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試験 ◆X7hJKGoxpY氏


運命などというものを原田は信じない。
道を作るのは天の意思では無く自分の行動。
そう思って原田はここまで生きてきた。
――だが、これが偶然なら出来すぎていると言わざるを得ない。

「ククク…………初めて遭遇した人間がお前とはな……赤木しげる………
お前には一度会いたかったんや………」
原田は一人の男――赤木しげるに向かってゆっくりと話し出した。
「といっても……お前は俺のことを知りはせんやろう………俺もお前のことを直接は知らねえ……
ただ聞いたことはある……伝説の代打ちと同じ名を持つ天才………お前のことや」
「………」
アカギは黙って原田の言葉を聞いている。
原田は言葉を続けた。
「俺はあの人が好きやった……だから人の名を利用しとるお前を殺すつもりやったわ………
他人の褌はいて名前を売っとるお前を」
「ククク……それがオレに会いたかった理由か………」
「いや……ちゃう。お前の顔を一目見た瞬間わかった………お前はあの人と同じ……
本物っ……紛う事無き天才やとな……」
ここで原田は言葉を切る。
アカギは自分のことであるにもかかわらず、興味が無いかのように少し笑うだけであった。

「クク……興味無いか………まあええ、お前に会いたかったんはお前の考えを聞きたかったからや」
「ふうん………」
「俺は純粋に勝負に生きてえんだ………このギャンブルの参加はその第一歩……
積み上げてきたものを壊すええ機会やと思った………
だが、わからねえ………参加者全員殺して優勝ってのも別に躊躇する気はねえんだが……
何かが違う……そんな気がしてな………お前に聞いてわかるもんでも無いが………
お前に聞きたいと、俺は直感でそう感じた」
「ククク……なるほどね………分からなくもない……あんたの気持ち…………
ここではもっと面白い勝負……もう一つのギャンブルが用意されている………
本能では気づいているが頭で理解してないんだ……お前は」
なるほど、この男に言われるとそういう気もする。
だが、それが何であるのかは見当もつかない。
「………そのもう一つのギャンブルってのはなんや?」
「……このギャンブルは確かに魅力的だ………お互いの命を奪いあう、まさに狂気の沙汰………
面白いさ……確かに……だが………所詮は殺す相手は騙されて集められたひ弱な参加者………
求めているのはもっと圧倒的相手………一見勝ち目のないギャンブル……違うか?」
「…………」
つまり、このギャンブルへの反逆こそが最も面白いギャンブルであると言っているのか。
――不思議と原田は納得した。
なぜ不満を感じていたのか。
それは強者を目の前にしながら決着をつけれないこと――
強者の手のひらの上で踊り、真に戦いたい相手と戦えないということであった。

「ククク……そう……オレは殺す………奴らを…………他人に死を強要するっていうのは……
強要されてもいいってことだ………だから殺す……」
「……ますます本物やな……お前は………」
アカギの言うとおり、自分は詰まる所反逆を欲していた。
驚くべきは、出会って間もない段階で原田の感じた違和感を指摘したということである。
まさに、人の心理を見抜ける本物の天才。
――原田には、ある興味が湧いた。
この男は己のよく知る赤木しげると比べて、どの程度の本物なのだろうか。
彼に匹敵するほどの男なら、行動を共にしても面白いかもしれない。
「なあ、アカギ……試験させてもろうてもええか……?」
「……試験?」
「ああ……お前の本物がどの程度のもんか………興味が湧いてな……だから試験や………勝負っ……!
損得勘定を抜きにした勝負が最も人を見極められる………せやからやってもらいたい………
ギャンブルルームで……『一人麻雀』を………」


アカギの合意を得て、二人はギャンブルルームに移動した。
準備をしたところで原田は早速アカギにルールを説明し始める。
「『一人麻雀』てのは何のことはない……クイズみたいなもんや。
まず……攻撃側と守備側に分かれる。
攻撃側は、『一人麻雀』の名の通り、一人で麻雀を打っていくんや。
このとき、常に攻撃側は東場、南家扱い……これであがりを目指す。
そしてテンパイしたらテンパイ宣言………このとき空テン、フリテンは禁止。
守備側は攻撃側のテンパイ宣言の後、五種類の牌を選ぶ。
この中に当たり牌が一つでもあれば守備側は勝ちとなり、攻守交代。
一つもなければ攻撃側の勝ちで、その手の点数分攻撃側に加算される。
その際のあがりの扱いは他家からの振り込みと同じ……たとえば門前ツモはつかへん。
………基本はこんなところや、わかったか?」
「ああ……」
「たださっきも言うたようにこれは試験や……若干ルールを変更する。
まず勝負は一回きり、攻撃側が俺、守備側がお前や………
あがりの点数も関係ない………単純にお前が当てたらお前の勝ち……外したら負け………
ただしそれではあまりにオレに有利…………だからハンデをつける………
まず一つ……満貫縛り………満貫以上の手を俺は作る…………
そして二つ目はドラの廃止……これは容易に手を作りにくくするためや………
これで行こうと思うが………こんなところでええか……?」
「………選ぶ牌は五つか?」
「せや………不満か……?」
「ククク……不満というか………五つもいらない…………一つで十分だ………」
「なっ……本気か………?」
この一人麻雀はそんなに容易なものではない。
五つ選択出来ても外れることは往々にある。
更には選択できるのは一つだけ――そのプレッシャーはかなり大きい。
「ああ、それでいい」
「まあおまえがそれでええなら構わん……そしたら早速始めさせてもらうで……」
原田は山から十四牌とる。
配牌は一萬、四萬、五萬、九萬、九萬、二索、五索、三筒、六筒、東、西、北、北、白。
お世辞にもいい手牌とは言えない。
(ここから満貫……どうするか)
一回勝負である以上、極力運によるブレを減らしたい。
この状況から満貫確定を狙える手を作るのは困難だが、不可能ではない
まずはわずか三牌で一翻得られる役牌を集めるべきだろう。
狙いを決めると、原田は牌を切りはじめた。

