打撲、右手の平にやや深い擦り傷 (傷は全て応急処置済み)
[道具]:鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 手榴弾×8 石原の首輪 支給品一式×3
[所持金]:1000万円
[思考]: 田中沙織を探し、殺人を止める 零と共に対主催として戦う
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません。
【宇海零】
[状態]:睡眠中 健康 顔面、後頭部に打撲の軽症 両手に擦り傷
[道具]:麻雀牌1セット 針金5本 標のメモ帳 不明支給品 0~1 支給品一式 参加者名簿 島内施設の詳細パンフレット(ショッピングモールフロアガイド、 旅館の館内図、ホテルフロアガイド、バッティングセンター施設案内)
[所持金]:0円
[思考]:田中沙織を探し説得する 対主催者の立場をとる人物を探す 涯と共に対主催として戦う
※標のメモ帳にはゲーム開始時、ホールで標の名前が呼ばれるまでの間に外へ出て行った者の容姿から、
どこに何があるのかという場所の特徴、ゲーム中、出会った人間の思考、D-1灯台のこと、
利根川からカイジへの伝言を託ったことなど、標が市川と合流する直前までの情報が詳細に記載されております。
※カイジから参加者名簿、パンフレットを預かっています。目を通すまで借りていられます。
[状態]:睡眠中 健康 顔面、後頭部に打撲の軽症 両手に擦り傷
[道具]:麻雀牌1セット 針金5本 標のメモ帳 不明支給品 0~1 支給品一式 参加者名簿 島内施設の詳細パンフレット(ショッピングモールフロアガイド、 旅館の館内図、ホテルフロアガイド、バッティングセンター施設案内)
[所持金]:0円
[思考]:田中沙織を探し説得する 対主催者の立場をとる人物を探す 涯と共に対主催として戦う
※標のメモ帳にはゲーム開始時、ホールで標の名前が呼ばれるまでの間に外へ出て行った者の容姿から、
どこに何があるのかという場所の特徴、ゲーム中、出会った人間の思考、D-1灯台のこと、
利根川からカイジへの伝言を託ったことなど、標が市川と合流する直前までの情報が詳細に記載されております。
※カイジから参加者名簿、パンフレットを預かっています。目を通すまで借りていられます。
【沢田】
[状態]:健康
[道具]:毒を仕込んだダガーナイフ ※毒はあと一回程度しかもちません 高圧電流機能付き警棒 不明支給品0~4(確認済み) 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:田中沙織を探し説得する 対主催者の立場をとる人物を探す 主催者に対して激しい怒り 赤松の意志を受け継ぐ 零と涯とカイジを守る
※第三放送まで見張りをし、他の皆を寝かせておくつもりです。
[状態]:健康
[道具]:毒を仕込んだダガーナイフ ※毒はあと一回程度しかもちません 高圧電流機能付き警棒 不明支給品0~4(確認済み) 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:田中沙織を探し説得する 対主催者の立場をとる人物を探す 主催者に対して激しい怒り 赤松の意志を受け継ぐ 零と涯とカイジを守る
※第三放送まで見張りをし、他の皆を寝かせておくつもりです。
125:我執(前編) (後編) | 投下順 | 127:帝域 |
118:説得の切り札 | 時系列順 | 128:偶然と奇跡の果てに |
118:説得の切り札 | 伊藤開司 | 139:英雄(前編)(後編) |
118:説得の切り札 | 工藤涯 | 139:英雄(前編)(後編) |
118:説得の切り札 | 宇海零 | 139:英雄(前編)(後編) |
118:説得の切り札 | 沢田 | 139:英雄(前編)(後編) |