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敬愛 ◆X7hJKGoxpY氏


仲根は黒沢のことだけを、ただひたすらに案じていた。
――はたして彼は、この地で生き残ることができるのか。

黒沢は、己の最も敬愛する男である。無論並の男ではない。
病み上がりとはいえど、純粋な喧嘩であれば勝ち残ることはそう難しいことでは無いだろう。
しかし、殺し合いとなればどうだろうか。
根に優しさを持つ男だけに、いざ殺すとなれば必ず躊躇が生まれるだろう。
そもそも、このギャンブルに乗るかどうか、それも怪しいものである。
仲根は一度生死を彷徨った彼を再び死なせるようなことだけはしたくなかった。
しかし、既に黒沢はこのギャンブルに参加させられている。
――仲根にできることは一つしかなかった。
(棄権費用……兄さんの分もオレが稼ぐしかねえ)
人数にして二十人分。
少なくとも一億八千万円を稼ぐつもりでいなければならない。
極めて困難な状況である。
だが、仲根は出来ないとは思わなかった。
何があっても、必ずやり遂げるしかないのだ。
不思議と、己の死に対する恐怖感は全くなかった。



「なあ、そこの兄さん……ちょいと話させてもろてもええかい………?」
何者かに不意に声をかけられ、仲根は振り返った。
「わいは浦部っちゅうもんなんやけどな……兄さんにも悪うない話や………」
全く警戒している様子を見せない、奇妙な男である。
「わいと協力せえへんか?」

協力――これまで全く考えなかった話というわけではない。
このギャンブル、たしかにチームを組めばリスクはあるが何かと有利になろう。
しかし、自分の場合は別である。
黒沢の分も稼がなければならないため、いちいち金を山分けしていたらきりがない。
加えて、黒沢を狙う可能性のある人物は可能な限り減らしておきたい、という事情もあった。
従って、他人と共闘するつもりは毛ほどもない。
そんな仲根の心中を知る由もない浦部は話を続ける。
「生き残れるええ手があんねん………ただ、協力者が必要なんや」
仲根は話を聞く素振りを見せながらポケットに右手を突っ込み、
ポケットにしまってあった支給品のカッターナイフを握りしめる。
そのまま仲根は浦部の次の言葉を待った。

「つまり…ガッ!」
浦部が声を発した瞬間、仲根は左手で顔面を殴りつける。
話に意識を集中させた瞬間の殴打。浦部は少なからず動揺を見せた。
その隙をついて仲根は今度は右手をポケットから出し、カッターナイフを浦部の喉元に突き立てた。
浦部の目が見開かれる。
一瞬、何が起こったか理解できなかったであろう。
そのまま、浦部は気を失った。

(……放っておいても死ぬだろうが………念には念を)
仲根は気絶した浦部の首をつかんだ。
万が一この男が死ななかったら、黒沢に危害が及ぶ可能性もある。
禍根は断つべきであろう。
仲根は首筋にカッターナイフを当て、何度も繰り返し刺した。
浦部の頸動脈が切断され、血が噴き出したところで仲根は刺すのをやめて、
カッターナイフに付着した血を浦部の服で拭き取る。
「…………」
仲根はそのまま、浦部の支給品を手にしてその場を後にした。



【C-4/平地/真昼】
【仲根秀平】
 [状態]:健康
 [道具]:カッターナイフ 不明支給品0~5(確認済み) 支給品一式×2
 [所持金]:2000万円
 [思考]:黒沢と自分の棄権費用を稼ぐ 黒沢を生還させる 生還する

【浦部 死亡】
【残り 43人】


004:再び 投下順 006:「I」の悲劇
004:再び 時系列順 007:
初登場 仲根秀平 028:刃と拳






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