「リーチ……テンパイや………牌を指定しろ、アカギ……」
十五巡目、原田はテンパイを宣言した。
手牌は一萬、一萬、七萬、九萬、一索、二索、三索、東、東、東、北、北、北。
八萬待ちである。
原田は当然多くの迷彩を施した。
いくらアカギに麻雀の腕があろうとも『一人麻雀』は初心者。
普通の麻雀と異なるポイントがいくつもある。
そう容易くできる見破れるものでは無いだろう。
――だがアカギは原田の予想を大きく超えていた。
「………八萬」
「なっ………!」
たった一つの指定牌でいきなりの正解。
一回限りの勝負なのだ。
こんなことがあってもいいものだろうか。
「正解か……?」
「あ、ああ………」
「ククク……そうか………試験の結果には満足か…………?」
「そんなわけねえだろっ……!教えろっ……何をしたか………」
原田にしてみればこれは試験のつもりである。
だがここまであっさり決められると実力の程度がまるでわからない。
ただの偶然なのか、それとも必然なのか。
アカギは原田を相手に、その理由を語りだした。
「このゲーム……攻撃側は出来るだけ早くテンパイする必要がある………
フリテンを避けるため………というのもあるが、何より相手に見破られる要素が増える………
それに加えてテンパイの形は出来るだけ待ちが少ない方がいい………単騎か辺張、嵌張が理想……
これも守備側が外せば勝ちなのだから当然のことだ。
そしてドラ無しの満貫縛り……二つの条件から考えれば待ちの予測はある程度容易い……
狙いやすさでいえば、リーチと役牌にチャンタか混一を絡めるのが最も簡単………さほど運に左右されない……
まして白や中を中盤まで出し渋っていたところを見れば役牌狙いは明らかだ……
そして……混一はチャンタに比べて迷彩が掛けにくい………一回勝負ではチャンタが最も無難……
となれば待ちは字牌か三色それぞれの一、二、三、七、八、九の合計二十五種類に絞られる……
実際には九萬、七索、三筒、西、白、中はフリテンだったから実質十九種類……
ここまではいいか?」
「ああ……そこまでは正解だ」
「次に何で待つかを考える……当然あからさまな危険牌で待つのは危ない………
とはいえ安全牌で待つのも見破らる可能性はある………当然アウツ………
筋待ちや地獄待ちは無意識のうちに避けるはず……
なら待ちは危険な臭いも安全な臭いも持たない牌がもっとも可能性が高い……
そうすると……まず安全牌と危険牌に明確に分かれる字牌はまず外れる……
ご丁寧にテンパイ宣言直前に四萬と六筒を切っている以上、
一萬、二萬、三萬、七萬、七筒、八筒、九筒も候補から外れ、あとは残り九牌だけ……」
原田は驚いた。
初めての筈のこのゲームでアカギは瞬く間に候補牌を九牌まで絞り込んだのだ。
「ククク………最後に八萬を選んだ理由だが………これは半ば直感……
だが……七萬、八萬、九萬の順子が面子の一つになっていることまでは予想できた………
二巡目………迷彩のための九萬切り……これが決定打………
テンパイ宣言まで時間がかかったのは手が悪い証拠……
チャンタ狙いの迷彩で浮いた老頭牌を序盤で切るほど手に余裕があるとは思えない………
つまり……この九萬は順子、塔子が出来ている状態で対子を崩したもの……
この順子がテンパイの段階でまだ出来ていないとすれば……候補牌の中で待ちは八萬のみ………
順子が既に出来ていれば当然これは当たり牌にはなりえないが………
まだ出来ていないと思った…………そこは直感……オレの感性だ………」

(すげえっ……ほんまもんの本物やっ……こいつは………)
天才にしか見えない理。
天才だけが持ち得るずば抜けた直観。
それをもってこの男はたった一つの牌を言い当てたのだ。
その天才はあの男に匹敵するものであろう。
この男と同行すれば、更に勝負を楽しめるかもしれない。
アカギは熱い勝負を引き寄せる、そんな気がする。
「ククク……面白えっ………!本当にあの赤木しげるの再来かもしれへんな……お前は」
そうか、と言いながらアカギはわずかに笑った。



【C-3/アトラクションゾーン・ギャンブルルーム/真昼】
【赤木しげる】
 [状態]:健康
 [道具]:不明支給品0~3(確認済み)支給品一式
 [所持金]:900万円
 [思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す

【原田克美】
 [状態]:健康
 [道具]:不明支給品0~3(確認済み)支給品一式
 [所持金]:900万円
 [思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す アカギと行動をともにする

017:復讐人 投下順 019:老怪
017:復讐人 時系列順 020:野望の島
006:「I」の悲劇 赤木しげる 027:反逆者
初登場 原田克美 027:反逆者






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